迫力ある硫黄島上陸シーン。血圧が上がって倒れるかと心配したけど、正常値だったようだ。
終わってみると、「英雄なんていない」という一貫したテーマが胸に響いてくる。星条旗の6人として硫黄島の凄惨な戦いに勝利したアメリカの英雄として熱狂的に迎えられたドク、レイニー、アイラの3人。彼らの帰還してからの映像が中心となるが、回想シーンとして臨場感溢れる戦闘シーンが交互に描かれ、現代、ドクの息子が死期がせまっている父を知るためにその真実を辿るインタビューを続ける。
硫黄島の決戦から帰還した彼ら3人は戦費獲得のためのキャンペーンに駆り出され、自分たちが英雄でないことや、星条旗の真相を隠しながらも政府の要請に従ってゆく。星条旗を掲げた真相や戦友の死の真相を隠したまま、レイニーは就職にも上手く利用しようとし、インディアンであるアイラは人種差別や戦争の虚しさに疲れ果てる。そして衛生兵ドク(ライアン・フィリップ)が冷静な目で彼らや国の政策を見つめ、戦士の死を悲しむ・・・
戦争映画の大半が反戦映画であることは間違いないと思うのですが、この映画はアメリカでしか作れないような、違った視点で描かれていました。「真の戦争の英雄は誰なんだ?」といったアメリカ万歳映画も多い中、敢えてアンチテーゼを唱えたかのような心意気が感じられるのです。さすがは老獪イーストウッド。人生経験の豊富さによって、「戦争なんて虚しいだけさ」「ヒーロー気取りもいいが、しっぺ返しを食らうぞ、ふ・ふ・ふ」と達観したかのような彼のつぶやきが聞こえてくるような気がしてくるから不思議だ(しかも、なぜか日本語で)。
国策映画、戦意高揚映画、そういった過去の政策がいかに虚しいものか、戦争の裏側とはこんなものだと淡々と語られる様子は前半のド迫力の生々しさと対照的で、観終わってみると色々と考えさせるような内容。「正義と悪、勝ちと負けを描いたものではない」と強く訴えるイーストウッドですが、命を落とした人に敬意を払い、日米双方にも気を配った優しさも感じれる。序盤に聞えてくる東京ローズのラジオ番組も興味深いところだし、英雄視された3人の将来にも驚かされ、エンドロールに登場する写真が本物か映画なのか区別がつかないところもビックリです。
★★★★★
終わってみると、「英雄なんていない」という一貫したテーマが胸に響いてくる。星条旗の6人として硫黄島の凄惨な戦いに勝利したアメリカの英雄として熱狂的に迎えられたドク、レイニー、アイラの3人。彼らの帰還してからの映像が中心となるが、回想シーンとして臨場感溢れる戦闘シーンが交互に描かれ、現代、ドクの息子が死期がせまっている父を知るためにその真実を辿るインタビューを続ける。
硫黄島の決戦から帰還した彼ら3人は戦費獲得のためのキャンペーンに駆り出され、自分たちが英雄でないことや、星条旗の真相を隠しながらも政府の要請に従ってゆく。星条旗を掲げた真相や戦友の死の真相を隠したまま、レイニーは就職にも上手く利用しようとし、インディアンであるアイラは人種差別や戦争の虚しさに疲れ果てる。そして衛生兵ドク(ライアン・フィリップ)が冷静な目で彼らや国の政策を見つめ、戦士の死を悲しむ・・・
戦争映画の大半が反戦映画であることは間違いないと思うのですが、この映画はアメリカでしか作れないような、違った視点で描かれていました。「真の戦争の英雄は誰なんだ?」といったアメリカ万歳映画も多い中、敢えてアンチテーゼを唱えたかのような心意気が感じられるのです。さすがは老獪イーストウッド。人生経験の豊富さによって、「戦争なんて虚しいだけさ」「ヒーロー気取りもいいが、しっぺ返しを食らうぞ、ふ・ふ・ふ」と達観したかのような彼のつぶやきが聞こえてくるような気がしてくるから不思議だ(しかも、なぜか日本語で)。
国策映画、戦意高揚映画、そういった過去の政策がいかに虚しいものか、戦争の裏側とはこんなものだと淡々と語られる様子は前半のド迫力の生々しさと対照的で、観終わってみると色々と考えさせるような内容。「正義と悪、勝ちと負けを描いたものではない」と強く訴えるイーストウッドですが、命を落とした人に敬意を払い、日米双方にも気を配った優しさも感じれる。序盤に聞えてくる東京ローズのラジオ番組も興味深いところだし、英雄視された3人の将来にも驚かされ、エンドロールに登場する写真が本物か映画なのか区別がつかないところもビックリです。
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今月のヒストリーチャンネルの特集でも見てみようかな~と思いつつ、なかなか見る時間が取れないんです。
そのTV特番は日本が作った番組でしょうか?
