ガソリンに掛かる税金の内、暫定分の税金が掛からなくなり、リッター辺りのガソリン代が安くなりました。今、百二十一円〜百二十五円程度になったと言っても、百円以下の時も十年位前にあったと思うので、それに比べたらまだ高いのです。
産油国の都合でしょうが、儲けている国の人は贅沢をしている人もいます。基本的に生産が少なくなれば、値段を上げるのは商売の常道です。それはそれで仕方ないでしょう。
でも、私たちの暮らしは、危惧していたように、物不足による価格高騰に晒されています。特に食料品の値上がりは台所を直撃します。
高齢者が増え、年金暮らしの人が私たちも含めて多くなると言うのに、医療費も年々必要になり、それをも控えなくてはならないとしたら、早く死ねと言わんばかりです。未練がましく言いたくはありませんが、もう少し楽に生かしといて貰いたいです。
節約の限りを尽くして行きますけれど、物には限度と言うものがありますので、どこまで我慢できるか分かりません。これからアナログ放送が無くなるのでテレビも買い替えたり、壊れそうな電化製品も沢山ありますので、まだまだ出費が必要です。生命保険も解約して出費を抑えるようにしました。死んでも葬式代もおぼつか無いでしょう。日々の暮らしに四苦八苦です。
私の心臓がなんでもなければ良いのですが、直ることを祈って今は体重を減らそうと、食事制限を始めました。何も食わずに生きられる人が羨ましい限りです。
水だけで生きる人のニュースを見ましたが、私には無理です。以前の半分量にするのが精一杯と言うところです。おなかの虫が早目に騒ぎます。うー。我慢。我慢。でも一月足らずで八十四キロが八十一キロに減りました。リバウンドしないように目標は七十二キロですので、後九キロ。頑張ります。少し腰回りの肉が落ちました。
心 恋 虫
雲 乃 平八郎
十一
(翁の話はまだ続いた)
次なる話だけれど、村の中で火事があった。その時は夜で、家族はぐっすりと眠っていた。火事になってもすぐには誰も気がつかなかった。母がパチパチと言う音と煙に気付いて起きた時は、火が家中を包み、もう手遅れの状態であった。
「あんたー。おみつー」
夫や娘の名を呼んでも答えがなかった。寝ている方を見たらそこは煙が充満していて火に包まれていた。息子の寝ている方を見て名を呼ぼうとしたら泣き声が聞こえた。
「茂助!」
火の向こうに子供の姿が見えた。母は、火の中に飛び込むと、火が身体を焦がすのも構わず、子を抱きかかえ、燃え盛る火の中を走って外に出た。
「火事だ!」
「火事はどこじゃー?」
「片倉の家だー」
村人は、手に手に水桶を持って走って集まってきた。火を消そうとしたのだが火勢が強く、火を消そうにも手の施しようもなく、ただ見ているだけであった。建物はもう崩れ始めていた。そんな中、母が子を抱いて出てきたので皆びっくりした。
「誰か出てきたぞ」
「燃えとる、火を消せー!」
桶の水を火の着いた身体に掛けた。何杯も掛けられた。しかし、母は着物だけでなく身体が燃えていたので、火は消えたのだが火傷がひどくて、意識も遠退いているかのようであった。そんな状態でも母は、息子が無事でいるかと聞いてきた。
「茂助は。茂助は無事じゃろうか?」
「安心せい。無事じゃ。生きとる」
村人のその声を聞くと安心したように息を引き取った。あっという間の出来事に、村人の誰もが何も言わずに立ち尽くして泣いていた。
茂助は、泣きながら母を見ていた。その時、母の身体から母の霊が出てきて茂助を抱きしめた。母は抱きしめたが身体がないので、茂助に触れることはなかった。だが、茂助には分かった。にっこりと微笑む母が見えていた。母の霊は、心恋虫に曳かれて竹上家の火焔池に向かって行った。心恋虫も母の霊も村人には見えていなかったが、茂助には心恋虫と母が見えていた。母の霊を追って茂助も一緒に走り出した。
