グリーンフィンガーの道

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庭さび

2006-09-05 18:00:36 |   原論
「エイジングの美」
歴史、年月を重ねて、風格や趣、味わいが深くなる美しさ
ああ、造園、庭園、植物を扱うときの美の基準は角あるべきと大学時代に思いました。
そして、わたしもこうありたい。
今日は、これに類する素敵な言葉を耳にしたので、書きとめておきます。

「庭さび」
庭石の表面に、様々な苔もついて、野面や周りの樹木とともに、
年月が経つにつれて古色と風格がそなわった状態。
岩そのものの美しさと共に、古めかしい外観や渋味が好まれるという日本庭園の美意識。
※野面・・・石の表面のざらざらした表情

日本庭園⑤役木

2006-08-02 16:20:45 |   原論

日本庭園の作庭法を説いた書による、樹木の配置法である。築山山水庭造記(1829)後編www.arch.eng.osaka-cu.ac.jp/~design/nakatani/kozin/niwa/tikuyama/tikuyama1-1genbun.doc - によると、造庭の型を、真、行、草の3つのタイプに種別し、真の庭でのそれぞれの樹木の役どころを役木という。
□正真木(木の一)
 庭の主要景観となる中心部分に植栽されるシンボルツリー。
 配植には、全庭を統合するような常緑の大木が選ばれることが多い。
 
□景養木(木の二)
 正真木との対比で美を表現する樹木。
 正真木が針葉樹であれば、広葉樹を、落葉樹であれば、常緑樹を選ぶ。
 幹の形、枝振りなどをよく吟味して用いる。
 
□寂然木(木の三)
 庭の奥行きをつけるよう配置する樹木。
 たとえば、南向きの庭では、東側に植栽し、日陰をつくるような葉物(常緑樹)が選ばれる
 マキ、ツガ、モチノキ、モッコク、カシ、スギなど

□夕陽木(木の五)
 南向きの庭で、西側に植栽し、西日に照らされたシルエットを楽しむ樹木。
 落葉樹の花物、紅葉物などで、形がよく、独り景をがよいものを選ぶ。

□流枝松(木の七)
 泉水に覗くように植える松。
 ながし松、えんこう松ともいう。
 松の代わりに、イブキ、ハイビャクシンも使う。
 地表面より、斜め上に、水面に向かって枝を伸ばして、樹木そのものの枝ぶりと、水面に映りこむ姿とを楽しむ。


日本庭園④滝

2006-08-02 15:35:06 |   原論

日本庭園に造られる細い流れや、滝などは、古来、野や山の自然の水景を写実的に模写、あるいは象徴的に表現するなどしている。その技法は、今日にもずっと、伝えられている。滝石組みの役石と滝に使われる役木を挙げる。

□水落石
 中心の石。水が落ちる面をつくる。
 枯山水などでは、石の表情そのもので、水の流れを表現し、鏡石とも呼ばれる。
□脇石
 水落石の両脇の石。滝添石、不動石、守護石とも呼ばれる。
□波分石
 滝の上の石。水落石と波分石の据え方によって、様々な水の落とし方ができる。
 段落、布落、糸落、分かれ落、流れ落などの形式がある。
□水受石、水返り石
 滝の下の石
□役木
 飛泉障りの木 : ヤマモミジなどの落葉樹を滝の手前に植える。
 滝囲い    : マツ、ヒノキ、シイ、カシなどの針葉樹、常緑樹を滝口の背景に植えて、深山を表現する


日本庭園③流れ

2006-08-01 17:21:43 |   原論

池泉に流れ込む細い流れを遣水というが、作庭記では、遣水の表情をつくる「石」について、石の役割毎に名をつけ挙げている。

□底石
 水面下に据える石
□水切石
 水を分流するための石
□水越しの石
 水面下で水が石の面を薄く越えるように、水がスルッと盛り上がるように据える石
□横石
 流れに向かって横に据え、流れの幅を狭めて瀬を造る石
□立石
 流れの折れ曲がるところに据える石


