古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイスの近所にある博多区対馬小路の長期滞在型病院です。病院の紹介や医療情報の発信を目的としています。

飼い犬に手を咬まれたら(動物咬傷)

2016-10-08 20:45:43 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今日は動物による咬傷の話です。

「飼い犬に手を咬まれる」(味方と思っていた人に裏切られること)という諺がありますが、
諺でなく、現実に動物に身体を咬まれたら 皆さんどうされますか?

動物(ヒトを含む)に身体を咬まれたらどうするかって?
舐めた後にアロエでも貼っておけば・・・

いやいや、動物の口腔内は大変に汚いです。
ですので、至急 医療機関に向かってください。

蛇なんかもそうですが、口で毒とか唾液を吸い出すのはやめましょう。
おしっこを傷口にかけたらいいとかいう人もいますが、間違いです。
諸説あるものの、傷口をぶすぶす刺したり、切開するのもやめましょう。

野原などで釘を踏んでしまったりしたときもそうですが
動物咬傷の場合、破傷風という疾患が発症する可能性があります。

破傷風はいったん発症すると8割がたが死亡するという恐ろしい病気です。

破傷風とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.html

破傷風は 動物咬傷後、破傷風トキソイドという予防接種というか治療接種にて
発症を予防します。
ちなみに破傷風はDTP(ジフテリア、破傷風トキソイド、百日咳)ワクチン、DT(ジフテリア、破傷風トキソイド)ワクチンとして、
乳幼児および小児の定期接種にすでに組み込まれています。
不活化ワクチンのため、5回打ちです。
このワクチンは保護者が適切に打っていれば、小学校6年生が最終接種です。
母子手帳を確認しましょう。

小学校6年生で打っていれば、その後10年はワクチン効果が持続するといわれています。
しかし、それ以降(すなわち22歳以上)であれば、動物咬傷をはじめ、野外で深い傷を負った場合は
破傷風トキソイドワクチン接種が必要です。

受傷時に破傷風トキソイドワクチンに加え、免疫グロブリン製剤を破傷風発症前に
投与するかどうかは諸説あるものの、現在は以下のガイドラインに沿って行うようにということに
一応なっており、トキソイドワクチンは治療とみなされ、保険適用となっております。
免疫グロブリン製剤の保険適応は 各都道府県レセプト審査委員の胸三寸のようです。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/23/263/dj2632.html




横に裂けた傷はそのまま洗浄すればよいのですが
咬まれた傷が小さいものの、深く歯が刺さった場合は
ナイロン糸ドレナージという方法が近年 流行っているようです。(夏井睦先生)
http://www.wound-treatment.jp/next/case/440.htm
https://www.m3.com/clinical/sanpiryoron/127087

ちなみに昔は 構わずメスや針などでぶすぶす刺しておりました。
今では推奨されていません。

傷の処置後は
感染に備え、嫌気性菌をカバーするペニシリン系抗生剤投与も行います。

このように結構な大掛かりなことになりますので
たかが咬み傷と馬鹿にせず、受診をお願いします。

事例あり、最近の治療法について改めて勉強しました。
動物咬傷時の手当をはじめ、日本ではいわゆる応急処置教育は 
医療界でも長らく軽視されていたのですが(日赤や消防で簡単な講習はありますが、あまり実用的ではありません)
近年ファーストエイド講習として、民間団体主催であちこちで有料講習が行われています。

http://aha-ecc.jp/hs_fa.php(医療従事者向け)
http://www.jsmmed.org/firstaid/fa_index.html(一般市民向け)

管理人は、以前 県の教育委員会に
非常勤技師で勤務していた際に、ファーストエイドは
結構勉強し その時の知識は
一次救急を担う現在も非常に役に立っています。

http://komori-hp.cloud-line.com/






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