日本語史資料の連関(裏)

日本語の資料、日本語学史の資料の連関をめざす(裏)。「表」は別のところにあります。

〔仮字の本末[下]〕片仮字

2005-02-26 20:52:48 | 字音資料
片仮字
さて音圖の阿行に於を屬たる。又竪行の、再の位荷、又横行の次第などの、中昔の書に見えて、今と差へるを、予【○伴信友】が見あたりたるを挙べし。まづ阿行に於を屬たるは、源順朝臣集にあいうえおを一音づゝ、初と終の句の上におきてよめる歌五首あり、また天丈丙午冩本の和名抄に、一本巻首云とて。五十音を書入たるにも、阿伊烏衣於、また和爲有恵遠と書き【こは順朝臣の草本などに記されたるにか、又後人の書入たるにか詳ならず】又管絃音義【文治元年の作】にも、阿伊宇衣於と書き、釋日本紀にも、阿伊宇江於之五音相通といへり【於は必阿行に屬ぺき由、既に鈴屋翁の字音仮字用格に論定られたるがごとくにてうごきなし、但し件の證件ある事をぱ、いまだ心づかれすして、然考定られたるが、おのづから古法に符合(カナヒ)たるにていとめでたし、○中略】
また竪行の音の位置の異なるは顕昭法橋の古今集注【文治元年著】袖中抄等に、五音相通の事をカケコクキの五音、ラレロルリの五音と云へる詞あり。但しカケコクキと云へるかたは、藤原教長卿の説の言としてもいヘリ、教長卿は。補任を案るに、久壽三年四十八歳と見えたれば、顕昭の世ざかりに、老人にてぞおはしけむ。さて此定にて讀ときは、阿行アエオウイなり、此餘も推て知るぺし。
さて古よリ傳れる楽家の譜に、ア行タ行ハ行ラ行の音を用ひて。イエアオウ。チテタトツ。ヒヘハホフ、リレラロルと定めて、物音の砥昂に配たるは、五音の軽重に随ひて、樂家の私に立たるにか、又五十連音みな其定に立たりしにもらやあらむ、但し上に挙たる管絃音義なるとは乖へり、】



古事類苑 文学部二音韻 五十音)

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