極私的日々

日々のアレコレを思うままに。

キューバ映画に惹かれるわけ

2010-01-21 06:08:14 | 日記
 ケン・ローチの「やさしくキスをして」をみた時にドキリとした。イギリスで暮らすムスリムが主人公の映画。高校生である彼の妹が学校で声高に訴える。「いつも少数者(=弱者)は単純化される。マジョリティの側は、いつも自分達だけが複雑だと思っている。」(若干ウロ覚え気味)

 マイノリティじゃなくたって、私たちは他者を単純化しがちだ。女はコウだ。男はアアだ。ツヅキさんはマジメだ(ん?)。だけど、誰だって複雑なのだ。私だって、マジメだったり、フマジメだったりする。そして、一つの組織や、地域や、国に属する人たちは、やっぱりそれぞれに多様だ。そんなことは分かっているはずなのに、いつも私たちは知ったかぶりをして、○○は××だ、なんて語ってしまう。そんなに簡単に分かってたまるか、だ。

 キューバの映画にハマってしまった理由の一つは、ステレオタイプを覆されたから。多くの作品が、複雑さを、複雑なままの姿で伝えようとしていると感じる。「キューバはラテンで明るい」「革命は、ゲバラは、すごい」「社会主義だから自由がないかも」「医療や教育が充実しているかも」etc。様々なイメージがある。相反するものもある。どれも本当かもしれない。だけど、どれか一つだけを本当だと考えたら、ウソになるかもしれない。キューバの映画は複雑さこそ真実かもしれないと感じさせてくれるのが魅力なのだ。

 なんだか前置きばかりが長くなってしまったけれど、今回で2回目となる「キューバ映画祭inサッポロ2010」の上映作品のうち、オススメの一つがシュガー・カーテン。幼い頃、両親とともにチリ政府から逃れてキューバから渡ってきた30歳代後半の女性が、同世代の男女数名をインタビューして撮ったドキュメンタリーだ。彼(女)らがまだ小学生くらいの幼い頃、革命はまさに黄金期。キューバは物質的にも不自由はなく、公正で平等な社会を実現している――子ども達はその夢を受け入れた。しかし、経済的に大きく依存していたソ連が崩壊して以降、キューバの経済はいちぢるしく逼迫し、食料は不足し、さまざまなモノを生産するためのエネルギーもない。政治的にも、経済的にも自由がない。そんな中、一部の人は国から逃れ、成功を手に入れた。他の者は、不満を感じながらも逃れるすべもない。またある者は、現状の問題点は見据えつつも、キューバが追い求めてきた理想はウソではなかったと信じ、キューバで生き抜こうとする。とても悩ましいけれど、キューバの現状と、人々の不満や願いを映し撮った見ごたえのある作品だ。

 この作品も含め、今回される上映される多くの映画には、人と時代、あるいは人と社会のあり方との関係が深く描かれている。だけどそんな重たげなテーマを扱った作品にも、音楽とユーモアが溢れている。上映12作品12様。「遊」からも近いし、ぜひ足をお運び下さい。

 さっぽろ自由学校「遊」のニューズレターに寄せた原稿です。
 キューバ映画祭inサッポロ2010のブログにもUP済み。

エル・ベニーは大切な作品。

2010-01-20 02:48:43 | 日記
キューバ映画祭の実行委員のメンバーにとって、もっとも思い入れが深く、愛着のある作品は?
と問われたら、ほとんどみんなが「エル・ベニー」と答えるはず。

なぜかというと、この映画は、
昨年のサッポロの映画祭で上映するために、
日本語字幕をつけた作品だから。

準備段階から何度も何度も繰り返し観た。
その度に、新しい発見があった。
だから、今回の久々のスクリーン上映も見逃したくない。
きっと前より楽しめるはず。

「エル・ベニー」は、
キューバで最も愛されている歌手のひとり、
ベニー・モレの半生を描いた映画。

ベニーは、飲んだくれで、女たらしで、自分勝手で、だらしない。
だけど、歌うとスゴイ。

一度は挫折するけれど、妻や家族に支えられ、
ちょっといい男になって、カムバックを果たす。

キューバの歴史を知らなくたって十分に楽しめる映画だけれど、
革命の前後に渡って活躍したベニーの半生からは、
革命に向けた市井の人々の動きや、革命が音楽家に与えた影響がよく見える。

そして、革命後に多くのミュージシャンが国外へと逃れる中で、
キューバに残ることにしたベニーが、
亡くなってから今もなおキューバ人に愛され続けている理由も伝わってくる。

キューバの農村での暮らしぶりと都会の華やかさ、
賢者のようなベニーの祖父の考えや振る舞い、
といったディテールも興味深い。

とくに音楽が好きな人は、みてね。

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また、キューバ映画祭inサッポロ2010のブログからの転載。
しばらくはコレが続きそう。

いい映画「ペドロ」

2010-01-18 02:31:15 | 日記
今回のキューバ映画祭について聞かれて一番困るのは、
「どの作品が一番オススメですか?」という質問。
実行委員の一人としては、
「○○です!」とズバリ答えられなくてはならないのだと思うけれど、
返答に窮する。

