今週は先週に引き続き、中野重治「小説の書けぬ小説家」の発表でした。
先週挙がった問題点である、〈戦争がかもし出した問題〉と三人称で転向の問題が描かれる意味について先週よりも詳細な検討をなさっていました。〈書けぬ〉原因が、検閲の厳しくなる社会にあると読み、当時の社会状況などを参考資料として挙げてらっしゃいました。
外部資料があることで作品背景がわかりやすくなっていた半面、本文のどこから発表者のおっしゃるところの〈戦争がかもし出した問題〉読み取れるのかという疑問も、質疑応答の中で出ていました。また、作中作である「がま口の一生」や「自叙伝」などがなぜ頓挫していくのか、そして作中で引用されている様々な文章の持つ意味などを追って行くことで、小林秀雄の言ったところの「絶望」の内実なども見えてくるのではないかという指摘もありました。
書けない自己を描き出して行くことで、人間存在や社会の深層を探るもがきやあがきが作品の中にあるという意見も出されました。かつてプロレタリア文壇にいたため警察には睨まれ続け、かと言ってプロレタリア文壇の中に戻ることも出来ないという、どこにも行くことのできない無力感が作品中にあるように思います。
今回の発表を終えて、発表者の方々は深淵を探る資料作りを心がけて行きたい、ミクロとマクロを組み合わせた視点を持ちたいなどと述べていらっしゃいました。この発表は次回以降の発表の糧となって行くのでしょう。
今年の例会は今週で終わりです。次回の例会は来年1月に入ってからとなります。
今年も1年おつかれさまでした。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
先週挙がった問題点である、〈戦争がかもし出した問題〉と三人称で転向の問題が描かれる意味について先週よりも詳細な検討をなさっていました。〈書けぬ〉原因が、検閲の厳しくなる社会にあると読み、当時の社会状況などを参考資料として挙げてらっしゃいました。
外部資料があることで作品背景がわかりやすくなっていた半面、本文のどこから発表者のおっしゃるところの〈戦争がかもし出した問題〉読み取れるのかという疑問も、質疑応答の中で出ていました。また、作中作である「がま口の一生」や「自叙伝」などがなぜ頓挫していくのか、そして作中で引用されている様々な文章の持つ意味などを追って行くことで、小林秀雄の言ったところの「絶望」の内実なども見えてくるのではないかという指摘もありました。
書けない自己を描き出して行くことで、人間存在や社会の深層を探るもがきやあがきが作品の中にあるという意見も出されました。かつてプロレタリア文壇にいたため警察には睨まれ続け、かと言ってプロレタリア文壇の中に戻ることも出来ないという、どこにも行くことのできない無力感が作品中にあるように思います。
今回の発表を終えて、発表者の方々は深淵を探る資料作りを心がけて行きたい、ミクロとマクロを組み合わせた視点を持ちたいなどと述べていらっしゃいました。この発表は次回以降の発表の糧となって行くのでしょう。
今年の例会は今週で終わりです。次回の例会は来年1月に入ってからとなります。
今年も1年おつかれさまでした。来年もどうぞよろしくお願いいたします。