連休中に、3本のキューバ関連映画を観た。こんな機会は滅多にないよ。3本3様。
1)大きな翼を持った老人
原作はコロンビアの作家ガルシア・マルケス。ノーベル文学賞の受賞者で、「コレラ時代の愛」が映画化されていたりするから、有名。
ぜひ何作か読んでみたい作家の一人。
ある嵐の日、空から落っこちてきたらしい年をとった天使を、ペラーヨとエリセンダ夫婦は、拾う。2人は大きな翼を持ったその男を鶏小屋に抛り込む。男についての噂はあっという間に拡がって、見物人が集まり、神父は彼が本物の天使かどうかを確かめようとする。ペラーヨとエリセンダは、天使を見せ物にして金儲けを始める。人々は天使を一目みるために、病気を治してもらうために、時には国境を跨いで、あちらこちらからやってくる。天使の羽をむしり取って持ち帰る人、翼をひろげた姿をみるために金網越しに物を投げつける人など、物見高い人々からは、信仰心のかけらも感じられない(堕天使だからか?)。だんだんとにぎやかさを増す鶏小屋のまわりには、一儲けしようと、見せ物小屋までやってくる…。
この作品、不思議だったけれど、とても好き。色彩が鮮やか、絵画が映像に盛り込まれているのもいい。
ことばではなにも語らない老人の目の表情を追いかけてしまう。この人は本当に天使なのか、人間なのか、ずっと考え続けてしまう。ペラーヨとエリセンダの息子だけがたった一人、老人と心を交わしあっているのが嬉しい。もう一回みたい。
2)公園からの手紙
2人の若い男女が恋文を交わしあい、互いへの思いを深め合う。実はそれらの恋文は、2人がそれぞれに同一の代筆人に依頼して書いてもらった手紙。中年の代筆人は亡くした妻によく似た恋文の依頼人である若い娘に恋をしている。若い娘は恋文の言葉に心をときめかす。若い男はといえば、空を飛ぶ夢に夢中で、手紙から伺えるイメージとはずいぶんと違っている…。
映画をみながら、この代筆人と娘はいくつくらい年が違うのかしら? などと考えた。じつは以前、30以上も年の離れた人から、ラブレターめいたものをもらって、かなり戸惑ったことがある(年上です。年下なら愉しい、動物園とかでデートする)。そんなことを思いだしながら映画をみてしまった。
私は、言葉が多少(?)噛み合わなくても、空飛ぶ夢を追う青年の方が好きかも(見た目もこっちの方が好み)。
でも、基本的には、老いらくの恋は応援したい。年の差も人次第と思う。頑張って、というか頑張ろう、世の中のオジサンよ、オバサンよ、オジイサンよ、オバアサンよ。
ところで、代筆人という仕事、あるなら私もやりたい。(いま失業中)
3)ハバナ(ネタバレです)
これは、舞台はキューバだけど、アメリカの映画。ロバート・レッドフォード主演。時代は革命前夜。
レッドフォード扮するギャンブラーは、キューバに向かう船で、ある女性と出会う。女性はアメリカ人。キューバ人革命家を夫に持ち、革命運動をシンパシーをもって支えている。夫婦は、革命を阻止しようとする政府につかまり、夫は殺され、女性は拷問をうける。女性に恋をしたレッドフォードは彼女を救い出す。でも彼女はすぐに彼のもとを立ち去り、仲間がいるサンタクララへと向かう…。
キューバ映画祭の時は、革命を支える側の視点からしか、革命に触れることができなかったから、ちがう視点で描かれたこの映画は面白い。ハバナの当時の街の様子や空気を伺い知ることもできる。それに、ギャンブラーっていうのは、カネ持ちの鼻を明かす仕事でもあるんだね、とも思った。
でも、あのラブストーリーはなんじゃ? 女の行動にまったく説得力がない。
これは展開のマズさか? それとも演技力の不足か? 私の価値観のせいか?
なんで迎えに来たレッドフォードと一緒にサンタクララを離れられるの?
そこまで惚れちゃったわけ? いつ?
それとも、自分がアメリカ人だから? 怖かったから?
殺された夫(しかもめちゃめちゃ愛していた)と一緒にたたかっていた、自分にとっての仲間もいるのに。
しかも自分だけ生き残っちゃったのに。
夫への愛、というか、男に引きずられるだけで革命に関わってたの?
だから、今回も男にくっついて行くわけ?