日本庭園②飛石

2006-08-01 17:12:30 |   原論

日本庭園の飛石は、実用的な園路であり、石の表情やリズムを見て楽しむものでもある。

□石の配置
 石と石の間隔(石の中心から、次の石の中心まで)は、約30cm前後とされている。
  石の隙間は、足を横にいれることのできる程度、約10~20cmとされている
 歩いていて、動線が分かれるところには、ひとまわり大きな踏分石を据える
 石の上面の地表からの高さは、小ぶりな1足物(直径30cm程度)の石で、3cm程度とし、
 2足物(直径50~60cm程度)の大ぶりなものでは6cmくらいまで、若干の高低差をつけながら据える

□施工手順
 あらかじめすべての石を配置して、リズムを確認し、初めと終わりの石から据えていく


ユニバーサルデザインの7原則

2006-07-29 09:56:42 |   原論

ベビーカーを押して、街を歩く。
横断歩道を見つけ、渡りだす。
ふと、左折車が眼に入りながら、歩道に上がろうっ!としたその瞬間。
ドンッと衝撃。歩道に上がれない。。。
サァッーーと冷たい汗を背に感じながら、ベビーカーの前をあわてて引き上げ、上りきる。
振り返りにらめば、立ちはだかるは、2cm程の縁石段差。
なんと恐ろしい。

歩道の水勾配も恐ろしい。傾いていて車輪がとられるから恐ろしい。
観音開きの扉も恐ろしい。早く歩けないのに後ろから迫ってくるから恐ろしい。
階段も恐ろしい。登りも、そして10kg以上を支え持ち、転げ落ちそうなくだりが恐ろしい。

出かける前に、階段があるところは、行かないように考える。
恐ろしいところは、近づかないように考える。
考える。考える。考える。。。
やっぱり、今日は出かけないことにしよう。と思ってしまう。

わたしは、今はまだ、体力勝負ができるから、子供を抱っこして出かけられるけれど、、、
恐ろしかったこの経験と、この視点は忘れまい。


ユニバーサルデザインの7原則
(The Center for Universal Design, NC State Universityによる原文)
・だれでも公平に使えること(Equitable use)
・使う上で自由度が高いこと(Flexibility in use)
・使い方が簡単で、すぐに分かること(Simple and intuitive)
・必要な情報がすぐに分かること(Perceptible information)
・うっかりミスが危険につながらないこと(Tolerance for error)
・身体への負担が少ないこと(Low physical effort)
・接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること(Size and space for approach and use)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC

設計指針
□段差
 やむを得ず段差を設置する場合は、段差の高さを2cm以下とし、すりつけ勾配を4%とする
□車止め支柱
 間隔90cm以上。前後に150cm以上の水平部分を設ける
□幅員
 車いすの幅は70cm程。車いす同士がすれ違える有効幅員寸法は180cm以上。切り替えしができる幅員は150cm以上。
□駐車スペース
 駐車スペースの幅は、一般車2.5m以上、車いすドライバー専用3.5m以上、および乗り降りの安全路1.2m以上を確保する
□飲用水栓
 飲み口までのクリアランスは65cm以上。高さ80cm程度
□サイン
 サインの高さ1.5m(車いすからの視点高1.2m程度)

 

 


子供の広場施設点検マニュアル

2006-07-28 15:08:13 |   原論

公園情報センター:http://www.kouen.info/
いろいろな遊具がありますね。
子供の広場施設点検マニュアル
www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/kosodate/html/asobi/pdf/kodomo-hiroba-tebiki.doc 
各自治体がマニュアルをつくっているんですね。
子供が遊んでいるときに、思わぬ事故にあう前に、大人が確認。
しっかりメンテナンスをしたいです。

わたしがアドバイザーをするマンションでは、2ヶ月に1回、砂場の砂をかき混ぜて、ほぐすメンテナンスをしています。
砂場って雨が続いた後に、カチンコチンに固まってしまうんですよね。
地域の保育園の子が楽しく遊んでいるので、続けているのですが、固まらない方法ってあるのかしら?
2ヶ月に1回かき混ぜるのも、随分と長く続けているので、そろそろ他のやり方も試してみたいところです。
何か、いい方法をご存知の方、教えてください。


