路地裏でSkip♪

~方向音痴で雨女な由布の気まぐれ小倉日記~

日常のイロイロ、呟きナド。
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三尺三寸

2016-10-17 20:54:00 | 仕事のイロイロ

 

 

「いつもきれいにされてますね」

 

突然降ってきた言葉が、自分に向けられたものだとすぐには思わなかったが、

数瞬の思考停止のあと、まわりに人もいないので、箒を動かす手を止めて顔を上げた。

 

職場の建物の外周を掃いている私を、年配の男性がニコニコと見ていた。

 

「毎朝、きれいに掃除されてますね。」

 

「ありがとうございます」

 

「隣の建物のほうまで いつもされてて。

 三尺三寸という言葉をご存知ですか?」

 

さんしゃくさんすん?

分からず聞き返すと、昔の人は隣との家の境目の三尺三寸をお互いが掃除しあっていたという。昔の日本人の美徳というか、そういったものがいまはなかなか見られなくなっているが、おたくは三尺三寸隣の敷地まで掃除をしていて素晴らしい、といったようなお褒めの言葉をいただいた。

 

朝、診療が始まる前の掃除は、院内(診療スペース)と、屋外(建物の外周)があり、

屋外は、前任者からの引き継ぎの流れで、ほぼ私一人が固定でやっている。

開始前の掃除時間は短いが、建物の正面(敷地の端~端)、駐車場、横の花壇、と、広いので、うまく調整できるように正面以外は状況に応じてやっている。

そして、隣との境目は自分なりにきっちり線引きをしている。

建物の延長線上で切りをつけている。

 

そう。

三尺三寸、向こうまで掃除をしていないのだ。

(1.5尺くらいは重なっているかもしれないが…)

 

過大なお褒めの言葉をいただき、恐縮して遠まわしに否定をしたが、

最後まで、隣の敷地の三尺三寸まで・・・と繰り返されておられた。

 

違うんです。

三尺三寸、向こうまで掃除はしていないんです。

喉まで出かけていた言葉を何度も飲み込んだ。

 

男性は終始笑顔のまま会釈をすると、受付の始まったクリニックの中にゆっくりと入っていった。

 

男性がいなくなった後、隣の建物の間の小道に立ち尽くしたままの私は、

ぐるりと周りを見回す。

 

三尺三寸。

どのくらいの長さかわからないが、相手のことを思い、お互いに気を遣ういい習慣だと思う。

隣との間、三尺三寸。

これからの掃除の時に少し意識したいと思った。

 

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