こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

カッコソウとアカヤシオの花、鳴神山にて、2016年4月

2016-04-27 | 鳴神山と周辺

鳴神山の固有種である、カッコソウ(サクラソウ科サクラソウ属、Primura kisoana)が花を開き始めた。椚田峠下の移植地では、その独特の色と形の花が木漏れ日を浴びていた。この日、花の開き具合は3割程度であったが、週末以後はかなり開花が進むであろう。

撮影、26日12時頃

 

 

この花が咲き始めると、今年も美しい花が見られるかとの感慨を覚えるとともに、カッコソウの保存を開始された先覚者と移植地の管理をされてきた人々の努力が報われることを願いたくなる。

 

 

さて、気候変動のためであるろうか、今年はカッコソウの花とアカヤシオの花が同時に見られる。例年、両者の花期が離れている。この日は、アカヤシオの花が地上に散り落ちた花とともに、午後の日差しを浴びていた。

 

 仁田山岳や同岳から椚田峠への道では、逆光での彩りが柔らかで美しい。なお、花冠は5裂、雄しべは10本である。山の岩場に生えるので、福島県いわき地方(分布の北限)では「イワツツジ」と呼ぶとのことである(筑波実験植物園HP、植物図鑑から)。

 

ところで、アカヤシオの花を背景として、ミツバツツジ(トウゴクミツバツツジ)の花が目立つようになった。

 

鳴神山周辺の山波から。新緑の中にヤマザクラの花などが点在している。なお、黄砂による影響であろうか、離れた山々(赤城山など)はかなり霞んでいた。

 

天候、晴れ(霞)。EOS 6D、EF 100 mm F2.8L(Macro)、RAW、現像 Digital Photo Professional 4。


アカヤシオの花で飾られた鳴神山、2016年4月

2016-04-24 | 鳴神山と周辺

昨日、私達はコツナギ橋登山口 − 椚田峠 − 仁田山岳(山頂) − 桐生岳(山頂)の経路を往復した。椚田峠下の移植地では数株のカッコソウが花を開き始めていた。そして、椚田峠から山頂までは、アカヤシオの花による彩りが美しかった。

椚田峠から仁田山岳へと急坂を登り始めると、アカヤシオの花がミツバツツジなどの新緑の奥で開いていた。例年、アカヤシオは周囲に新緑がほとんど見られないうちに花を開く。

 登るにつれて、花の数が急激に増える。急坂登りで喘ぐ登山者(自分達)の背中を押すかのように。

 このような構図の眺めに出会うと、私達の足はついつい止まる。

仁田山岳に至るルートにおいて、花の彩りは実に柔らかい。


仁田山岳での彩りから(桐生岳から眺める)


彩りは昨年と同等もしくは幾分かそれ以上である。

 アカヤシオとマツの組み合わせ。


山頂(桐生岳にて

 背景は鳴神山から吾妻山(480 m)に至る山波である。

 山頂のシンボルとなっている株の花

蕾の第一陣は降霜によってダメージを受けたが、第二陣はそのことを補うかのように開花している。

 山頂から数歩下りると、花の絨毯が眼前に広がる。

 

4月23日12時頃から。晴れ、曇り、そして薄日。


カッコソウの花、2016年4月

2016-04-20 | 鳴神山と周辺

自生している日本のサクラソウの多くは絶滅の危機に瀕していると聞く。その中にあって、カッコソウは環境省の「種の保存法」によって保護されている。そして、このものは自分達が住んでいる街の山(鳴神山)の固有種である。

今年もカッコソウの花が見られる時季となってきた。この花を前にして、私はいつも感動、疑問、そしてもどかしさを覚える。例えば、この花がなぜ鳴神山の固有種になっているのであろうか。どうして、自分の眼で見ているように、デジカメで花の色を写し撮ることが難しいのか。


 

日差しを浴びているとき、思わず惹きつけられてしまうほど花の色は美しい。しかし、デジカメのディスプレイには、白飛びが起きている画像が現れる。


カッコソウの花は異花柱花性であり、雌しべが短い短花柱花と長い長花柱花が存在する。そして、異花柱花間でのみ種子繁殖ができる。

短花柱花(雌しべが見えない)。

 

長花柱花(この花では雌しべが蕾のときから外に出ている)

 

撮影、4月中旬、「桐生市自然観察の森」などにて。

 


土曜日の朝、桐生川ダム(梅田湖)にて、2016年4月

2016-04-18 | 桐生川・紅葉{桐生川)

山で囲まれた街に住んでいると、山肌を覆う季節の彩りがごく自然に視界に入ってくる。ダム湖(梅田湖)では、周囲の落葉樹林が枯木色から萌葱色や緑色に変わり始めた。岸辺の桜花は春の嵐でかなり散ってしまったが、葉桜となりつつある姿も魅力的であった。

この日、さざ波が立つ水面への映り込みは、自分にとって少しは心を鎮めてくれるものであった。16日午前7-8時頃。

 

 

 

 

 

 

 

 朝日が水面に映える。

 

 

 


林道三境線にて、ミツマタの群生地、2016年4月

2016-04-13 | 

三境線桐生市とみどり市を結ぶ広域基幹林道である。林道では、春になるとミツマタの花(桐生市側)やアカヤシオの花(みどり市側)が目立つ。

両市の境界(峠)での三境トンネル(内部には照明がない)。

 

トンネルのそば(みどり市側)にある三境山(1088 m)と残馬山(ざんまさん、1107 m)の登山口(数台分の駐車スペース)。これらの山への登山路についての成書、増田宏著「山紫水明 − 桐生の山」(みやま文庫、2015年)。

