サイバーキッズクリニック

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たばこ誤飲

2006-01-25 16:14:40 | こどもの病気について
たばこを誤飲する事故はかなり多い。

日本中毒情報センターへのたばこ誤飲の問い合わせは年間に5000件、1日平均13−14件で、これは総相談件数の16‐17%に相当する。

たばこ誤飲の70%は0歳児で、生後5‐6ヶ月以降にみられ、8ヶ月児に最も多くみられる。

誤飲したたばこが置かれていたのは、床から50cm以下の場所が8割を占めている。
赤ちゃんと同じ部屋に居て誤飲した場合をみると、『テレビを見ていた、居眠りをしていた、電話中』など、ほんの一瞬目を離したスキに起こっている。赤ちゃんと別室に居た場合は、『台所仕事、後片付、洗濯、掃除』などが多い。

たばこ誤飲が恐れられるのは、ニコチンの致死量が成人で40〜60mg、乳幼児で10〜20mgと毒性が極めて高いためである。たばこを温水に1時間浸潤するだけで含有ニコチン量の70%が溶出し、しかも肺、皮膚、消化管かのいずれもからもたやすく吸収される。

たばこの箱に記載してあるニコチン量は火をつけてフィルターから回収出来る量であり、実際の含有量は10倍以上であり、市販の紙巻きタバコ1本のニコチン含有量は16〜24mgで、乳児の致死量は1/2−1本である。

しかし、現在までたばこ誤飲による死亡例の報告はなく、重篤例もきわめて稀なケースとされている。

その理由として、乳児がたばこを口にしても実際の誤飲量が少ない事、誤飲しても強酸性の胃液中では水と異なりたばこからニコチンの溶出が遅れるためニコチンの吸収に時間がかかる事、吸収されたニコチンは強い催吐作用を有するため嘔吐により摂取量の大半が体外に排除されるため、である。実際、溶出したニコチンの吸収は、胃液のような酸性液の中ではゆっくりで、15分で3%しか吸収されない。

危険なのは、空き缶などを灰皿代わりにして、たばこが水に浸かっていたような液体を飲んだ場合であり、速やかに吸収され重篤な中毒症状を示す可能性がある

たばこ誤飲の中毒症状の出現頻度は14%程度で、最も頻度が高い症状は嘔気、嘔吐である。嘔吐は10〜60分以内にみられる。その他の症状もほとんどは 2〜4時間以内に出現する。
その他の症状として、主要成分であるニコチンが、自律神経系作動薬であるため、白律神経・中枢神経・骨格筋などの各神経に対して作用し、少量のニコチンでは刺激作用により、血圧上昇、頻脈、皮膚蒼白、発汗、興奮などが発生し、大量となると中枢神経抑制により呼吸停止となる。

日本小児科学会『タバコ誤飲に対する処置について』では、
『気づいた時点ですぐに吐かせるのが原則。しかし、消化管中で吸収されるのを阻止するため、タバコの葉や吸い殻を誤飲した場合は水や牛乳は飲ませない。
誤飲したタバコの長さが2cm以下の場合は用手催吐以外の処置は不要、また誤飲した量が不明の場合であっても、ニコチン中毒症状、嘔気、嘔吐などを認めない時には、2cm以下の場合と同じ処置でかまわない』となっている。

つまり、たばこの葉を2cm以下誤飲した場合には、特に処置を必要とせず、4時間観察して症状が出現しなければ問題ない。
何らかの症状がみられたり、たばこの葉を2cm以上、あるいはたばこが溶け出た水を飲んだ場合は医療機関を受診する必要がある。


たばこの誤飲予防の一番良い方法は、こどもの環境からたばこを一切無くす事である。

たばこの害については一般に良く知られているが、もし、どうしてもたばこを無くせない場合は、生後5ヶ月を過ぎたら、たばこの誤飲が起こり易い事、たばこを床から1m以下の場所に置かない事、空き缶などを灰皿代わりに使わない事、を絶対に守らなければならない。


ジャンル:
育児
キーワード
日本小児科学会 自律神経系 紙巻きタバコ
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