カタツムリの富士登山(6)

2017-07-12 21:21:06 | 童話
『あ~あっ、よく寝たなぁ。』
僕は、あまり寒くないので目がさめた。
そして、岩の穴の中から外を見ると、雪はほとんど無くなっていた。

『お父さんとお母さん、僕は約束を守って家の中にいたよ。また今日から富士山を登るからね。』

穴の外でお水をタップリ飲んで歩き始めた。
雪の上や、雪解け水の上は冷たいので、乾いている所を歩いて行った。
『ランランラン、ランランラン。』
今度は、僕が歌っても、だれも『ルンルンルン、ルンルンルン。』や『ピッピピピ、ピッピピピ。』と歌ってくれる友達がいません。
『下りる時に、トンボ君やチョウチョさんと一緒に歌えるから、今は僕だけで歌おう。』

そして、僕は何日間も
『ランランラン、ランランラン。』
と歌いながら登って行った。
また時々寒い日があるので、寒い時は暖そうな岩の穴を探して暖かくなるのを待つことにした。
僕の歩いている所から遠くを見ると、人間が登って行く登山道に、多くの人がリュックを背負って、ツエを持って一列に並んで歩いている。だけれど僕みたいに歌いながら登っている人はいません。

僕が立ち止まって深呼吸をしている時に、遠くに建物が見えた。
『あれは山小屋なのかなあ、山小屋だったら温かいし、風で飛ばされる心配も無く、安心して寝られるなあ。』
人間に踏みつぶされないようにして近付いて行くと、やっぱり山小屋で、たくさんの登山者がいた。
僕は山小屋の中でも暖かい高い所で休憩をしていると、登山者の一人が僕を見つけて、
『こんな所にカタツムリがいるよ、風で飛ばされてきたのかなあ?』
『ちがうよ、僕は自分で登って来たんだよ。』
『えっ、こんな所まで登って来たの?』
『うん、途中までトンボ君とチョウチョさんと一緒だったけれど、あとは、ここまでは僕ひとりで登って来たんだよ。』
『どこへ行くの?』
『みんなと同じで、頂上へ行くんだよ。』
『カタツムリさんは、なぜ富士山に登るの?』
『テレビで富士山を見ていたら、どうしても登りたくなったからだよ。』
『ここまで、何日くらいかかったの?』
『1年くらいかな。』
『お家に帰るまで、どれくらいかかるの?』
『これから頂上まで行って下りて来るころに寒くなるので、また岩の穴の中で温かくなるまで寝ているから、お父さんとお母さんのいる所まで、あと2年くらいかかるかな。』
『わぁ、すごい、頑張ってね。そして、気を付けてね。』
『うん、ありがとう。』

次の朝、僕は頂上の少し下にある神社を目指して登って行った。
『この神社にも登山者が一杯いるなあ。』
登山者が神社でお参りをしているので、僕もお参りをした。
『無事に山頂まで行って、お父さんとお母さんが待っている所に無事に帰れますように。』

僕は寒くなる前に山の下の方に下りたいので、お参りをしたら、山頂を目指して速く歩いて行った。
『あそこにいる登山者が写真を撮っている。あそこが山頂なんだ。』
山頂に着いたが、僕はカメラを持っていないので、お家に帰った時に、お父さんとお母さんにお話しができるように、山頂からの風景をしばらく見ていた。
『山頂に着いたので、転がり落ちないように注意して下りよう。』

また僕は歌いながら歩いた。
『ランランラン、ランランラン。』
何日か歩いて下りていると、また寒くなってきたので、登る時と同じように、大きな岩の小さな穴を見つけて寝る事にした。前と同じようにコケが生えていて暖かい。

『外が暖かくなるまでおやすみなさい。』
そして、僕は暖かくなるまで寝ていました。
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