遊具の設置基準
□すべり台
・体が左右に振れにくい幅=40cm内外
・すべり面の角度    =30~36°程度
・ステップの高さ    =15~20cm
・ステップの角度    =70°内外
※素材がコンクリートなど粗面では、ややきつく、ステンレスなどでは、緩く。
□シーソー
・中輪の高さ=45cm
・横木を水平にした場合、ぶらさがった両足が軽く地上に触れる程度。(身長100cm以上の子ですね。)
・板の着席部下の地面にタイヤを設置する
□砂場
・排水を速やかにするため、底に砕石を敷き詰める、割栗石または玉石の小端立てにする。
・砂の深さ=35~45cm
□ブランコ
・着座部底面から、地面までの間隔=35~45cm
・人止め柵の高さ=60cm

 


植物の群落

2006-07-10 14:10:13 |   原論

植物の群れを一般的に植生といい、それを相観(そとから見た様子)、種類相(種類の組成)などの同じような性格をもった植生を総じて、群落と呼んでいる。
相観による群落区分に、植物群落4区分がある。水平植生帯の順に優占種を説明する。


□照葉樹林帯   :  シイ帯とよばれる。スダジイ、ヤブツバキが気候的極相群落である。
              またモッコクも千葉以西の太平洋岸、西南日本で見られる。
□夏緑樹林帯   :  ブナ帯と呼ばれる。ブナ、ミズナラなどが極相林。
              また、トチノキ、カツラは北海道から、九州までのブナ帯の渓畔林と
              して代表的である。
□針葉樹林帯   :  オオシラビソ、エゾマツが気候的極相群落であり、本州の中部以北の
              
代表種である。コメツガは樹林中に混生。
              イチイは中部以北の深山に自生する。
□亜熱帯多雨林帯 :  アコウ、ビロウ、ガジュマルは各々が植生帯の代表種。

温帯湿潤気候。素晴らしい、ボリュームのある極相林になる日本。
恵まれています。大切にしたいです。


環境と極相林の関係を整理していると、植物を扱いやすくなります。
どこ出身の植物なのか、気になります。
植えるときは、出身地の環境に合わせてあげたいと思っています。


土壌の温度

2006-07-06 22:50:40 |   原論

土壌の温度については、種子の発芽、その後の生育、収量、根の伸長、養・水分の吸収、土壌生物の活動などに大きく影響する。落葉樹の根の伸長は、一般に土壌温度が15~20℃のときに活発になる。

気温と土壌温度(地温)の関係を調べてみました。気温-2℃=地温って言えるかな。(http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/jfs-q/kyushu_forest_research/56/56pd002.PDF)。そうすると、たとえば、さいたま市では、5月~6月(http://www.data.kishou.go.jp/etrn/index.html)に一番、根の伸長が活発になるということでした。春先、3月から4月と徐々に根が動き出し、5月に入るとぐっと活発になるということ。うん、確かに、ぐっと生育の勢いが増し、緑が濃くなりますね。


土壌の硬度

2006-07-06 22:48:43 |   原論

植物の生育に適した、土壌の硬度を測定する試験に、長谷川式土壌貫入計と山中式土壌硬度計を利用した試験がある。長谷川式土壌貫入計により、測定したS値が1.5~4.0(cm/drop)であれば、植物の生育に適当である。また、山中式硬度計による平均測定値が、8~20cmであれば、植物の生育に適当である。


仕事で長谷川式土壌貫入試験によく行きます。ほとんど0.1cm/dropずつしか計測できない時があります。ものすごい回数ランマーを落とすことになり、大変です。この苦労は、根っこの苦労。「せっせとほぐしてから、植えてあげよう。」と思います。1.5cm/drop以上、必要です。


土壌の三相

2006-07-06 22:47:21 |   原論

土壌の三相とは、固相、液相、気相の占める割合をいう。

固相は、様々な形態、粒径、化学組織をもつ鉱物質と、有機物からなり、多様な結合、配列をもつ土壌構造を形成している。固相粒子間の隙間は、孔隙とよばれ、液相と気相によって占められている。


