徒然刀剣日記

美術刀剣拵工作工房

古作短刀の修復

2017-05-19 10:35:50 | 刀身研摩
可愛らしい短刀の研摩が、終わりました!



この短刀は、研ぎ減りによるものなのか?はたまた元々の形状なのか、反りがありません。反りがないどころか逆反りづいているため、突っ伏したような体配です。通常このような短刀を「筍反り」などといい、修復の過程で峰側から整形を施したため、タケノコのような形状になったと解説されることが多いです。しかしながら、作刀当初からこのカタチだった可能性も否定できません。

さて、この短刀身。錆身の状態で当工房へ担ぎ込まれました。数多のヒケ傷、刃こぼれ、そして驚くべき事に峰が無数に叩き潰されていました。おそらく、胡桃などの硬いものを割る為に峰側をハンマーで叩いて鑿のように使ったのではないでしょうか?白鞘の鞘書きによると「波平」に極められ金粉銘があったようです(茎が磨かれて?金粉銘は確認できず)。大変貴重な胡桃割り工具ということになりますが、刀剣をこのように使用している方が他にもいらっしゃる様でしたら、直ちにやめてください!限りある文化財の破壊行為にほかなりません。



研摩を施した結果、直刃調のノタレ刃に細かく働き、帽子は焼き詰め。柾目の肌もあいまって「波平」という鑑定は無難です。教科書通りの落し処ですが、西国の鉄はもう少し黒く鍛えも粗い様に感じます。研いだ時の感触からいって素直に大和本国でよいのでは?と思います。ちなみに、刃長(刃渡り)は16cmほどしかありませんが焼き出しになっており、鑑賞の魅力あふれる古短刀です。白鞘も古く、鳩目は表と裏で陰陽になっており、かつては大切にされていたことが窺い知れます。



日頃縁組みの仲介は致しませんが、所有者様がご高齢ということもあり、一日も早く心ある愛刀家のもとに納まって欲しいので、例外的にお力添えさせて頂きます。ご興味のある方は、ご一報ください。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 北鎌倉製鉄文化ツアー | トップ | 戸塚を思う »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

刀身研摩」カテゴリの最新記事