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『ファミリー・ツリー』 ここほど過酷な世界はない・・・

2012年05月23日 | しみじみした映画

原題:THE DESCENDANTS (G)
2011年・アメリカ(115分)

製作&監督&脚本:アレクサンダー・ペイン
脚本: ナット・ファクソン、ジム
音楽:
出演:ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー、ボー・ブリッジス、
    ロバート・フォスター、ジュディ・グリア、マシュー・リラード、メアリー・バードソング ほか


鑑賞日:2012年5月18日 (渋谷)

 

先祖から受け継いだ一族の莫大な遺産には手を付けないよう、
自分の稼ぎだけで家族を養う為、
弁護士として懸命に働き続けてきたマット

ある日突然、パワーボートの事故で、妻はこん睡状態となった。
仕事にかまけ、いつしか冷めていた妻との関係を償うように、
マットは献身的に、看病を続けてきた。
しかし、医者が宣告する。
「もはや、意識が戻る可能性はない。」と。
本人による事前指示書では延命を望んでいないため、
これ以上の治療はやめる、と。

人工呼吸器につながれた妻の姿を前に、逝かせる覚悟を決めたマットは、
その前に、娘たちや妻の両親、友人たちにも最後の別れをしてもらおうと考える。

・・・と、ここまでは、穏やかに妻をおくり出そうとしている夫のお話。
しかし、ハワイ島の寄宿学校にいる長女を迎えに行ったところから、
夫として父親として見過ごしていた現実を突きつけられ、
穏やかに妻を“おくる”どころではなくなる。

寄宿舎を抜け出し飲酒をしていた長女をオアフ島に連れ戻した翌日。
冷めてはいても、夫婦としての絆を信じていた妻が、
実は浮気をしていたと娘の口から聞かされる。
その瞬間のマット=G・クルーニーの表情が、いい!!

(嘘だ。何を言ってるんだ?そんなことが・・・、いや間違いだろ。)

50代の等身大の男の動揺、心の葛藤が透けて見え、
あのG・クルーニーが、ぐっと身近な中年男に見えてくる。

「気づかなかったよね!そうでしょ?仕事ばかりしてるから。」と、

娘に難詰されても、
「男といたからって、ただの知人かも。」と、聞き返すのがやっと。
明らかに動揺を押し隠しているマットに、娘の言葉がとどめとなって突き刺さる。
「男がママのお尻を触ってたのよ。」

ここまで感情を抑え冷静に振舞おうとしていたマットもついにいたたまれなくなり、
事の真偽を確かめようとサンダルをつっかけ家を飛び出し、友人宅へと駆け出していく。
オアフの住宅街の坂道を、サンダル履きで必死に駆け下りていくその姿が最高に笑える。

かつてないG・クルーニーのダサ中年男ぶりが随所に生きた作品。
(ゴールデングローブ賞・主演男優賞受賞に納得。)

感情表現を大げさにすればコメディに、
抑え過ぎればシリアスで沈鬱にもなる物語を、
アレキサンダー・ペイン監督の絶妙のさじ加減が、
リアルで感動的な物語に仕上げている。

観終わった後も心に染みてくる、そんな映画でした。

G・クルーニー、グッジョブ!:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
シャイリーン・ウッドリーの演技力:★★★★★★★★★★★★★★
スクービー・ドゥー!!:★★★★★★★★★★
涙がこぼれる度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ハワイに心惹かれる度:★★★★★★★★★


鑑賞後の総合評価:

                          

ちょいネタバレ:

長女アレクサンドラの水中での嗚咽や、
マットから妻への最後のキス・シーンは、心に迫った。

南国ハワイ暮らしのマットの語りから始まった物語は、
南極で生きる『皇帝ペンギン』のドキュメンタリー映画、
モーガン・フリーマンの語りで終わる。

ペイン監督のセンスに拍手!

余談 
アレクサンダー・ペイン監督は、今年のカンヌ国際映画祭の審査員でもある。
授賞式は27日深夜(日本時間)。
今年はどんな作品が選ばれるのだろうか?
楽しみ!


余談◆
この作品の背景にある土地信託。
その権利が7年後に失効するという。
家族の物語の裏にあるシビアな現実。
ハワイを舞台に、
主人公を王族の末裔とした理由が、そこにある気がした。

ハワイが辿った歴史を知るうえで見逃せない映画が間もなく公開。
ハワイ王朝最後のプリンセス、真実の物語
『プリンセス・カイウラニ』 7月7日(土)公開


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