理、徒然 ~ことはり、つれづれ~

守口 十割そば 『そば司 理(ことはり)』店主のブログ

レトロオルフェクション

2011年02月24日 | そば学
「そばを“ずずーっ”とすするのは、はしたないことではない。
そばの味わいをより一層感じるのには、むしろそうした方が良い」

とは前回、滔々と述べさせていただきました。





読者の皆さんは、ソムリエがワインを味わう時の所作をご存知でしょうか。

そもそも、お客様の目に映る仕事のイメージとしては
ちょっとカッコつけながら、ワインについて、あーでもないこーでもないとかいいながらワインをグラスに注いでくれる人
ぐらいの感覚かも知れません。

ま、実際、ほとんどその通りのことしかしないのですが(笑)
お客様に見えないところでは、結構いろいろとやることがあります。

その中で最も肝心なのは仕入です。

ソムリエという人間にとって、ワインとは
純然と商品であります。

世界中に、まさにゴマンとあるワインの中から

仕入れるワインが商品として、売り物として

優れたワインかどうか
それがお客様に喜んでいただけるものかどうか
何より、お店にとって利益が出るものかどうか、などなど
いろんな意味で
そのワインがおいしいかどうかなどを

味わい、いわば鑑定するのが、実は本来の仕事といえます。


そしてそこでは、ワインを味わうプロであるソムリエならではの味わい方、所作、作法があります。

見たことがある方も多いとは思いますが

一般的には
テイスティンググラスに注がれたワインを、
上から下から斜めから、また液面に平行に眺めては

遠くから匂いを嗅ぎ、また近づけては嗅ぎ、
次にはグラスをくるくるっと回し、

ワインを落ち着けては嗅ぎ、また回しては嗅ぎ、
また回しながら嗅ぎ、

ソムリエによっては右の鼻の穴、左の鼻の穴からも嗅ぎ分け
(実際、違うんです)

数秒、思案に耽ったかと思えば

ようやくワインを口に含み

そして口をすぼめて
「ひゅるる~っ」と
空気を軽く吸い込み

またひと思案して

次は、口の両端を開いて「い」の発音の口にして
「ふぃりり~っ」と
空気を吸い込み

くちゅくちゅっと口の中でもんだ後

また
「ひゅるる~っ」と
空気を軽く吸い込み

また「ふぃりり~っ」と
空気を吸い込み

最後には吐き出します。

(ただし、昼のテイスティングの場合は吐き出しますが、
夜のテイスティングは、大抵飲み干します。ほぼ例外無く。笑)

このような、文章にすると
非常にまどろっこしい、もったいつけた
見ようによっては非常に変態的な所作を
ソムリエという人種は、ワインを飲む度にする習性があります。

この
「ひゅるる~っ」とか
「ふぃりり~っ」とかいうのを

専門用語で、
『レトロオルフェクション』と申します。

長くなりましたので
続きは次回。








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