「茂助。どこいくだ」
大人たちが止めようとしたが、茂助は走って母の霊を追いかけて行った。池の処で母が沢山の虫の光に包まれているのに茂助が追いついたとき、茂助の足もすでに池の中に入っていた。大人たちが追いついて来た時には、池の中に居る母と茂助の姿が何千という心恋虫の光りに包まれていた。とても幸せそうに抱き合っていた。
その後、今から三百年前ごろのこと、キリシタンへの弾圧が激しく、この村に逃げ込んでくる者たちが大勢いた。太吉親子も、虐げられている人たちを助けようと、村へ入るのを妨げなかった。
久子は、入ってきた人たちに、村の秘密を覚られないために、茂助を生き返らせ村に教会を作る役目を与えて、新しく入ってきた人たちと共に住むようにさせたのだと言う事だ。
そこまで話が進んだとき、翁は話を止めた。もう真夜中であった。
「後は、またの機会にしよう。もう休もう。虫の出る時刻も迫っているでの」
「そうですね。休ませて頂きます。おやすみなさい。裕子ちゃんもお休みなさい」
「おやすみなさい」
二人は、敷かれた布団にもぐりこんだ。すぐに睡魔が襲ってきて、いつしか寝息を立てていた。二人の耳にどこからとも無く綺麗な歌声が聞こえてきた。
「心虫 恋虫 火焔池
愛する人とめぐり合い
幸せになる火焔池
心虫 恋虫 火焔池
人のやる気をかきたてて
幸せを呼ぶ火焔池
心虫 恋虫 火焔池
年に一度のめぐり合い
幸せが来る火焔池」
夢の中に聞こえてくるその歌は、とても静かで厳かで心の底から幸せが溢れてくる曲で、心のこもった歌であった。幸せになった皆が歌っているのだと感じられた。
弘隆がぐっすりと寝入って暫くすると、暗闇の中に小さな光が見えた。小さいと思っていたのは遠かったからで、その光は次の瞬間目の前に現れた。高さ十メートルほどの光が突然現れた。それが心恋虫で、心恋虫が集まって変身して巨大な狼のように恐ろしい顔をして襲ってきた。
弘隆は、心恋虫に会うことを望んでいたにも拘らず、突然現れ、しかも恐ろしい姿に、恐怖の余り逃げ出してしまった。全速力で走って走って逃げるのだが、心恋虫は飛ぶように駆けて来て、すぐ後ろに迫って、大きな口を開き飲み込もうとしていた。
暫く走った所で弘隆は、力尽きてその場にへたり込んでしまった。弘隆は、心恋虫の口の中にいる自分を感じたとき意識が遠退いて行くのを感じた。
弘隆は、裕子と一緒に、心恋虫に連れられて天国に来ていた。池の中を通って来たにも拘らず、身体に水滴一つ付いていなかった。二人は心恋虫に包まれて来たからだ。
入り口は、真っ黒な壁に遮られていて、どこにあるかさえ分からない。目の前を飛んでいるラフィオとラフィアの光を追っていくと、人が通れるはずの無い髪の毛ほどの細い隙間に行き着いた。
「どうしよう。こんな所通れやしない」
「あの隙間は、本当に通れないかしら」
裕子が近寄っていった。通れないはずの隙間の前に行き覗き込むと、心恋虫が出入りしていた。
その隙間からは眩い光が見えて、ラフィオとラフィアは二人に手招きすると、隙間の前で仲間達と輪を造ってダンスを踊りだした。するとさっきまで髪の毛ほどしかなかった隙間が、心恋虫の踊る光の輪の大きさに広がって行った。
「凄い。入り口が広がったぞ」
「入れそうよ」
二人で恐る恐る入り口の前で中の様子を覗こうとした所、白い光が手のように出てきて二人を包んだ。その光が二人を掬い上げて、中に運んでくれた。
二人は中に入ってその広さにまず驚いた。天国は、霊的なもので、現実とはかけ離れていると思っていたから、暗闇のような世界を思い描いていたのに、想像をはるかに超えた現実世界のようなものなので二度びっくりだ。
「すばらしい。ここは天国と言う所か?」
「そうよ。きっとそう。綺麗だわ」
