競馬マニアの1人ケイバ談義

がんばれ、ドレッドノータス!

女神「女神の一番長い日」5

2017年05月18日 | 女神
 館内に放送が鳴り響きました。隊長の声です。
「緊急招集! 緊急招集! テレストリアルガードの隊員はサブオペレーションルームに集合せよ!」
 それを聞いて自室で寛いでいた倉見隊員と寒川隊員は顔を挙げました。女神も慌ててヘルメットを被りました。女神はそのまま廊下に出て走り、サブオペレーションルームに入りました。中にはすでに5人の隊員が集まってました。女神はその中の海老名隊員に注目しました。女神と海老名隊員はここで初対面です。海老名隊員はなぜか喜んでるようです。
「あなたが今度うちの隊員になった宇宙人でしょ!」
「ええ、あなたが海老名隊員?」
「はい。あの~、顔を見せてくれませんか?」
 女神はそのセリフにびっくりです。さすがにここで隊長が横槍を入れました。
「おい、今は仕事中だぞ」
「は~い」
 テレストリアルガードの隊員とは思えないキャビキャビとした女の子です。ただ、女神は感じました。この女の子が放ってるオーラを。そのオーラは自分たち神や女神が持ってるオーラと同じだったのです。海老名隊員には何か秘密があるようです。
 ここから本題です。
「エイリアンの残党が見つかったと、たった今警察経由で通報があった。身柄を確保しに行くぞ!」
「はい!」
 と、隊長は女神を見ました。
「行けるか?」
「はい」
「今日はいろいろあってすまないな」
「いいえ」
 と言っても、一つ眼の宇宙人は今断ることができません。断ればテレストリアルガードクビになる可能性があります。クビになればその後どんなひどい目に遭うのかわからないからです。
 上溝隊員が部屋の隅にある造り付けの金庫の扉を開けました。そこには38口径くらいの大きさの光線銃が収納してあります。
「みなさん、レーザーガンです」
 まず隊長がレーザーガンを受け取りました。
「ありがと」
 次に倉見隊員、次に寒川隊員が受け取り、その次の海老名隊員は一回り小さいレーザーガンを受け取りました。最後に女神がレーザーガンを受け取ろうとしましたが、倉見隊員が、
「ちょっと待ってくれよ。たった今加入したやつに、そんな危険なものを渡す気か?」
 女神はレーザーガンを受け取る手を止めました。隊長はそれを見て、
「仕方がないなあ。すまないが、今日は丸腰で頼む」
「大丈夫ですよ」
「よし、出動だ!」

 ここはテレストリアルガードの基地です。と言っても、巨大な滑走路の傍らにある3階建てのふつーの建物です。でも、地下には巨大な施設があるようです。滑走路と反対側には玄関があります。玄関の横には格納庫のような駐車場があり、数台のクルマが駐まってます。今セダンタイプのクルマに隊長と海老名隊員と女神が乗車し、その横のオフロードタイプの4WDには倉見隊員と寒川隊員が乗車しました。セダンも4WDもストーク号やヘロン号と同じカラーリングが施されてます。
 今セダンの屋根の小さなハッチが開き、パトロールランプが出現。サイレンを鳴らしながらセダンが発進しました。それに続いて4WDも発進。こちらもパトロールランプが現れ、サイレンを鳴らしてます。
 セダンの中です。運転席には隊長、助手席には海老名隊員、後部座席には女神が座ってます。女神の発言です。
「すみません。エイリアンの残党狩りてなんですか?」
 隊長はハンドルを握りながら、
「5年前この星はユミル星人に総攻撃を喰らったことがあったんだ」
「ええ、それは先ほど聞きました」
「実はそのとき、我が国はヴィーヴルという軍隊と交渉してたんだ。ヴィーヴルというのは、宇宙の傭兵軍団みたいなものだな。
 ユミル星人第二次襲来で我が国は急きょヴィーヴルと契約し、彼らは地球にやってきたんだ。ヴィーヴルの軍事技術はユミル星人をはるかに超えていて、ユミル星人は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったんだ。そのせいか、地球に取り残されたユミル星人の兵隊がたくさんいたんだ。残党狩りていうのは、そいつらを見つけて逮捕する、または処分することだよ」
「5年も経ってるのに、まだ残党がいるんですか?」
「ユミル星人が攻めてきたと言っても、実際攻めてきた連中はユミル星人の植民地となった星の住民ばかり。ご丁寧にこの地球の住民と姿形が酷似した人種ばかり選んできたんだ。そのせいで、未だに残党がいるんだよ」
 女神はちょっと考えてしまいました。自分はあまりにもこの星の住民と顔が違うからです。
 ここで海老名隊員の発言です。
「あの~、宇宙人さん、お願いです。ヘルメット脱いでくれませんか?」
 隊長はちょっと呆れてるようです。
「おいおい、この星の空気に宇宙人をさらしたら、最初に襲来したユミル星人みたいにあっとゆー間に病気になって死んじゃうかもしれないんだぞ。それに女神隊員のもってる病原菌だって、地球人にどんな災いを起こすのかわからないし」
「ちぇっ。でも、報告書読んだら、一度顔を晒したことになってますよ」
「それは山奥での話。町でやっちゃだめだろ。もしどうしても見たいのなら、今女神隊員が住んでいる無菌室でやれ。そんときはお前がヘルメットを被るんだぞ」
「はーい」
 で、女神ですが、フルフェイスのヘルメットを被っていてどんな表情でこの会話を聞いていたのか、てんでわかりませんでした。
 今度は後ろを走る4WDです。運転手は寒川隊員、助手席には倉見隊員が座ってました。まずは倉見隊員の発言です。
「お前、あの女、どう思う?」
「女神さんのことですか? まあ、巨大化するし、光線技も使えるし、すごいじゃないですか」
「オレは嫌だな。あいつなら、橋本さんの方が1万番マシだ。
 考えてもみろよ、あいつはエイリアンだぜ。エイリアンは侵略者だ。そんなやつ、テレストリアルガードに入れていいのかよ?」
「彼女は母星を侵略されてこの星に逃げてきたんですよ」
「それがどうした! エイリアンはエイリアンだろ!」
 その急な大声に寒川隊員は何も返答ができません。倉見隊員は自分より年齢が上です。ここは逆らわない方が得策だと判断し、ただ黙ってハンドルを握ることにしました。

