北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

はー、日本列島はこうやってできたんだ

2017-03-28 21:59:11 | 本の感想

 

 タモリさんが登場するNHKの人気番組「ブラタモリ」。

 最初は単なる地域紹介の番組かと思っていたのですが、あるときから「地質だとか地形といった地学的な要素によって、地域の歴史が説明できる」という主旨が鮮明になってきました。

 特にナビゲーターのタモリさんが地質や地形に造詣が深いということがあって、現地を案内する地元の専門家も舌を巻く様子が番組の一つのお約束になっています。

 今回読んだのは、「日本列島100万年史」(ブルーバックス 山崎晴雄・久保純子著)。

 これは46億年という長い地球の歴史の中の、新生代第四紀と呼ばれる最新の260万年という時間スケールで日本列島の変化を説明しようという本で、身近な自然としての「地形」を分かりやすく説明してくれます。

 章立てとしては、まず「日本列島はどのようにして形作られたか」ということで、日本列島全体の成り立ちを説明し、その後に、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州というもう少し細かい各地域の土地の発達史を紹介しています。

 
 日本の(というか、世界もそうですが)地形形成に強く影響している要素は、なんといっても「プレートテクトニクス」。地球内部の熱による対流で、地球表層のプレートと呼ばれる薄い層がゆっくりゆっくり下から湧いてきたり、プレート同士がぶつかるところでは片方が下に沈み込むという動きの原因です。

 特に日本列島は太平洋の西側の端にあって太平洋プレートのほかに、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートが、複雑に相互作用をしていて、これが日本列島の成り立ちに関わっています。

 日本が列島になったのは、1900万年前~1500万年前に、沈み込む海洋プレートと大陸プレートとの間のマントルに対流が発生して下から湧き出す力で大陸プレートが割れて今の日本列島が大陸から離れて日本海に相当する部分が登場したから。

 その後列島の東半分は反時計回りに、また西半分は時計回りに回転しながら合わさってその間にはフォッサマグナ(大地溝帯)が形成されました。

    ◆

 次の要素が「火山」。日本列島は火山列島ですが、火山は地下のマグマがマントルから上昇してきて地表に噴出したものです。

 沈み込むプレートが地下100kmほどのところが、温度や圧力の関係で岩石がもっとも溶けやすくなり、そこに水が作用するため、海底のプレートが沈み込む中で地下100kmほどになったところの上に火山ができやすくなるわけ。

 子供のころは「那須火山帯」とといった表現が社会の教科書にあった記憶がありますが、今はこうした背景が分かってきたのでそういう表現はなくなったようです。教科書の知識も変わるんですね。

    ◆

 最後の要素が気候変動による海水や水の力。この本が対象としている時代は、260万年前から今日までの新生代第四紀という時代ですが、この期間に日本列島の地形形成に大きく影響したのは、温暖期と氷期が繰り返されたことによる海水面の上下変化です。

 寒冷期には水が大陸に雪として積もり、それが夏になっても解けずに氷床になりそれが発達します。降った雨が海に戻ってこないので、海水の量が次第に減って海水面がどんどん低下して、今よりも海水面が120メートルも低い時代が続いたのだそうです。

 そのときは今よりもずっと陸地が広がり、低くなった海面近くでは陸地からの土が流れて広い海岸平野ができます。

 やはり子供の時に、「日本列島の周りには大陸棚とよばれる海面の浅いところがある」と習いましたが、これは実はこの時代の海岸平野の名残なんだそうで、この後に海水面が上がったことで海の底になったということなんですね。初めてわかりましたわ。


    ◆

 各地の地形紹介のなかでの北海道の紹介では、「大雪山と層雲峡のなりたち」があって「ナキウサギは氷河期の生き残り」とされています。

 氷河期に海水面が下がった時には、北海道はカラフトを経由して大陸と繋がっていたのですが、津軽海峡はまだ深かったためにそのときも海だったらしく、北海道の多くの動物が本州と縁が切れていて独自なのは、そういうことが原因なんだそう。

 また道東の根釧台地や道北の宗谷丘陵では、氷河に由来する周氷河地形が随所に見られるとも紹介されています。

 最近は地学的に興味深い土地を「ジオパーク」として認定して観光の目玉になっているところも増えてきました。

 大きな時間スケールと土地スケールという地学的な視点で北海道の風景を眺めると、また新たな観光の魅力が発見できますよ。


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