南と思われる方には地平線の向こうまで、どこまでも続く草原と川と木々の緑の絨毯があった。花が一面に咲く光景は壮観で嬉しい気持ちにさせてくれる。
弘隆たちの後ろの北と思われる方には、とてつもなく高い山脈が聳えていた。今そこから弘隆たちは出て来たのである。後ろの山脈は深い雪と氷に覆われていて、今出てきた所も分からなかった。
東と思われる方には、宇宙の銀河のようにとてつもなく大きな光り輝く神殿があった。神殿は、霊のようにおぼろげなものではなく、芸術的な素晴らしいものだ。壮大にして華美な宮殿建築以上の建築様式があって、デザインから、装飾、彫刻に至るまで、まさに天国の神殿だと思わせてくれた。
次に驚くことに神殿は空中にあり地上に着いていないのだ。地上からその神殿に行くための道がない。あるのは雲の橋だけである。さらに驚くのは、水晶の高い城壁に囲まれている神殿への入口は、厚さが一メートルほどの純金の扉になっていた。その上、水晶で造られていると思われる神殿の全てに金が使われていた。水晶の表面も金の装飾で輝いていた。
神殿の内部にあるのはとても大きな水晶の椅子だ。神の御座である十メートルほど高くなった土台は、山が聳えているのかと思われる大きさである。御座の後ろにこの神殿に神に仕える天使たちが住んでいる。天使の殆どは人を守り援ける守護天使として、人々の住む所にも必ずいた。神の御座は、いつも人々の生きる様子を見るために、前面に永遠の空間があって、そこでは人間の生きる姿と全宇宙の様子が見えていた。
神の御座があってもそこに神の姿はない。神がその御座に収まることが出来ない存在だったこともあるが、神は霊でもあるからだ。姿は、現さないのが神なのだ。
神殿は、目に見える形ではあるが、何も建物が大事なわけではない。神がいるということが、人の心に悟れればいいわけである。心の中で見える神の姿に励まされて、人が生きがいとして生きられる。神と共に戦うということの確認のために神殿があり、神殿は天国だけにある。人が心にその神殿を持つためにある。人の寄る辺となり、帰るところとなる。
産油国の都合でしょうが、儲けている国の人は贅沢をしている人もいます。基本的に生産が少なくなれば、値段を上げるのは商売の常道です。それはそれで仕方ないでしょう。
でも、私たちの暮らしは、危惧していたように、物不足による価格高騰に晒されています。特に食料品の値上がりは台所を直撃します。
高齢者が増え、年金暮らしの人が私たちも含めて多くなると言うのに、医療費も年々必要になり、それをも控えなくてはならないとしたら、早く死ねと言わんばかりです。未練がましく言いたくはありませんが、もう少し楽に生かしといて貰いたいです。
節約の限りを尽くして行きますけれど、物には限度と言うものがありますので、どこまで我慢できるか分かりません。これからアナログ放送が無くなるのでテレビも買い替えたり、壊れそうな電化製品も沢山ありますので、まだまだ出費が必要です。生命保険も解約して出費を抑えるようにしました。死んでも葬式代もおぼつか無いでしょう。日々の暮らしに四苦八苦です。
私の心臓がなんでもなければ良いのですが、直ることを祈って今は体重を減らそうと、食事制限を始めました。何も食わずに生きられる人が羨ましい限りです。
水だけで生きる人のニュースを見ましたが、私には無理です。以前の半分量にするのが精一杯と言うところです。おなかの虫が早目に騒ぎます。うー。我慢。我慢。でも一月足らずで八十四キロが八十一キロに減りました。リバウンドしないように目標は七十二キロですので、後九キロ。頑張ります。少し腰回りの肉が落ちました。
心 恋 虫
雲 乃 平八郎
十一
(翁の話はまだ続いた)
次なる話だけれど、村の中で火事があった。その時は夜で、家族はぐっすりと眠っていた。火事になってもすぐには誰も気がつかなかった。母がパチパチと言う音と煙に気付いて起きた時は、火が家中を包み、もう手遅れの状態であった。