クリント・イーストウッドはどちらかが正義でどちらかが悪だという描き方をしていないので、日本人であることを忘れて観ることができましたよ~
反戦映画なんですけど、ちょっとだけグロい映像があるので、観たくない人が出てくるのも困りますよね・・・
イーストウッドの映画って、洋画なのに和心を感じます。
この映画を観て無性に日本酒が飲みたくなりました。
ミリオンダラーベイビーほどではないですが、ある意味凹む映画ではありましたが、見終わってじんわりと心に染み入る作品でした。
そんなところも古き良き和の世界を感じさせるのかな。
クリント・イーストウッド監督の映画は、決して感傷的でなく抑制のきいた目線で描かれてますよね。『ミスティック・リバー』と同じ目線を感じました。その冷静な目線が静かな余韻と感動を残してくれました。
有名スターが出てるわけでもなく、ド派手なアクションがあるわけでもなく、セクシーなシーンがあるわけでもないですけど、こういう上質な作品がヒットしてほしいと思います。
この二つの国から別々の視点で描くという試み、
面白いですよね、2部が楽しみです。
和心。
なるほど・・・だから日本語が頭を駆け巡ったのかぁ。
日本酒が飲みたくなるというのもわかります。
感動度は「ミリオンダラー・ベイビー」には届かないものでしたが、第2作目「硫黄島からの手紙」とセットにするととんでもないくらいの感動作品になるかもしれませんよね。
>サエコ様
こんにちは。
この映画は特に冷静な視点が感じられましたよね~
アメリカで祭り上げられた英雄たちって一体何だったのかという、複雑な気持ちさえも抑えて・・・
観終わった直後よりも、しばらくしてからじわじわと感動が生まれる作品でした。
>mig様
今回はアメリカの視点ということでしたが、それでも他国に対しても気を配っていたというか・・・映画作りも熟しきったのかもしれませんよね。
2部はもちろん楽しみ。
演技力は日本のほうが上だということも見せてくれることでしょう~
上映終了後の「硫黄島からの手紙」がすごく強烈な印象与えてくれました。
早く続きが見たいです。
コメントとトラックバックを失礼致します。
この作品は、戦争とそこにある社会と個々の密接な繋がりを細やかに描いており、争いに対してのクリント・イーストウッド氏の静かながら強い視点を十二分に感じさせられる力作でありました。
そして、原作であるジェームズ・ブラッドリー氏とロン・パワーズ氏の 『 硫黄島の星条旗 』 ( 文庫本 ‘02年 (株)文藝春秋 )の方も読んでみたいと思っています。
また遊びに来させて頂きます。
ではまた。
この映画1本で十分な出来でしたがやっぱり2本で1本と考えたほうが良さそうでしたね。
この映画を観てもどちらに偏ったって描き方をしていなかったので日本側から描いた方も期待できそうです。
あのエンドロールの写真がよかったですよね。
郵便箱なんかも映し出されていましたが、あれが第2部に繋がるんだろうな~と考えると、もう観たくてしょうがなくなりました。ね。
>たろ様
いつもコメントありがとうございます。
静かな視点というのがとてもいいんですよね~
そのあたりが年齢を感じさせるイーストウッドといったところでしょうか。
俺も原作を読みたくなりましたが、1冊の本を二つに分けてしまうのも面白いですよね。
>ななな様
俺もそう思います。
第2部を観ないと正しい判断ができそうにもありません。
これもイーストウッドからの手紙の文を読んだためかもしれませんが、この映画での日本の扱いも充分配慮されていたところがいい演出でした。