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読売日響サマーフェスティバル2010三大協奏曲のしらべ

2010-08-18 22:39:22 | Classic
今年の夏の記録的猛暑は、まだまだ続きそうだ。連日のうだるような日々の中で、しばし清涼な風の中に身をゆだねて心身ともに”お潔したい”とばかりにだどりついたのが読売日響の恒例のサマーフェスティバル。本日は、「三大協奏曲のしらべ」という定番もの。以前は、油ののった演奏家たちを招いていたが、今年はまさにデビューしたばかりの”旬”の男性たちばかりである。

最初の曲と楽器は、やはり予想どおりにヴァイオリンで曲目も親しみやすい珠玉の名曲のメンデルスゾーン。演奏するのは最年少の1993年12月生まれの郷古廉(ごうこ すなお)君。まだ高校二年生で仙台の某私立高校に通いながら桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース(特待生)に在籍。またもや天才少年現る!である。本当に日本の音楽家の演奏レベルはとても高く層のあついと感心する。実際、天才と言われる彼ら彼女達の演奏は、いずれも否のうちどころがなくほぼ完璧である。郷古君の使用楽器は個人所有者の厚意により貸与されている1686年製アントニオ・ストラディバリ(Banat)で、その演奏活動履歴は07年のデビュー以来もはやりっぱなプロである。
さて、遠目にも本当に若くってまだまだ線の細い郷古君が奏でるメンデルスゾーンは、繊細で乙女のように(失礼!)はかなげでピュアな音楽。すくすくと伸びてきた青年が、あと10年、20年と人生経験を積んでどのように音が変わるかとても楽しみである。個人的には、コンマスの藤原浜雄さんのようなチャーミングな色気も養ってほしい・・・。

次はこれもチェロの名曲のドヴォルザーク。プロフィールによるとなんと宮田大さんは3歳からチェロをはじめられたそうだから、ご両親としては最初から音楽家を育てるつもりだったのではないだろうか。昨年、ロストロポーヴィッチ国際コンクールで日本人初の優勝をさらったのは記憶に新しい。堂々と、朗々と、のびやかに歌うチェリスト。いつか激しく、また哀しく泣く彼のチェロの音を聴いてみたい、そんなことを感じさせられた。

そして最後は真打のピアノ。すべての楽器の中で最後をしめるのはやはりピアノになる。今夜の女性客の大半のお目当てはもしかしたらソリストの外山啓介さんか、と勘ぐってしまうくらいある意味彼は有名人。私が彼の名前を初めて知ったのは、ネット上で流れた第73回日本音楽コンクールの優勝候補者としてだった。彼が優勝間違いなしとネットでは話題性抜群、しかも芸大を卒業した翌年にはあのエイベックスからCDデビュー、デビュー・リサイタルの会場がおそれおおくもいきなりサントリーホール(勿論、大ホールの方)でチケットも完売。あまりにも話題先行でむしろ気の毒な気がしたくらいだが、インタビューを読む限りは謙虚で真摯な好青年。舞台に登場するやひときわすらりとした長身がめだち、この容姿もあいまって諸々評判になっていたこと思い出したのだが、彼の様子からはオーケストラのメンバーにも気を使って誠実な人柄が伝わってきた。なるほど、久々のピアノ界の王子様キャラだ。ピアノ演奏は、確かに独特の色彩感があり、派手な外見とは異なりむしろ内省的なタッチでこれまでのチャイコフスキーとは一味違う。もっと聴きたいと思わせてくれるピアニストだった。
全体的にこれからの若い演奏家たちを応援しようという雰囲気があり、フェスティバルにふさわしい華やかさがある。ちなみにこのサマー・フェスティバルも今年で25周年になるそうだ。1986年の第一回で同じ曲を弾かれたソリストは、前橋汀子さん、毛利伯郎さん、花房晴美さん。タイムマシンがあったら、25年前の名曲も聴きたい!

------------------ 8月18日 読売日響サマーフェスティバル2010三大協奏曲のしらべ サントリーホール-----------------

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23
郷古廉(Vn)、宮田大(Vc)、外山啓介(Pf)
指揮者:円光寺雅彦


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