12の上映作品のうち、私が事前にみることができたのは8作品。
どれもこれもそれぞれにいい。
それに、まだ観ていない作品だって、すごく観たいから上映を決めたのだ。
どれか一つ二つを選べったって無理だ。

だけど、「一番泣けたのは、どれ??」と聞かれたら答えは簡単。
「ペドロ」だ。
涙腺がゆるくなる年頃だからかもしれないけれど、
90分間の上映時間のうち、たぶん50分は泣いていた。
もちろん単なるお涙頂戴の映画ではない。
(そういう映画では、あいにく泣けない。ひねくれた年頃なので。)

「ペドロ」は、アメリカで作られた実在の人物を取り上げた映画だ。

幼いころ家族と一緒にキューバからアメリカに渡ってきたペドロ。
物語のほとんどは、彼のアメリカでの生活が中心だ。

セクシュアル・マイノリティ(ゲイ)の彼は、
エイズに対する偏見が今よりもずっと激しい頃(1990年前後)に、
HIVに感染する。
そして、HIV・AIDSへの偏見を取り除くための活動に取り組んでいくのだけれど、
その課程でテレビにも出演する。
様々な考えやバックグラウンドを持った同世代の若者達が、
一定期間一つ屋根の下で暮らす様子を撮ったその番組で、
若者達は議論し、衝突し、友情を育む。
HIV感染者や、セクシュアル・マイノリティに対して、
猜疑や偏見しかもっていなかった若者が、ペドロと出会い、心を開く。
そういった様子がまざまざとテレビに映し出され、
視聴者からは大きな反響が寄せられる。

一方、ペドロの家族は、
彼がゲイであることや、彼のパートナーの存在を受け入れられない。
でも、母親代わりの姉が、彼を一生懸命理解しようと、
あるいは彼に理解してもらおうとつとめるさまが感動的だ。

ゲイの活動家といえば、ハーヴェイ・ミルクが圧倒的に有名だけれど、
この映画を通じて、「ペドロ」という人物が、
数多くのセクシュアルマイノリティの当事者に勇気をあたえ、
同時に多くの「マジョリティ」を変えたことがわかる。
こんなキューバ人がアメリカにいたんだね。

映画の中では、キューバ人の信仰(サンテリア)が垣間みえる場面があったり、
キューバからアメリカに出国する課程で、家族が離れ離れになる切ないシーンもある。
アメリカでキューバ人が開くパーティの様子も印象的で、こんな場面は、キューバ本国で作られた映画でみるのは不可能だろうとも思う。

イチオシ作品の一つ。
ぜひぜひ観てください。
涙もろい年頃の方は、ハンカチを携えて。

(キューバ映画祭inサッポロ2010のブログからの転載です。)

たまには謙虚というか初心。そして感謝。

2010-01-09 02:25:20 | 日記
仕事忙しいです。
でも今日がピーク。

映画祭もやりたいこといろいろで、忙しい。
でも楽しい。

両方の忙しいが重なったので、
もうタイヘンです。

情熱は映画祭の方に圧倒的に偏っているということもあって、
仕事バタバタになりました(映画祭もバタバタじゃないか?!)

どちらも、いろいろ失敗したり、
迷惑かけたりとなっています。

ダメダメな自分に落ち込んだり、
人のせいにしてみたり、
をグルグルしてます。

でも、一方では、
助けてもらっていることを実感して、
ちょっと謙虚な気持ちになります。

とくに、映画祭のことでは
実行委メンバーからも、
友人知人などなどからも、
助けってもらいっぱなし。

年末年始にかけて、
なりふりかまわずに送った、
協賛金無心のメールにも、
徐々に応えが返ってきてます。
ほんとうにありがとう、みんな。

この間、ありがとう、と、ごめんなさい、
の数が増えたなあ。

ごめんなさい、の場面はもっと減らしたい。
謙虚さ・初心・感謝を継続できれば、
減るよね…。




ご馳走食べた。

2010-01-04 00:48:48 | 日記
今日は韓国厨房で新年会。
女ばっかり9人くらい(不確か)集まって、
食べた、飲んだ、喋った。

いつものように、
話題はアチコチ散漫に飛び、
だれと何しゃべったんだっけ?
と、記憶はあやふやだけど、
気の置けない人たちとの
久々の(でもないか?)交流に、
随分ほぐれた。

映画祭が終わったら、また集合したいな。
今度は、今回は声をかけそびれた
あの人も、
この人も、
誘って。

食べたもの。
・チジミ(2種類)
・ナベ(あー名前が思い出せない・2種類)
・トッポギ
・チャプチェ
・キムチの盛り合わせ
・石焼ビビンバ(やっぱり2種類)

飲んだもの(みんなが)
・ざくろ酢
・黒豆マッコリ
・焼酎
・ビール
・梨のジュース

かな??

本当にもうスゴク美味しくて、
食べまくり。
お腹はちきれそう。
朝より体重が1.5kgも増えている!

でもなんと一人2000円とちょっと。
安すぎる!