夫が生きているとわかったからといって、そこに戻れてしまうというのもナゾ。
夫との関係だけならばともかく、仲間のもとにも帰るということだよね。
うーん、だれか説明して。
以上、悩み、楽しんだ、キューバ映画づけの3日間でした。
1)大きな翼を持った老人
原作はコロンビアの作家ガルシア・マルケス。ノーベル文学賞の受賞者で、「コレラ時代の愛」が映画化されていたりするから、有名。
ぜひ何作か読んでみたい作家の一人。
ある嵐の日、空から落っこちてきたらしい年をとった天使を、ペラーヨとエリセンダ夫婦は、拾う。2人は大きな翼を持ったその男を鶏小屋に抛り込む。男についての噂はあっという間に拡がって、見物人が集まり、神父は彼が本物の天使かどうかを確かめようとする。ペラーヨとエリセンダは、天使を見せ物にして金儲けを始める。人々は天使を一目みるために、病気を治してもらうために、時には国境を跨いで、あちらこちらからやってくる。天使の羽をむしり取って持ち帰る人、翼をひろげた姿をみるために金網越しに物を投げつける人など、物見高い人々からは、信仰心のかけらも感じられない(堕天使だからか?)。だんだんとにぎやかさを増す鶏小屋のまわりには、一儲けしようと、見せ物小屋までやってくる…。
この作品、不思議だったけれど、とても好き。色彩が鮮やか、絵画が映像に盛り込まれているのもいい。
ことばではなにも語らない老人の目の表情を追いかけてしまう。この人は本当に天使なのか、人間なのか、ずっと考え続けてしまう。ペラーヨとエリセンダの息子だけがたった一人、老人と心を交わしあっているのが嬉しい。もう一回みたい。
2)公園からの手紙
2人の若い男女が恋文を交わしあい、互いへの思いを深め合う。実はそれらの恋文は、2人がそれぞれに同一の代筆人に依頼して書いてもらった手紙。中年の代筆人は亡くした妻によく似た恋文の依頼人である若い娘に恋をしている。若い娘は恋文の言葉に心をときめかす。若い男はといえば、空を飛ぶ夢に夢中で、手紙から伺えるイメージとはずいぶんと違っている…。
映画をみながら、この代筆人と娘はいくつくらい年が違うのかしら? などと考えた。じつは以前、30以上も年の離れた人から、ラブレターめいたものをもらって、かなり戸惑ったことがある(年上です。年下なら愉しい、動物園とかでデートする)。そんなことを思いだしながら映画をみてしまった。
私は、言葉が多少(?)噛み合わなくても、空飛ぶ夢を追う青年の方が好きかも(見た目もこっちの方が好み)。
でも、基本的には、老いらくの恋は応援したい。年の差も人次第と思う。頑張って、というか頑張ろう、世の中のオジサンよ、オバサンよ、オジイサンよ、オバアサンよ。
ところで、代筆人という仕事、あるなら私もやりたい。(いま失業中)
3)ハバナ(ネタバレです)
これは、舞台はキューバだけど、アメリカの映画。ロバート・レッドフォード主演。時代は革命前夜。
レッドフォード扮するギャンブラーは、キューバに向かう船で、ある女性と出会う。女性はアメリカ人。キューバ人革命家を夫に持ち、革命運動をシンパシーをもって支えている。夫婦は、革命を阻止しようとする政府につかまり、夫は殺され、女性は拷問をうける。女性に恋をしたレッドフォードは彼女を救い出す。でも彼女はすぐに彼のもとを立ち去り、仲間がいるサンタクララへと向かう…。
キューバ映画祭の時は、革命を支える側の視点からしか、革命に触れることができなかったから、ちがう視点で描かれたこの映画は面白い。ハバナの当時の街の様子や空気を伺い知ることもできる。それに、ギャンブラーっていうのは、カネ持ちの鼻を明かす仕事でもあるんだね、とも思った。
でも、あのラブストーリーはなんじゃ? 女の行動にまったく説得力がない。
これは展開のマズさか? それとも演技力の不足か? 私の価値観のせいか?
なんで迎えに来たレッドフォードと一緒にサンタクララを離れられるの?
そこまで惚れちゃったわけ? いつ?
それとも、自分がアメリカ人だから? 怖かったから?
殺された夫(しかもめちゃめちゃ愛していた)と一緒にたたかっていた、自分にとっての仲間もいるのに。
しかも自分だけ生き残っちゃったのに。
夫への愛、というか、男に引きずられるだけで革命に関わってたの?
だから、今回も男にくっついて行くわけ?
夫が生きているとわかったからといって、そこに戻れてしまうというのもナゾ。
夫との関係だけならばともかく、仲間のもとにも帰るということだよね。
うーん、だれか説明して。
以上、悩み、楽しんだ、キューバ映画づけの3日間でした。
でも、ナンデ、ナンデ、と考えた。「アンタ(女の人)には共感できねー」と思いながらみた。
同じものをみてもずいぶん感じ方、違う。率直な自分の感じ方を表現して、反応がかえってくるのはナカナカ愉しいですね。
男が女を夫の元に返したのだって、なんか、一度ものにしたからもう別にどうでもいい、って見方だってできるし。
エンディング、海を見ながら女を思う男。好きにしてろ!って感じでしたわ。トホホ
何だか昔に死んでしまった親戚のおじいさんを思い出すなあ。
年寄りは大事にしないとイカンでしょ。という感じかなあ。
そんな感じだね。