「あんたー。おみつー」
夫や娘の名を呼んでも答えがなかった。寝ている方を見たらそこは煙が充満していて火に包まれていた。息子の寝ている方を見て名を呼ぼうとしたら泣き声が聞こえた。
「茂助!」
火の向こうに子供の姿が見えた。母は、火の中に飛び込むと、火が身体を焦がすのも構わず、子を抱きかかえ、燃え盛る火の中を走って外に出た。
「火事だ!」
「火事はどこじゃー?」
「片倉の家だー」
村人は、手に手に水桶を持って走って集まってきた。火を消そうとしたのだが火勢が強く、火を消そうにも手の施しようもなく、ただ見ているだけであった。建物はもう崩れ始めていた。そんな中、母が子を抱いて出てきたので皆びっくりした。
「誰か出てきたぞ」
「燃えとる、火を消せー!」
桶の水を火の着いた身体に掛けた。何杯も掛けられた。しかし、母は着物だけでなく身体が燃えていたので、火は消えたのだが火傷がひどくて、意識も遠退いているかのようであった。そんな状態でも母は、息子が無事でいるかと聞いてきた。
「茂助は。茂助は無事じゃろうか?」
「安心せい。無事じゃ。生きとる」
村人のその声を聞くと安心したように息を引き取った。あっという間の出来事に、村人の誰もが何も言わずに立ち尽くして泣いていた。
茂助は、泣きながら母を見ていた。その時、母の身体から母の霊が出てきて茂助を抱きしめた。母は抱きしめたが身体がないので、茂助に触れることはなかった。だが、茂助には分かった。にっこりと微笑む母が見えていた。母の霊は、心恋虫に曳かれて竹上家の火焔池に向かって行った。心恋虫も母の霊も村人には見えていなかったが、茂助には心恋虫と母が見えていた。母の霊を追って茂助も一緒に走り出した。
「茂助。どこいくだ」
大人たちが止めようとしたが、茂助は走って母の霊を追いかけて行った。池の処で母が沢山の虫の光に包まれているのに茂助が追いついたとき、茂助の足もすでに池の中に入っていた。大人たちが追いついて来た時には、池の中に居る母と茂助の姿が何千という心恋虫の光りに包まれていた。とても幸せそうに抱き合っていた。
その後、今から三百年前ごろのこと、キリシタンへの弾圧が激しく、この村に逃げ込んでくる者たちが大勢いた。太吉親子も、虐げられている人たちを助けようと、村へ入るのを妨げなかった。
久子は、入ってきた人たちに、村の秘密を覚られないために、茂助を生き返らせ村に教会を作る役目を与えて、新しく入ってきた人たちと共に住むようにさせたのだと言う事だ。
そこまで話が進んだとき、翁は話を止めた。もう真夜中であった。
「後は、またの機会にしよう。もう休もう。虫の出る時刻も迫っているでの」
「そうですね。休ませて頂きます。おやすみなさい。裕子ちゃんもお休みなさい」
「おやすみなさい」
二人は、敷かれた布団にもぐりこんだ。すぐに睡魔が襲ってきて、いつしか寝息を立てていた。二人の耳にどこからとも無く綺麗な歌声が聞こえてきた。
「心虫 恋虫 火焔池
愛する人とめぐり合い
幸せになる火焔池
心虫 恋虫 火焔池
人のやる気をかきたてて
幸せを呼ぶ火焔池
心虫 恋虫 火焔池
年に一度のめぐり合い
幸せが来る火焔池」
夢の中に聞こえてくるその歌は、とても静かで厳かで心の底から幸せが溢れてくる曲で、心のこもった歌であった。幸せになった皆が歌っているのだと感じられた。
弘隆がぐっすりと寝入って暫くすると、暗闇の中に小さな光が見えた。小さいと思っていたのは遠かったからで、その光は次の瞬間目の前に現れた。高さ十メートルほどの光が突然現れた。それが心恋虫で、心恋虫が集まって変身して巨大な狼のように恐ろしい顔をして襲ってきた。
