見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

「ブヨ」ではなくて、「ヌカカ」

2008-08-09 22:26:43 | 北海道の風景
酪農大学の先生が研究室の学生を連れてやってきた。
今日から3日間、家の周辺の「アブ」の調査をするのだという。

家の周辺は野鳥や昆虫の宝庫。
たびたび、大学生や研究者の方々の調査フィールドとして選ばれる。

「一人置いていきますが、よろしくお願いします」とにこやかに先生。

先生の車が去ると、すらりと身長の高い女性が一人残った。
福岡出身の大学院生エスさん。
1時間ごとに、トラップ(ワナ)にかかったアブを回収し、個体数や種類を調査するのだという。
湿原際でトラップを仕掛け始めた彼女に、しばらく一緒に観察してもいいかと訊ねると、笑顔で了解してくれた「いいですよ。でも、蚊が多いですから、気をつけてください」



確かに、トラップの周りには蚊や名前のわからない羽虫が異様に集まってきている。
「トラップに呼び込むための誘引剤を置いているんです」とエスさんが示した新聞にくるまれているのは、大きなドライアイスだ。
大量に二酸化炭素を放出しているということだ。



通常でも蚊やブヨに好かれやすい私。
急いでその場から離れたが、すでに首筋や足首が彼女たちの餌食となっていた。



一時間後、エスさんは外した捕虫籠の中に入っていた羽虫をアルコールで気絶させて分類した。
死ぬと色が変化してしまうので、固体分別し易くするために仮死状態で分類するのだという。
「途中で息を吹き返すことは?」
「もちろんあります」と平然とエスさん。
捕獲した虫の中には、親指大の大きな羽虫もいる。スズメバチに似ている。



「これもアブですか」
「そうです。アカウシアブですね」
「アブって、蜂と同じように刺すんです?」
「いいえ、アブは肌を切り裂いて、そこから血を吸うんです。蚊や蜂と違ってとても痛いですよ(^^)」
仮死状態になった数種類のアブをピンセットで分類しながら、淡々と語るエスさん。
蜂にだって刺されれば痛いのに、肌が噛み切られる痛さを想像してぞくっとした。
こんなアブがこの周辺にたくさん飛んでいるのだ。



見覚えのある小さな羽虫もかかっていた。
「これは、ブヨですよね」
右隅に分類された小さな羽虫を指して聞いた。
「いいえ、それはヌカカですね。ブヨはこっち」

ヌカカ・・・初めて聞く名前だ。
エスさんによると、ヌカカに刺された際には痛みを感じないのに、徐々に膨らみ痒みが何日も続き、一ヶ月近く痕が残るという。

それです!私をずっと悩ませているのは。
「ブヨも刺します。けど、問題児はヌカカですね」
「・・・」

とにかく、ブヨも、ヌカカも、アブも、そしてもちろん蚊も、吸血昆虫が大量に乱舞する湿原なのだ。
そんな問題虫の宝庫にじっと居座って、朝から夕方まで収集観察しているエスさんが異性人に見えた。

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