続・中岳龍頭望

脱力系から熱血系へ。ま、志はということで…

極端だが恋愛心理はそういうものかも   ヒメアノール

2017-04-19 | 読書

ヒメアノール/古谷実著(講談社)

 映画を観て原作漫画が気になって読んだ。映画の基本的なエピソードは確かに漫画が元になっているが、映画なりに脚色されたり変えられたりしているところもけっこうあることが分かった。映画よりも狂気の強いところもあるし、逆に映画より印象の弱いところもある。当たり前と言われればそうだけれど、同じで無いところが二度おいしく楽しめたというところだろうか。両方ともよく味付けされているいい作品である。もちろん映画と漫画という根本的な手法の違いがありながら、文学的に良いという感じである。
 いわゆる絵のきれいな画風ではないが、ギャグ漫画なども手掛ける作家でもあるし、さらに女性の描き方も、なんとなく生身の感じがしない。そういう人ということでは無いかもしれないが、若い男から見た女性像という視点では、なるほどそうだったかもしれないな、と思わせられるところはある。もちろん個人的な感覚はあろうが、憧れがありながら遠い存在である女性像というのは、こういう感じかもしれない。ただ作中では蓼食う虫も好き好きというのが多少極端で、こんなにきれいだったり可愛かったりする女性の趣味が、偏りの大きい男たちばかりというのは、やや説得力が無い。もう少しそこの唐突感が無い方が、物語は膨らんだのではなかろうか。もっともその辺のファンタジーあってこそ成り立つ展開もあるわけで、やはり難しいところなんだろうか。
 職場の超変人ピュア男の先輩安藤の、後半の二人の女性の恋愛エピソードは、映画ではバッサリ切られている訳だが、漫画では妙な味わいとして展開されている。尺の関係と物語の展開として切られたのは仕方のないことだが、漫画ならではの冗長性として、考えさせられるものだ。男女の仲というのはミステリが多いけれど、あるきっかけで大きく心が動いていく。安藤はかなり極端だけれど、そういう興味の持ちようというのは理解できないではない。そうであっても結局上手くいかなくて、深く心が傷つけられ、思わぬ人からの好意を素直に受け止めることができない。極端すぎる展開と、随所にギャグが盛られながら描かれているが、恋愛中の心理描写としては、やはりあり得るものではなかろうか。
 不条理な殺人が筋の重要な流れであるが、思ったより個別の恋愛状況を克明に描いた作品のように思える。構成や設定が上手くいっている中で、そのような状況を描くことに成功している作品なのではなかろうか。ただし、結末はやはり映画の方が良かったと思いました。
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