僕はどっちかな?(3)

2017-06-09 21:26:22 | 童話
家に帰るとお母さんが
『あらっ、おかえり。』
と言ったので、僕が
『ワンワン』
と言うと、タロウは
『ただいま。』
と言いました。

タロウが居ない時は普通なのに、タロウが居る時は僕が犬になっているのは変だなぁと思いました。
そして、このまま、僕が犬でタロウが人間になってしまうのかなぁと思いました。

ある日、タロウの
『ワンワンワン』
と言う声でお昼寝から目がさめました。タロウの方を見ると、タロウが人間の僕になっていて、
『ワンワン』
と言っていました。
そして、僕の姿を鏡で見ると犬のタロウになっていて、人間の言葉を話していました。
あれっ、いつの間に反対になったのかなぁ?
そして、お外へ行くと、近所のおばさんが
『タロウは今日も元気ね。』
と言ったので、僕は
『うん、元気だよ。』
と言いました。
人間になったタロウは毎日お母さんに注意されます。
『ちゃんと歯をみがきなさい。顔を洗ったら顔をブルブルッしないで、タオルで拭きなさい。お風呂ではよく洗うのよ。お野菜も食べるのよ。』

人間になったタロウが注意されなくなったある日、僕とタロウはお昼寝の夢の中で
『ワンワン』
『なぁに』
とお話しをしている時に目がさめました。

今度は、タロウが
『ワンワン』
と言って、僕が
『なぁに。』
とお話しをしました。

今は夢の中なのかどうか、僕は分かりません。
そして、僕とタロウは、また今度交代するか分かりません。
分かっている事は、僕とタロウは、いつまでも仲良しだという事です。

おしまい


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