コメちゃんの悪性リンパ腫闘病日記

悪性リンパ腫になってからの生活の様子と病気についての考え方を書いていきます。

ピルビン酸について考えてみた

2017-02-08 18:09:48 | 日記
この日記もこの3月で一年経ったことになる。
あまり投稿しなかったし、言いたいことを言わせてもらい
興味のある人だけ、一人でも二人でも見てくれればいいや、という位の日記なので
いいかげんな内容だったと思うが
これまでの日記を読み返してみて
結構、間違ったことを言っていることに自分でビックリした。
「ヒトのエネルギー代謝についての考察」では
「6炭糖のグルコースを嫌気的(無酸素)に3炭糖のピルビン酸2つに分解し」と言っている。
これを読んだ人は
「ピルビン酸は3炭糖じゃなくてカルボン酸だろ」とツッコミを入れたと思う。
本当にお恥ずかしい限りで、浅い知識がバレバレになりました。
ということで、今回は「ピルビン酸」について考えてみようと思います。
まず分子構造についてですが
基本をおさらいしてみます。
生体分子は炭素の連なりに色々な原子(水素や酸素、窒素など)がくっついた構造(炭素骨格)をしています。
炭素と水素だけでできている分子を炭化水素と言います。
炭素数3の炭化水素に鎖式飽和炭化水素のプロパン(プロパンガスのプロパン)があります。
構造式は CH3-CH2-CH3です。
端の炭素の構造がメチル基(-CH3 )の構造でなく、
カルボキシ基(−COOH)の構造になると
カルボン酸のプロピオン酸(プロパン酸)になります。
示性式は CH3CH2COOHです。
これは炭素数6以下の短鎖脂肪酸で
他に炭素数2の酢酸、炭素数4の酪酸などがあり
ヒトの場合、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸と言われています。
短鎖脂肪酸のヒトにおける役割としては
ヒトの大腸内で腸内細菌が食物繊維(難消化性糖類)を発酵する際に短鎖脂肪酸を産生し
吸収された短鎖脂肪酸のうち、酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源として利用され
酢酸とプロピオン酸は肝臓や筋肉で代謝利用されます。
また短鎖脂肪酸の受容体が全身の様々な部位にあり
短鎖脂肪酸はこれらの部位で免疫機能の調節などの生体調節機能を果たしています。
例えば酪酸には過剰な免疫反応を抑える Treg細胞という免疫細胞を増やす効果があります。
これには酪酸が大腸上皮細胞のヒストンのアセチル化を促進する働きが関与しています。
ヒトにおける短鎖脂肪酸の供給源は腸内細菌による食物繊維(難消化性糖類)の発酵にあるので
腸内環境を整えることが大事になります。
また構造に戻って
プロピオン酸(プロパン酸)の2位の炭素に水素でなく酸素がくっつくと
ピルビン酸(2-オキソプロパン酸)になります。
示性式が CH3C(=O)COOH と表されるカルボン酸です。
ピルビン酸は生化学において重要な化合物(代謝のハブ分子)となっており
解糖系として知られるグルコースの嫌気性代謝の生産物です。
グルコース1分子はピルビン酸2分子へと分解し
ピルビン酸はさらにエネルギーを得るため2つの方法で使われます。
一つはピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の作用によって
TCA回路として知られる一連の反応の主要な材料であるアセチルCoAへと変換され
もう一つは補充反応によってオキサロ酢酸へ変換されます。
オキサロ酢酸はTCA回路の中間体を補充し、糖新生にも使用されます。
グルコースの嫌気解糖だけで反応が終わる場合は
ピルビン酸は乳酸に変換されます。
乳酸脱水素酵素(LDH)によって
ピルビン酸の2位の炭素に結合している酸素に水素が付加され
乳酸( 2-ヒドロキシプロパン酸 )となります。
示性式は CH3-CH(OH)-COOHです。
この反応の意味は
嫌気解糖を継続する為に
解糖系の報酬期(ATPを作る)に回すのに必要な
NAD十を回復することにあります。
ピルビン酸にアラニンアミノ基転移酵素(ALT)によって
グルタミン酸からアミノ基を転移されると
アミノ酸のアラニン(2-アミノプロパン酸)になります。
示性式は、CH3CH(COOH)NH2 です。
ここに出てくる酵素のLDHやALTは
通常は血液検査では肝臓の細胞が破壊された時に出る逸脱酵素として
肝機能評価に使われますが
代謝異常としては
ピルビン酸・乳酸間(LDH)、ピルビン酸・アラニン間(ALT)の
代謝異常として考えるべきなのではないでしょうか?
この辺りは代謝に詳しい方に聞いてみたい事柄です。
以上、簡単ですが
ピルビン酸とその周辺の生体分子について
おさらいしてみました。


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