針箱の
婚の歳月
春幾度
婚の歳月
春幾度
ー作者からー
私の嫁入り道具の一つに、それは立派な裁縫箱があります。
伯母が買ってくれました。
四十年。その間、様々な小物が裁縫箱を出たり入ったり
してゆきました。
1977年4月10日から今日まで、多分いつでも私の一番近くに
居てくれた、私のことを一番よく知っている、道具。
ー挿画人からー
そうですね、四十年になるのですね。
縁もゆかりも無い遠い嫁ぎ先に行かれてからこれまで、
筆舌に尽くせない想いを幾度もされてきたことでしょう。
葉月さんが隠れて泣いていたのを、裁縫箱がそっと
慰めるように見守っていた…そんな想像をしています。