液相は、土壌水、あるいは、土壌溶液とよばれ、有機物の各種電解を溶かした水溶液である。固相粒子との結びつきの程度によって、毛管水、重力水、吸湿水、結合水に区分される。
液相の毛管水は、土壌粒子の毛細間隙や、粒子表面の表面張力によって保持されている水分で、毛細間隙を上下している水分が主である。植物が利用できる有効水分は、この毛管水が主である。


気相とは、土壌空気ともよばれ、主に、窒素、酸素、二酸化炭素(炭酸ガス)、水蒸気からなっている。その、組成は大気に比べて、窒素と酸素が少なく、二酸化炭素と水蒸気が多い。気相は植物の根の呼吸に必要な酸素の供給源である。呼吸をするためには、土壌中の酸素は、10%以上に保つことが必要である。土壌が踏み固められた場合など、通気不良になると、土壌中の二酸化炭素の割合が増え、その結果、植物の生育に支障を与える。畑を耕すなど、土壌の耕うんは、土壌に酸素を供給するために行う。

 (写真)
Giuseppe ARCIMBOLDO  Winter L'Hiver  お百姓さんは冬に天地返しをして、老朽化した下層土を空気にさらし、若返らせますね。植栽地ははじめが肝心。たくさん酸素をいれてあげよう。


土性

2006-07-06 22:44:25 |   原論

土壌粒子の粒径は、礫、砂、シルト、粘土の順に小さくなる。土壌粒径は国際土壌学会法と日本土壌学会法において区分されている。

土壌に含まれる砂と粘土の割合を土性という。土壌の物理的性質(透水性、保水性など)は土性に負うところが大きく、日本農学会では、土性を5種類に区分している。よって、砂と粘土の割合をみることによって、土壌の物理的性質をとらえることができる。

鉢の中で使う土でもわかります。物理性のいい土は、水はけ=透水性と水もち=保水性がいいのです。


西洋庭園・様式 スペイン・サラセン式庭園

2006-07-05 20:42:09 |   原論

スペイン・サラセン式庭園は、当時、イスラム文化の影響下にあった南スペインに発達したパティオと呼ばれる中庭式の庭園である。
中庭であるから周囲を建物で取り囲まれた小空間であるが、中央に池や噴水、カナール(流れ、水溝)を配し、色彩の豊かな色タイルの床、美しい花壇などが特徴である。グラナダのアルハンブラ宮殿、セヴィリアのアルカサールなど優れた庭園がある。


「園芸療法の庭から」http://ameblo.jp/gardening-k/のMIHOさん、コメントをくれるTAKASHIさんがゴールデンウィークにスペインに行っていました。写真を見させてもらって、わたしもそわそわ。クリーム色の土壁と濃い緑が絶妙のコントラスト。ガウディの摩訶不思議な建物にも植物の文様が。スペインの庭もぜひ見に行かなくちゃ。


西洋庭園・様式 イギリス自然風景式庭園

2006-07-05 10:56:45 |   原論

イギリス自然風景式庭園は、18世紀、当時の田園趣味を賛美した文学や絵画などに刺激されて、イギリスに発達した自然風景式庭園である。パティオやイタリア式庭園の整形式に対し、これは、非整形式の代表的なもので、庭園の中に自然の森林や池、小川などを積極的に取り入れた形式である。庭園とその背景の実景との間に、ハハアという掘割を境として設けた。

広大な田園風景の中になじむように、近景の花壇も整形されず、ボーダーガーデンが取り入れられる。
ボーダーガーデンは、複数種類の宿根草をゾーニングし、混植する手法。

 


西洋庭園・様式 フランス平面幾何学式庭園

2006-07-04 09:04:10 |   原論

フランス平面幾何学式庭園は、広大な平坦地に、軸線と放射線を組み合わせ、その軸線上に花壇、カナール、芝生、彫刻の列像などを配置した平面幾何学式庭園である。特徴的なのは、シンメトリカルな整形式に、ビスタ(通景式、見通し線の左右を絞っていく手法)を強調して園景を統一していることである。この様式を確立させたのは、アンドレ・ル・ノートルで、ルイ14Ⅱに使え、ヴェルサイユ宮殿を造った。

高木の刈り込みものが、凛と並ぶ庭園内に、落差を利用した噴水が、次々と吹き上がる様子は圧巻。