アクアスクーターで魚突き

使いこなそう、アクアスクーター 整備ノート

= 初回 2015年2月5日開始 =

Blog 第55回 スタータケース亀裂とゼンマイ抜け=小坂夏樹=

2017年06月16日 | マニュアル

最近の遠征では黒潮真只中の島で、珍しくも20年振りにシイラに遭遇した。とても泳いでいられない激流での成果で、正にアクアスクータのお陰だ。とは言へ足ひれ併用でも強すぎて遡航できなかったり、突端を越えられない場合があり、岸すれすれをやっとのことで移動するなど悩ましい海況だった。


遠征中のトラブル:スタータロープが戻らなくなった
遠征中に始動紐の戻りが悪くなり、海上で全く戻らなくなった。手で巻取り、始動して上陸し、その場で開けてみるとゼンマイ(リコイルスプリング)が伸びてすっぽ抜けだった。ふつうは内側の、プーリーに引っかかる部分の鉤が開いて外れるが、今回は珍しい。

遠征前にロープの戻りが悪いと感じて、2回転ほどゼンマイを締める=きつくしておいたのが原因だろうと反省をした。把手がだらりとする程度だったので、そのままにしておけば何も起きなかったのか。


遠征中の貴重な時間を無駄にしたくないので急いで宿へ持帰り、端を曲げ直そうと修理に取掛った。しかしいじっている内に、用心も虚しくゼンマイが跳ねだしてしまった。
そこで伸びてしまった端の鉤を曲直し PescaSubApneaフォーラムに紹介されていた方法で修理した。Blog第11回に詳細あり・・・即ち空缶の底を切取り穴を開け、スタータプーリーを使って巻込む方法だ。これで巻込んだものをペンチでがっちり掴んで缶から取出し、そのまま収める事が出来た。
初めはビールのアルミ缶で試したが僅かに過大で収められず、鉄の細いジュース缶でやり直した。
この方法は実に簡単で、あっという間に出来てしまう。ゼンマイの跳出恐るるに足らず!

転がっている缶底がこの時使用したものだ。


さあ組立だとリールを嵌めようとして、先端の軸受回りに亀裂を発見、ショックだった。

前に紹介した通り、ここから浸水した仲間の例があるので、一大事だ。その顛末はBlog第43~44回で紹介した。


気休めだとは思いつつも亀裂の拡大を防ごうと、SUS針金を巻付けてエポキシ接着剤で滑り止めとした。 
その後2日間使って遠征終了


帰宅後このスタータケースを交換すべく取外した際に、この取付ブラケットにも亀裂を発見した。キャブに接するブラケットで、何故かこれまでの物でもここに割れが集中している。またかよ!と呆れてしまった。



このブラケットは以前は角を落としてキャブとの干渉を避けていた。そのためそこからの割れが多発していた。そこでComer社になってから他の部分と同じ形状に改良されたが、金型技術がお粗末らしく、見た目がひどく、まるで後から肉盛りしたかのように筋が残っている。不思議なのは、その肉盛した部分は割れなくなったのに、今度はその傍から割れることが多いことだ。本品もまさにその通りだった。



交換品を入手したが 
購入後半年ということでノリモノランドに依頼し、早速交換品を受領したが、先端はOKなれど、これもブラケットに亀裂があった。同社によれば、この部分の亀裂は常に発生するが、内部への進行はしないと考へ、その旨使用者に伝えているとのこと。





そこで私からはこれまでの浸水の実例を示して、更に亀裂の無い物を探して貰った。この写真は再掲だが、角を落としてある部分から亀裂が真鍮のブッシングの周りを進行し、Oリングと接するケース内部に達している。勿論浸水で高圧部はやられた。


この他にも仲間の物で、角を落としてない最近のモデルで同じ亀裂から浸水している。



第2の交換品も・・・
残念ながら、再度提供された交換品にも極細かだが亀裂があった。しかしカンパチ突き最盛期を目前にした焦りもあり、気休めながらも補強を施して使うことにした。


取付ブラケットの補強は Blog第37回 でも紹介したが、これまで何度か試している。今回は単純にコの字型の金具を作ってコニシボンドの5分硬化エポキシで接着した。下地は脱脂し紙やすりを掛けて表面を荒らしてある。



しっかり固着したと思ったが、端をこじってみるとやはり浮き上がってしまった。固着しているのは金属に対してだけらしい。その圧力?摩擦?のおかげで全体がポロリと外れることはいまのところ無いので、やはりこれで様子を見ることにした。


先端部も表面を荒らし、針金で締付てエポキシ接着剤で滑り止めとした。この部分は僅かにテーパがついているので、そのままではタガが緩むのと同じで抜けてしまうからだ。しかしながら今回使ったコニシボンドのものでは接着できなかった。そこで取敢へずボンドSUで接着し直した。


太い針金を使うとリールと干渉してしまうから、細いステンレス線を使う。溝を付けてそこに針金を埋込・接着するのが正解か?


このケースの樹脂材料が何なのか表示もなく接着剤を選べないのは困りものだ。一般的な材料ではポリプロピレン、ポリエチレン等には“硬質”のエポキシ接着剤は、殆ど使用不可となっている。今回のボンドもしかり。
プライマー(下処理液)を塗布すればOKと云う物もあるが面倒だ。

一方“軟質”仕上がりで一液のボンドSUとか3Mのスーパー多用途2は使える。

今まで使ってみて、接着できているらしい?軟質のセメダインEP001Nでも、これら2種のプラには不可となっていることからすると、このケースは別種の樹脂か?


ノリモノランドでは、輸入品のJB Welderというエポキシ接着剤が良いとのことで、早速購入に走ったが一部プラには使えないと表示されていたので使用を諦めた。300℃耐久など高性能と云う事なので、今後改めて試用するつもりだ。東急ハンズに実物がある。


ケースが割れるのは素材か設計が悪いのか、製造が不適切なのかまことに困った問題だ。その上近年の品質は更に低下しているとの情報もあるので、もしかしたら製造を中国にでも移したのかと下衆の勘繰をしてしまう。

いずれにしろ、海上で使用中に故障して大事に至らぬよう、予防整備が最重要だ。
ブラケットを補強・強化して、割れの防止が出来ないものか更に試作などしてみる積りだ。問題は補強の形状によっては次の写真の如くキャブの下端と干渉することだろう。


と言う訳で今回補強した部分も当然?ながら、キャブの下端と干渉してしまってねじ止めが出来なかった。


そこで以前同様に接着したコの字金具の角を削り落とし、同時にキャブも僅かにずらして写真の如く、紙2~3枚分挿込める隙間を確保できた。


残りのブラケット3カ所にも亀裂が入ることはあるが、それらは他との干渉も無く、補強するのは難しくない。


これで一応修理は完了だが、ケースの水密性は現実には確認できない。
そこで以前にも触れたが、予防整備に加えてAS600型以前のモデルの様に、高圧部の水密検査用の穴を是非とも復活させたい。穴を開けてネジを切るだけで済んでしまうのだから、私としては近い内実施したいと考えている。
以上


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