 

トンネルのそば(みどり市側)での展望

 

ミツマタの群生地

今週日曜日、私達は車を止めては歩きで林道を辿った。群生地は道沿いの谷側に広がっている。花の盛りは過ぎていたが、群生地は見応えのある状態であった。

 

群生地は谷側の杉伐採地に広がっている。

 

群生地の一部を見渡す。

 

 

他の地点から群生地を眺める。

 

 

群生地でのミツマタには、花序が通常とは異なるものがあった(道沿いにて)。

 

桐生市側での展望スポットにて

桐生市側の山波。杉などが伐採されている山腹の麓に、桐生川ダム(梅田湖)がある。奥の山波は仙人ヶ岳(栃木県足利市)などである。

 

常緑樹林の中での山桜。道は林道に至る桐生川沿いの県道である。

 

林道での注意

林道は全面舗装化されているが、舗装が傷んだりや山側から落石がころがっている箇所がある。また、ミツマタの群生地の上(山側)では杉などの伐採が行われている。

 


撮影、4月10日午後など。

 

*****

追記

現在、林道は通行止めになっています(2020年3月)。

 

「桐生市ホームページ(桐生市・産業経済部・林業振興課)(令和2年)

林道三境線の通行止めのお知らせ

林道三境線は、台風19号による土砂流出に伴い、車両の通行ができないため、しばらくの間、全面通行止めにします。崩れる恐れがありますので、徒歩での進入もしないでください。なお、復旧工事については、令和2年度に行う予定です。」

 


水中木の柔らかな緑、桐生川ダム(梅田湖)にて

2016-04-09 | 桐生川ダム湖

ダム湖では、湖畔の桜の花が見頃となっている。そして、雨で水位が上がるとともに、水中木が湖に現れる。毎年のことながら、木は枯れることなく緑の衣を纏う。

 


水中木の芽吹きは周囲の木々にくらべて早い。そのため、水中木は周りの木々に先んじて緑の季節の幕開けを知らせる。

 

柔らかな緑の衣では、光のあたりかたによってその色が微妙に変化する。水面への映り込みも同じように変化する。しばらくの間、写人はこれらの変化に魅せられて時が経つのを忘れる。

 

撮影、2016年4月9日午後5時頃、桐生川ダム(梅田湖)にて。


雨が止んだ後は霧に包まれた春の彩り、桐生川にて、2016年4月

2016-04-07 | 桐生川ダム湖

当地では、朝からかなりの雨が降った。近くの山々は霧で覆われ、見頃となっている山桜の彩りは消えたり現れたりしていた。夕刻になって雨が止んだので、私は定点観測をするが如くにて、桐生川ダムとその上流に向かった。

7日16-17時半頃。


堰堤とその下流にて

 

ダム湖(梅田湖)の岸辺では、桜の花が満開に近づいていた。



ダム湖の上流にて。

 ミツマタの群生地も霧で覆われている。

 霧が晴れた瞬間に。この後、霧が再び立ちこめた。

 

今夜は強い風が吹くと予報されているが、当地ではまだ風は強くなっていない。明日は天候が回復するとのこと。日差しで朝霧が次第に消えて行くような光景が現れるであろうか。


渡良瀬川散策、花桃で彩られた神戸駅にて(その2)

2016-04-05 | 鉄道

わたらせ渓谷鐵道の神戸駅にて

この跨線橋は列車が到着する直前になると混雑する。

鉄路、花桃、桜、そして標高1000 m以上の山々。ここは谷間の駅である。


使われなくなった鉄路は旧国鉄足尾線の頃を偲ばせる。足尾線では、足尾銅山が活発に操業されていた頃、蒸気機関車が貨車や客車を牽引していた。旧国鉄の民営化によって貨物運送が廃止されると、足尾銅山は閉山された。

 


上り列車の入構。跨線橋にて。

 

 

 それぞれの車両では、上部までメンテナンスが行き届いている。


各列車が駅を離れて行く。


 

神戸駅は渡良瀬川沿いに位置している。

岩の表面での色の違い岩の上の転石は、流れが激しいときの有様を想像させる。上流にダム(草木ダム)ができてから、川の流れは概して穏やかになっている。かつて、この川の中流・下流域は洪水の被害を何度か受けてきた。

新緑で覆われるときが待ち遠しい。

 

撮影、4月3日午後EOS 6D、EF 70-200 mm F4L、EF 50 mm  F1.8 II。

 


渡良瀬川散策、花桃で彩られた神戸駅にて、2016年4月

2016-04-03 | 鉄道

わたらせ渓谷鐵道神戸駅

足尾方向を望む、神戸駅にて(その1)。


 

桐生方向を望む。奥にトンネルが見える。


トンネルから足尾への列車が現れる(その1)。


トンネルから足尾への列車が現れる(その2)。

 

 

そして、反対方向からも列車が近づいてくる。神戸駅は列車交換(行き違い)駅である。

 

わたらせ渓谷鐵道は、桐生駅と間籐駅(日光市足尾町)を結ぶ鉄路として渡良瀬川渓谷沿いに設けられている。さて、神戸(ごうど)駅には花桃が300本ほど植えられている。まさに、この停車場は花桃で彩られた駅である。

今日午後は薄日が差す状態になったので、私達は再びアカヤシオの花を探そうかと渡良瀬川沿いを散策することにした。しかし、花桃の彩りに出会った途端に目的変更、私達はこの駅にしばらく留まることにした。あまりにも、その彩りが美しかったからである。 駅には、彩りに魅せられた人々が集まっていた。

(つづく)

 撮影、4月3日午後2時頃から