「輪廻転生」と一言で言っても、大きく分けて2種類の考え方がある。この2つは、広い意味ではつながっているので、話の中でこんがらがることも多い。でも、この2つは、明確に区別されるべきだと考える。
ひとつは、「地球生命系の中における輪廻転生」。通常、輪廻転生といえば、こちらを指す。「輪廻転生から卒業しましょう」というのも、普通はここからの離脱を目指すことを意味する。
地球生命系というのは、物質界の地球を中心とする大きなシステムで、その周囲を非物質界が包み込んでいる。地球の物質界に生まれた人は、やがて死んで、非物質界に帰る。ここが「死後の世界」だ。そして、しばらくすると、また物質界に戻る。つまり、またまた、この世に生まれる。そうやって、行ったり来たりを繰り返す。もちろん、地球生命系の中には、人だけでなく、鳥や獣や、そのほかの生き物も含まれている。これらが、壮大な輪廻転生のシステムを作り上げているのだ。
もうひとつは、「宇宙全体における輪廻転生」で、これは、生まれ変わりというより、「永遠の生命」と考えるべきだろう。ここでは、地球生命系に転生する前の生命や、そこから卒業した後の生命までが含まれる。これは、地球で生きている人間にとっては、計り知れないナゾの領域だ。そもそも、「過去から未来に向かって生まれ変わる」ということ自体、地球における時間の感覚を前提としているので、そこから根本的に見直す必要がある。地球で生きている者にとって、それは無理なことだ。だから、考えるだけムダというもの。
ここで考えるべきなのは、なんといっても前者、つまり、「地球生命系の中における輪廻転生」のほうだろう。地球で、この世とあの世のあいだを行ったり来たり。何度も生まれ変わっては、また死に変わる。放っておけば、いつまでも終わらない無限ループ。なんといっても、ここから離脱することが目標なんで、「宇宙への帰還」は、ひとえにそこにかかっている。図にすると、下記のようになる。
(永遠の過去) ⇒⇒⇒ (宇宙での永遠の生命) ⇒⇒⇒ 地球生命系での転生開始 ⇒⇒⇒ 地球で生まれたり死んだりを繰り返す(←いまココ) ⇒⇒⇒ 地球生命系からの卒業 ⇒⇒⇒ (宇宙での永遠の生命) ⇒⇒⇒ (永遠の未来)
ここで、両サイドにある( )内の部分については、とりあえず考えなくていい。重要なのは、真ん中、つまり、いま現実に地球で生きているというところ。
お釈迦様の教えも、「輪廻転生からの卒業」がメイン。中には、「ボクは、輪廻転生には興味がありません。でも、お釈迦様の教えは大好きです」という人もいる。そういう人は、単なる人生論として仏典を読んでいるのだろう。カンジンの主題である、「輪廻から離脱するメソッド」については、スルーしている。まあ、例えてみれば、「肉は嫌いだけど、ハンバーガーは好き」というようなものだろう。ハンバーガーから中のお肉を抜いて、パンだけを食べても美味しいというのだから、仏典とはなんともすばらしいものだ(笑)。
それはともかく、地球での輪廻転生は、一種の砂時計だ。上には非物質界があって、下には物質界がある。その中を、サラサラと砂が流れ落ちるように、生命が移動している。時間が来たら、ひっくり返る。こういう、行ったり来たりが、いつまでも続く。
5億年くらい前までは、地球には微生物とか、小さな原始的生物しかいなかった。そのときは、おそらく、輪廻転生のシステムといっても原始的なものだっただろう。物質界と非物質界の境界も定かでなく、全体的に「集合生命」みたいな感じだったに違いない。
恐竜の時代くらいからは、個としての生命が確立されていったと思われる。地球に発生した土着の生命には、この頃から輪廻を続けている者たちも多い。ものすごく長い時間をここで過ごし、数え切れない経験をしてきた。それは、意識の深いところに刻みこまれて、残っている。地球で生きていく上で、その経験が有利なのは間違いない。要するに、彼らは、地球生命系で生きていくことに「慣れている」。
中には、他の惑星や生命系から、地球に移ってきた者たちもいる。これには、例によって色んな説があって、「地球人類の大半は、元はといえば宇宙からの転生者なのだ」とか、「全員が地球外に起源を持つ生命なのだ」という人もいる。それはそれで、一理ある。というより、見る角度によっては、その通りだろう。だけど、地球環境における経験値には、明らかに個人差がある。この環境に慣れている人と、そうでない人の差は、大変に大きいと筆者は見ている。
ここで気になるのは、「宇宙からの転生者は、いかにして、地球生命系で輪廻し始めたのか?」ということ。
通常、ニューエイジ系の思想では、「宇宙からの転生者は、ライトワーカーなのである」と考えられている。つまり、意識の大変革期にある地球生命系をサポートするためにやってきた、宇宙からの救世者たちであるというのだ。それも、確かに一理ある。見る角度によっては、その通りだろう。
でも、筆者がそれ以上に共感するのは、ロバート・モンローの著書にあった、「惑星KT95からの転生者」(本ブログの過去記事をご参照)の話だ。率直に言って、「地球はいま、大変な危機にある。ボクは、彼らを助けに行くぞ!」というよりは、こういうノリで地球での輪廻に巻き込まれてしまったケースが多いんじゃないかと考えている。
(つづく)
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