弘隆は、心恋虫に会うことを望んでいたにも拘らず、突然現れ、しかも恐ろしい姿に、恐怖の余り逃げ出してしまった。全速力で走って走って逃げるのだが、心恋虫は飛ぶように駆けて来て、すぐ後ろに迫って、大きな口を開き飲み込もうとしていた。
暫く走った所で弘隆は、力尽きてその場にへたり込んでしまった。弘隆は、心恋虫の口の中にいる自分を感じたとき意識が遠退いて行くのを感じた。
弘隆は、裕子と一緒に、心恋虫に連れられて天国に来ていた。池の中を通って来たにも拘らず、身体に水滴一つ付いていなかった。二人は心恋虫に包まれて来たからだ。
入り口は、真っ黒な壁に遮られていて、どこにあるかさえ分からない。目の前を飛んでいるラフィオとラフィアの光を追っていくと、人が通れるはずの無い髪の毛ほどの細い隙間に行き着いた。
「どうしよう。こんな所通れやしない」
「あの隙間は、本当に通れないかしら」
裕子が近寄っていった。通れないはずの隙間の前に行き覗き込むと、心恋虫が出入りしていた。
その隙間からは眩い光が見えて、ラフィオとラフィアは二人に手招きすると、隙間の前で仲間達と輪を造ってダンスを踊りだした。するとさっきまで髪の毛ほどしかなかった隙間が、心恋虫の踊る光の輪の大きさに広がって行った。
「凄い。入り口が広がったぞ」
「入れそうよ」
二人で恐る恐る入り口の前で中の様子を覗こうとした所、白い光が手のように出てきて二人を包んだ。その光が二人を掬い上げて、中に運んでくれた。
二人は中に入ってその広さにまず驚いた。天国は、霊的なもので、現実とはかけ離れていると思っていたから、暗闇のような世界を思い描いていたのに、想像をはるかに超えた現実世界のようなものなので二度びっくりだ。
「すばらしい。ここは天国と言う所か?」
「そうよ。きっとそう。綺麗だわ」
南と思われる方には地平線の向こうまで、どこまでも続く草原と川と木々の緑の絨毯があった。花が一面に咲く光景は壮観で嬉しい気持ちにさせてくれる。
弘隆たちの後ろの北と思われる方には、とてつもなく高い山脈が聳えていた。今そこから弘隆たちは出て来たのである。後ろの山脈は深い雪と氷に覆われていて、今出てきた所も分からなかった。
東と思われる方には、宇宙の銀河のようにとてつもなく大きな光り輝く神殿があった。神殿は、霊のようにおぼろげなものではなく、芸術的な素晴らしいものだ。壮大にして華美な宮殿建築以上の建築様式があって、デザインから、装飾、彫刻に至るまで、まさに天国の神殿だと思わせてくれた。
次に驚くことに神殿は空中にあり地上に着いていないのだ。地上からその神殿に行くための道がない。あるのは雲の橋だけである。さらに驚くのは、水晶の高い城壁に囲まれている神殿への入口は、厚さが一メートルほどの純金の扉になっていた。その上、水晶で造られていると思われる神殿の全てに金が使われていた。水晶の表面も金の装飾で輝いていた。
神殿の内部にあるのはとても大きな水晶の椅子だ。神の御座である十メートルほど高くなった土台は、山が聳えているのかと思われる大きさである。御座の後ろにこの神殿に神に仕える天使たちが住んでいる。天使の殆どは人を守り援ける守護天使として、人々の住む所にも必ずいた。神の御座は、いつも人々の生きる様子を見るために、前面に永遠の空間があって、そこでは人間の生きる姿と全宇宙の様子が見えていた。
神の御座があってもそこに神の姿はない。神がその御座に収まることが出来ない存在だったこともあるが、神は霊でもあるからだ。姿は、現さないのが神なのだ。
神殿は、目に見える形ではあるが、何も建物が大事なわけではない。神がいるということが、人の心に悟れればいいわけである。心の中で見える神の姿に励まされて、人が生きがいとして生きられる。神と共に戦うということの確認のために神殿があり、神殿は天国だけにある。人が心にその神殿を持つためにある。人の寄る辺となり、帰るところとなる。









