ある自治体との打ち合わせの感想です。
実は道路を舗装しているアスファルトって、古くなったものは取っておいて薬剤で処理をすると再び使えるようになります。
これを「再生合材」と言って、リサイクルが効くので環境保護の観点からは、新しい合材を利用するよりもリサイクル製品を使う方が環境に優しいと言われます。
で、その自治体との打ち合わせの中身ですが、舗装業者側の意見として、「急斜面での舗装では指定の再生合材では施工が不安定になることと、舗装面が滑りやすくなって冬期の走行性能が劣るので、違う配合や新しい合材を使った方が良いのではないか」という提案をしたのです。
ところがその自治体の回答は、「環境都市を標榜しているからには、リサイクルのきく製品ならばそれを使ってほしい。そこでリサイクル製品を使わないというのは、環境都市の理念に合致しないと言われそうだから」というものでした。
実に興味深い反応です。
可能な限りリサイクルを推進したいという気持ちはわかるものの、その理念をしゃくし定規に推し進めることで、最前線の現場では不具合が生じるという、二律背反な状態に陥ります。
「こう決めたんだから守るべき」という意思が、最前線の現場の現実にそぐわないというときに、現実に対応するのではなく、理念を押し付けざるを得ない。
こういう体質が、現場に最適なものを作らせず最適な対応をさせない典型的な理由なんだな、と改めて感じた一瞬でした。
「もう決まっているから」「上からそう言われていないから」「それを実現するには手間と時間がかかるから」…そういう理由で無理が通ると道理が引っ込むということは多いのです。
ずーっと後ろにいる人とその理念が、最前線を理解したものになっていいないというのは実に残念です。
この解決のための対応方策は、とにかく対話しかありません。
何度でもお話に行きますよ。