ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

ノセダとN響の新幹線「運命」

2015-01-12 00:32:06 | N響
一昨日(10日)NHKホールで開かれたNHK交響楽団第第1799回定期公演Aプログラムを聴きに行ってきた。指揮はジャナンドレア・ノセダ。ピアノはアレクサンダー・ガヴリリュク。

【演目】(※はアンコール曲)
フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番ハ長調
※ショパン/練習曲 作品25−7
  〜休 憩〜
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調「運命」
《19時00分開演、20時50分終演》

1曲目。先月デュトワの指揮で『ペレアスとメリザンド』の演奏会形式をやったばかりなのに、それからひと月後には組曲の演奏である。どういう意図でこういうプログラミングをされたのか解らないが、結論からすると、凡庸な演奏だった。確かにフルートのソロや木管のアンサンブルなど聴かせどころのツボをしっかり押さえているものの、ノセダの少し感情的な指揮とこの曲はマッチしない感じで、オケもどことなく上手く協調しているように思えなかった。

2曲目。第1楽章はいかに鍵盤の上を飛び跳ねるかのように演奏。続く第2楽章はどれだけ鍵盤を撫でるというか愛でるかのように演奏。そして、第3楽章になると今度は鍵盤が壊れるのではないかと思うぐらいの破壊的な演奏。プロコフィエフの傑作を、アレクサンダー・ガヴリリュクはその意を汲みするかのように前衛的かつ攻撃的に演奏した。終演後は指揮のジャナンドレア・ノセダと抱き合い、満面の笑みを客席に見せた。納得の演奏であったに違いない。私も十二分に堪能させてもらった。

3曲目。ノセダは指揮台に上がるやいなや、振り向きざまに太刀を下すかのようにタクトを振り下ろし「ジャジャジャジャーン♪」と音を奏であげさせる。そして、そのあとのテンポといえば、まるで東京発博多行き新幹線「のぞみ」が品川駅、新横浜駅を止まらずにいくかのような速さで呆気に取られる。こんな超高速の「運命」は初めてである。これではあっという間に終わってしまうと懸念していたら、それはあくまでも第1楽章だけでホッとする。といっても、第2楽章以降も「ひかり」並みで、14型編成のオケはまるで高性能マシーンかのように緻密な音色を奏でていく。ところが、第3楽章冒頭でチェロにアクシデントがあったりするものの、そんなことが何事もなかったのようにノセダ運転手によるN響新幹線は、終曲まで緊張感のなか緻密かつ精巧な演奏で走り続けた。ああ、面白かった。


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