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ユリゴコロ

2017-09-25 18:46:28 | 映画2017
 最近、末期のすい臓がんという設定が多くない?

 亮介(松阪桃李)の父親がすい臓がんで余命わずかと診断され、婚約者の千絵(清野菜名)が忽然と姿を消した。亮介は実家の押し入れから“ユリゴコロ”と書かれた一冊のノートを見つけるが、そこには人を殺すことを心の拠り所と感じる美紗子(吉高由里子)という女の殺人の記録と、洋介との運命的な出会いによって救われたことなどが綴られていた・・・

 “ユリゴコロ”とは何のことだろうかと不思議に思っていたのですが、美紗子が幼い頃に医者から言われた心の“拠り所”を間違って覚えていたに過ぎない。タイトルの語感からしてホラー映画なんじゃないかと想像していたのは、前半部分ではある意味、間違いじゃなかったかもしれない。まずは小学校に入ってから友人を池に突き落として死なせ、高校生の時には側溝で鉄の蓋を落として子供を死なせてしまったのだ。側溝の事件では後に重要な繋がりが表面化する。

 美紗子が調理学校に通っている頃、みつ子(佐津川愛美)という自傷癖のある女と知り合い、互いに腕を傷つけ合うという禁断の世界に溺れていく。調理場で働いても居場所が見つからず、1年で仕事を辞め、娼婦の道へと自分を落としていく美紗子。そして、やはり殺人というユリゴコロに身を任せてしまうのだった。洋介(松山ケンイチ)と知り合った美紗子は“喜び”という感情が芽生え、押し切られた形で結婚する。お腹の中には誰との間かわからない子を宿しながら。

 一方、現代では少しずつ“ユリゴコロ”を読みながら、千絵の行方を心配している亮介。細谷(木村多江)という千絵の同僚が彼の前に現れ、千絵には結婚歴があり、その相手(ヤクザ)に拉致監禁されていることを突き止めたというのだ。亮介は相手を殺したいという衝動にかられ、居ても立ってもいられない心理状態。包丁を手に取り、ヤクザの事務所に乗り込む勢いだったが・・・

 時代は70年代であろうか、とにかく見せ方が上手い。猟奇的な殺人であっても彼女の心の中に吸い込まれていきそうな映像なのだ。『蛇とピアス』以来の汚れ役になる吉高由里子の演技にもまいってしまった。現代と過去を行ったり来たりする展開ではあるが、徐々に亮介は自分にも殺人鬼の血が流れているのだと確信するに至る経緯だとか、イライラすると猛スピードの荒い運転になるとこを描くなんてのも面白い。さらには洋介の愛、美紗子の愛、そして、まさかこの人が!という展開にも参りました。


★★★★・

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4 コメント

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Unknown (クマネズミ)
2017-10-17 06:03:01
お早うございます。
おっしゃるように、「『蛇とピアス』以来の汚れ役になる吉高由里子の演技」はなかなかのもので、映画にもっと出演してもらいたいものだと思います。
なお、冒頭で「最近、末期のすい臓がんという設定が多くない?」と述べておられます。とりあえず『ボクの妻と結婚してください。』とか『湯を沸かすほどの熱い愛』が思いつくのですが、なかなか見つけにくいガンの上、わかった時は手遅れというケースが多いために、映画でよく使われるのかもしれません。
すい臓がん (kossy)
2017-10-17 08:10:32
>クマネズミ様
吉高由里子は良かったですね~
このような作品にもどんどんトライしていってもらいたいです。

すい臓がんの設定は、たまたまテレビで観た映画がそういうのが多くて気になってしまいました。
ちなみに『きみの膵臓をたべたい』もすい臓がんという意見が多数をしめてますね。
昔の映画にはすい臓がんという設定は多くなかったので余計にそう思えたのです。
こんにちは (NAO)
2017-10-23 15:59:20
私もポスターだけ見たら、ホラー映画かな?と思ってました^^;

で、前半はある意味そんな雰囲気でしたね。
人形のシーンとか、ぞぞっとしましたよーー;

吉高由里子さんは、みつ子によく合っていましたが
それ以上に松山ケンイチ君にやられた私です ♪♪
マツケン (kossy)
2017-10-23 19:09:39
>NAO様
吉高由里子とマツケン。
なんだか釣り合いそうもないのに、
愛が芽生えたというストーリーがいいですよね。
ホラー映画大好きなので、
この手の映画はうれしくなるほどです。

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