フィギュア萌え族(仮)犯行説問題ブログ版

テレビや新聞メディアの疑問報道の問題と、児童ポルノ法や非実在青少年規制などのメディア規制の問題について

NHK「クローズアップ現代」児ポ法単純所持処罰に絞って特集

2008-05-22 01:53:14 | 児童ポルノ禁止法・非実在青少年規制問題
秋の臨時国会で提出される見込みが高まってきている「児童買春・児童ポルノ処罰法」改定案の問題点については、発売中の「週刊SPA!2008/5/27号」に6ページの特集が組まれている(主著者は「マンガ論争勃発」の昼間たかし氏)ので、購入して読んで戴きたい。

さて、四川大地震で放送が延期されていた、NHK「クローズアップ現代」の「氾濫する児童ポルノ規制をどうする」が5月21日に放送されました。

文字起こしはこちらのリンクにあります。(書いてくださった方、ご苦労様です。)

下記の様に良い点も見受けられましたので、私が危惧していたほどには偏向してはいませんでした。

・岩代正光弁護士が、「単純所持規制は劇薬という意見もある」と反対派の意見にも触れていたのは良い。

・岩代正光弁護士が、アメリカと日本の背景の違いについて触れたのは良い。

・NHKの足立義則記者が「どの様な行為が『性的好奇心を満たす行為』なのかが判断できない」という、与党の「えん罪対策案」の問題点に触れたのは良い。

しかし、それでも報道姿勢にいくつかの問題点を感じましたので、指摘させていただきます。

・冒頭に登場する「裏ビデオ」には現行の各法規で充分に対応可能であり、「児童ポルノ法」改定の話とはズレてしまっている。

・日本とアメリカなどの諸外国で「児童ポルノ」の定義が異なるという事も、毎回議論が平行線になってしまう事の背景にあるのに、触れていない。

・全体的に規制賛成よりのトーンになっているので、もっと中立的に伝えるべき。FBIのおとり捜査やコンピューターウイルスと言った問題点については、最後の方でまとめているけれど、それに冒頭部分で触れないのは公正さを欠く。

・民主党によるえん罪防止案の「所持という『状態』ではなく、贈与や購入という『行為』を取り締まる」という事に触れていない。

・FBIの単純所持摘発数以外の統計数値が殆ど出てこなくて、「多いとされている」「非難されている」と言った様な曖昧な表現が目立った。

・保護法益のネジレの問題にまったく触れていない。「児童ポルノ法」の問題点は、本来ならば「児童保護」という「個人保護」の法律であるのに、「わいせつ物の規制」という「社会風紀」を法益とした部分が主になってしまっている事である。

・先進8カ国の中で日本とロシアが単純所持を禁止していないという事と、「児童ポルノのコレクター」がロシア語のサイトからダウンロードしているという事があたかも関連しているかのように扱われてしまっている。

・「FBIサイバー局」の指揮官の声のアフレコが、アメリカの刑事ドラマの吹き替え風に勇ましく演出されているが、報道として必要だろうか?

・海外での単純所持摘発の厳しい姿勢が、逮捕を苦にして自殺する者や村八分に遭って生活できなくなる者を出してしまっている事に触れていない。児童ポルノの単純所持が死刑に相当する程の罪ではない事から考えても人権問題である。

・「児童ポルノ禁止法改正反対」という政治信条は、毎回議論が起こっている事から見ても、注目されるべき立場であるが、その字面から色眼鏡で見られがちである。今回の報道で、国内で反対している側の立場の者を取り上げずに、国内の「児童ポルノのコレクター」のみを、顔なし映像で取り上げているが、これは反対派の存在を黙殺しようとする行為ではないか?

・岩代正光弁護士も言っていた「被害児童の保護」についてこそ、法の運用や改定で強化するべき点である。FBIの様な姿勢の問題点は、おとり捜査やえん罪だけではなく、規制する事や摘発する事自体が目的化してしまっている事ではないのか?

