駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇星組『桜華に舞え/ロマンス!!』

2016年10月29日 | 観劇記/タイトルあ行
 宝塚大劇場、2016年9月3日15時。
 東京宝塚劇場、2016年10月25日18時半。

 黒船が来航し、異国を排斥しようとする攘夷の気運が日本全国で高まり始めていたころ、雄大な桜島を望む薩摩の吉野に生まれ育った中村半次郎(後の桐野利秋。北翔海莉)は幼馴染の衣波隼太郎(紅ゆずる)と共に、京で刀を振るう日を夢見て剣術の稽古に明け暮れていた。ある時、縁あって薩摩の英傑・西郷吉之介(後の隆盛。美城れん)と対面する機会を得た半次郎は、攘夷を成し遂げるために京に行きたいと直訴するが…
 作・演出/齋藤吉正、作曲・編曲/青木朝子。みちふうサヨナラ公演。

 問題点はふたつだけ。
 まず第一に、鹿児島弁がものすごすぎて台詞が6割くらいしかわかりません、これは大問題だと思います。脳内でいちいち標準語に訳すタイムロスが強いられ、観客が登場人物に感情移入したり気持ちがお話に乗っていく妨げになっています。もっとずっと減らして、語尾に特徴的な訛りが出るとかイントネーションがそれっぽいとかだけで十分です。そうした方が、「泣こかい? 飛ぼかい? 泣こよか、ひっ飛べ!」(だっけ?)というキーワードも効いてきたはずです。今の世の中のメジャー商業演劇で全編オール鹿児島弁でいこうなんて、演出家と役者の自己満足にすぎませんよ。みっちゃんなら齋藤くんを止められたのでは?と思うと残念です。
 感情的な流れがある場面は演技の助けもあって類推しやすいけれど、政治的な話を鹿児島弁でされると完全に理解が追いつかなくなり、それでストーリーからおいていかれた観客も多いはずです。多少の西南戦争に関する知識がないと、何故みっちゃんとベニー、かいちゃんたちが対立するはめになったのか、故郷に帰った彼らが追い詰められるように立ち上がらざるをえなかったのか、事情がサッパリわからず、それで上手く泣けなかった、という観客は意外に多いです。これは問題ですよ。同郷で幼馴染で同志で仲間だった彼らが、いかに対立せざるをえなくなり、それでも心はひとつで、それでも戦い一方は散るしかなかった、そこにこそドラマがあり泣かせどころがあり物語の主眼があったはずなのですから。猛省を促したいです。
 第二に、冒頭で何度も時系列が逆転する構成は、もう一声整理できたはずです。なんでもかんでも起きた順に説明するのは芸がない気がする、だからアバンを置きたくなる、それはわかります。でも二度も三度も話を行ったり来たりさせることは、ついていけずにこぼれる観客を少なからず生み出します。しかも場所まで変わっています。もっと観客に親切な舞台つくりを心がけるべきです。まずわかりやすく、その上でおもしろく、を心がけていただきたいです。
 逆にそれ以外は、本当によくで来た作品だと思いました。「サヨナラ公演に名作なし」と言われる宝塚歌劇ですが、最近だとちえねねの『黒豹の如く』とかまゆたんの『ラスト・タイクーン』とかテルの『白夜の誓い』は本当につらかったよね…きりまりの『エドワード8世』は私は好きでしたが、地味だと言う人も多いことでしょう。まさおの『NOBUNAGA』も評価が分かれるところかな? えりあゆの『前田慶二』はよかったかもしれませんね、そのレベルの仕上がりだったのではないでしょうか。
 確かにみちふう大ロマンス!とかではなかったけれど、ちゃんとラブはあったし、ラストのふうちゃんとあいーりの場面は私は近年出色の名場面なのではないかと思いました。そのあいーりも元々はベニーと恋仲で…というのもよかった。はるこやあんるちゃんも素晴らしかった。
 役がたくさんあって、組ファンやリピーターも楽しめたでしょうし、そんなに回数観ない人にもポイントはわかって、よかったと思いました。ドラマの筋も複数あり、まこっちゃんときーちゃんの線もとてもよかったです。
 個人的には、東西一回ずつしか観なかったのだけれど、まおくんの爺芸が上手くなっていたのに衝撃を受けました。まおとかなこは一生上手くならないんだと思っていましたよ…!(失礼すぎてすみません)ポジション的はに下げられてきているんだと思うのだけれど(ポコちゃんが学年どおり上げられてきている、といいますか)、いい戦力になってくれたらいいなあと思います。
 ここにくらっち投入か、おもしろいよね。新生星組も楽しみです。

 ロマンチック・レビューは作・演出/岡田敬二。
 手拍子がそぐわないゆったりした主題歌もゆかしく、デジャブ感がありまくりのパステルカラーのお衣装と娘役のお帽子も愛らしく、大階段から始まる構成はやはり華やかで、男役群舞にひとり混じってバリバリ踊るふうちゃんがかっこよくて、間奏曲含め全場面を堪能しました。ふうちゃんの「アモーレ・スクザミ」の銀橋渡りはドレスを着せてよ…!と思いましたが。
 次期トップコンビのベニーあいーりを「アイラブレビュー」で見せるのも、私は素敵だなと思いました。
 エトワールは華鳥礼良、久々に正しい歌姫の使われ方でこれも好印象でした。
 スターの使われ方は、たとえばみっちゃんにベニーまこっちゃんかいちゃん、次にポコまおとせおしど、とずっと同じというのはあるんだけれど、組ファンでないならそこくらいまでしか把握できないし十分かなーという気もしました。だがあやなの色気はヤバいと私は思う…ぴーすけはまだ大丈夫です(何が)。
 パレードでセンター降りしたさやかさんへの大きな拍手が印象的な公演でした。私は早めに見納めてしまいましたが、ご卒業おめでとうございました。





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