続・中岳龍頭望

脱力系から熱血系へ。ま、志はということで…

女心の難しさが滑稽に描かれた名作   眺めのいい部屋

2017-06-02 | 映画

眺めのいい部屋/ジェイムズ・アイボリー監督

 原作は何か文芸作品らしい。歌曲やクラシック音楽が場面場面で効果的に使われ、貴族の格調高き雰囲気を伝えているが、基本的には恋愛を通じた滑稽話である。それがどういう訳か結構面白いので、名作めいた楽しい話になっている。西洋人は日本人と比べて見栄や虚栄が多く、裏表が激しい。嘘ばっかりついていて、正直者とのコントラストが際立つということがあるようだ。まあ、だから映画でそれらの滑稽さを笑う構図になっている訳だ。
 イタリアのペンションで、予約していた川のみえる部屋で無かったことに不満のある二人の女性に対し、同じく英国からの旅行客である父子が部屋を換わろうと持ちかける。一度は警戒から断るが、知り合いの神父の仲立ちもあり換わってもらう。観光地だから時々お互い出会うが、ちょっとした事件などもあり、急速に若い二人は意識しだすようになる。そうしてピクニックに出かけたときに、男の方は激情に駆られてキスしてしまう。そういうことがあった為に、結婚前の女性を連れた旅だとして女の方の二人は急に旅を切り上げ英国へ帰る。帰ってしばらくすると、何故か娘は地元の教養的な男性とすぐに婚約してしまう。ところが婚約者が知り合いに近くの借家を紹介した父子が、その時キスを交わしたジョージだったのだ。
 観ている時は旅先から帰ってそんなに時間のない中他の男のプロポーズを受けることに不自然を覚えたが、要するに旅先の浮ついた恋のようなものを自ら否定するような心情があったのかもしれない。若い女性というのはそういうものかも、などと思う。劇中建前ばかりで言うこととすることがちぐはぐすぎるおばさん(従妹)のシャーロットに、娘のルーシーが似ていると母親が言うのだが、要するに自分の本心というものを体面や恥ずかしさから悟られたくないばかりに、周りには嘘ばかりついてしまう女心を描いた作品ともいえるだろう。非常にめんどくさいが、それがまた滑稽で大変に楽しい。男たちは鳥のようにはしゃいだり、排水溝のように落ち込んだりしている。恋愛が成り立つかどうかは、要するに女心次第なのだ。
 蛇足だが、セックスシーンなどは無いものの、男性ヌードはボカしなしで観ることができる。その場面は、僕は映画史的にも非常に楽しいものだと思うのだが、どうなんでしょうね。笑いどころの多い名作っぽくもあるような優れた作品でありました。
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