・岩代正光弁護士の「単純所持規制については条文と運用を分けて考えるべき」という立場には、私は賛成できない。「どこかが摘発されて初めて運用の基準が判る」という状況は、非常に深刻な表現の萎縮を生み出す事になる。

・岩代正光弁護士は「児童ポルノ所持と小児性犯罪との因果関係については判らない。」としながらも、「自分が担当した奈良小1女児殺害事件の犯人は、児童ポルノに影響されたと思う。」と発言した。奈良小1女児殺害事件の犯人については、犯行前後に成人の風俗嬢を買うなどの行為をしていた事が判っており、また、犯罪の背景に不幸な生い立ちがある事も指摘されている。犯人の小児性愛嗜好に犯行の全てを還元する事には無理がある。

・「児童ポルノ」の対象があたかも女児だけであるかの様に報道されてしまっている。

感想

 私としては、法律で「性的好奇心を満たす行為」を取り締まるという事には、「内心の自由」の侵害のおそれがあるという問題点に触れてほしかったです。

 また、FBIの「おとり捜査」の実録で、少女をレイプしているとチャットで白状したのは、少女の実の父親でした。FBIは、「児童ポルノ製造」(とりあえずは「単純所持」だけど、それをその娘と認めた瞬間に「製造」になる。)の「別件逮捕」を利用して、この父親を逮捕しようとしていたわけです。この事自体にも問題がありますが、児童性虐待の加害者の多くが実の親であるという事実については、もっと強調する必要があると思います。その意味で、父親に無理やりヌードを撮影されてしまった日本の女性の手記を紹介した事は、評価できます。

 更に言えば、日本の場合は高校生くらいの年代の若者による「援助交際」という問題と「児童ポルノ法」が絡められているという現実にも触れる必要があるでしょう。

 番組前半に紹介された、幼い時代に強制的にヌードなどを撮影されてしまった女性たちの証言については、私自身、幼い頃に性的なイジメを受けた経験がある為、非常に強く同情しています。女性のうちの一人は、「ネットの児童ポルノが全て自分ではないかと思えて苦しくなる。」と発言しています。この事から、「ネット上から児童の裸のイメージを一掃してしまいたい。」と考える心情は分かりますが、より現実的なのは、この人自身の臨床心理的なケアではないでしょうか? 私だって「マスコミからオタクを二級市民視する様な言論を一掃してしまいたい。」と、ついつい考えてしまいますが、それは結局、「万人の万人に対する戦い」を呼び起こしてしまう事になってしまいます。(そして、そういう問題こそが児童ポルノ法の保護法益のネジレ問題の本質なのではないでしょうか?)

 言論や表現・報道には、批評によって対抗するべきであって、規制や恫喝によって対抗するべきではありません。なので、今回のNHKの報道それ自体も歓迎しますが、今回の報道では、問題点の指摘や解決への取り組みという点では不十分だと思います。

 確かに、26分間という短い番組で中立性を担保するのは難しいですが、だからと言って、「児童ポルノのコレクター」を登場させたり、FBIの捜査官の勇ましいセリフを演出したりする様な、「紋切り型の演出」に頼ってしまっては、NHKの報道機関としての良識が疑われる事になりはしないでしょうか?
ジャンル:
社会
キーワード
児童ポルノ 児童ポルノ法 おとり捜査 クローズアップ現代 性的好奇心 児童ポルノ禁止法 刑事ドラマ わいせつ物 児童ポルノ処罰法 昼間たかし
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NHK「クローズアップ現代」の番組 (akira's room)
TBありがとうございます。
[社会]NHKに電話してみた件について (でもやっぱりバカが好き!(はてなのほう))
記憶があいまいになりつつあるので、早めにメモしておきます。 なお私の見解は、譲受行為規制は提供罪の対向犯処罰のために必要だけど、単純所持規制は必要ない。外国の法律と字面だけあわせるために単純所持規制を導入する必要はない、というものです。 児童ポルノDVDが...

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