 ちょっと古い住宅街です。はるか向こうに高架橋の線路が見えてて、そこまで家が並んでいます。背の高いマンションも点々と見えます。ここはその中にあるマンションの工事現場。仮囲いに沿ってテレストリアルガードのセダンと4WD、それに数台のパトカーが駐まってます。ゲートが開いていて、工事現場の監督さんがテレストリアルガードの隊員と警官たちに囲まれ、質問を受けてます。
「いや~、10分前までこの現場にいたんですがねぇ・・・」
 香川隊長はここで悔しそうな顔をするかと思いきや、別に表情は変わってないようです。
「ふっ、そうか」
 警官の中の1人が隊長に話しかけました。
「すみません。最初に駆けつけた警官がここでガードマンに質問したのですが、どうやら本人に聞かれてたようで・・・」
 寒川隊員はタブレット端末をその監督さんに見せました。
「この2人ですか?」
 その画面には2人の男が写ってます。
「ええ、この2人です。今まで一度も声を発したことがなかったから、何かの病気かなあと思ってたのですが、まさかエイリアンだったとはねぇ・・・」
「仕方がないなあ。全員で捜索するか。相手は重火器を持ってる可能性もあるから、みんな、十分気を付けめこと!」
「はい!」
 テレストリアルガードの隊員たちと警官隊が散って行きました。隊長も海老名隊員を連れて捜索に出ようとしましたが、先ほどの警官に呼び止まられました。
「あの~」
「ん、なんだ?」
 警官は警官隊とともに駆けて行く女神を見て、
「あの人はなんでヘルメットをしてるんですか?」
「ああ、彼女は5年前の戦争で顔を潰されてね」
「ああ、なるほど」
 海老名隊員はそれを聞いて、うまいこと言うなあと、関心したようです。

 狭い路地が続く街並み。パトカーがサイレンを鳴らしながら行き交ってます。さらに狭い道では、警官隊隊があたりを見回しながら小走りで移動してます。その後ろに女神がいます。
「おい!」
 その声に女神は歩みを止めました。女神が振り返ると、そこには倉見隊員が立ってました。その手にはレーザーガンが握られています。
「お前、何様のつもりだ!」
 これを見て、女神はこう思いました。「もう来たか」
「お前、テレストリアルガード辞めろ! お前なんかより橋本さんの方がずーっと使えるんだよ! テレストリアルガードは橋本さんが必要なんだよ!」
「私は・・・ 私はここを辞めません」
「なんだと?」
「私の居場所は今ここにしかないからです」
 と、これを聞いて倉見隊員は苦笑してしまいました。
「がははぁ、お笑いだぜ、エイリアンのくせして!
 なあ、知ってるか? 日本の法律てーのは、地球人を保護するためにあるんだぜ。お前みたいなエイリアンには適用されないんだ。今お前を殺したって、オレは完全無罪なんだよ!
 死ねーっ!」
 倉見隊員はレーザーガンの銃爪を引きました。光弾が女神に向かって行きます。が、女神の身体に光弾が当たる寸前、女神の前に青白いハニカム構造の光のガードが現れ、その光弾を弾きました。女神はバリアを張ったのです。倉見隊員は悔しそうです。
「く、くそーっ!」
 次の瞬間、女神はふっと消えました。倉見隊員はそれを見て驚きました。
「テレポーテーション?」
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