心恋虫

愛、希望、夢を大切にする人を幸せにしてくれるのが、心恋虫です。

雲乃平八郎作品5/30

2012-05-30 07:22:47 | Weblog
『雲乃平八郎の浮雲』

凄いのは津波にも負けずの心生きる者ゆえ強くいられる

 早朝、3時18分に家を出発。東北自動車道黒磯板室IC・3時34分。一路北上する。途中、国見SA、長者原SA、紫波SAで休憩。盛岡南IC・7時41分着。
 高速道路は、夜中なので、ほとんどがトラックばかりでした。スピードは、大体100から120キロくらいで走行。上り下りでスピードが変わってしまいます。震災のために傷ついた路面を治す工事区間が4か所ほどあり、その区間は一車線になります。
 高速を降り、盛岡市内を抜けて、宮古街道に入り、国道106号線で、浄土ヶ浜に向かいました。途中、道の駅区界高原とやまびこ館で休憩を取りながら、進みました。ここまで4時間半ほど運転して来ましたのと、眠りが足りないので、疲れ気味です。
 浄土ヶ浜ビジターセンター前第一駐車場到着、10時17分。家から、7時間かかりました。ビジターセンターで少し休憩して、ここから、観光船乗り場まで徒歩です。11時発の観光船乗船。およそ40分で一周して戻って来ました。この日は、とても波が荒く、観光船は、横揺れが酷く、手放しでは立っていられません。それでも、ウミネコの餌を買って、パンみたいなものですが、少しずつちぎって、差し出すとウミネコが近寄ってきてくちばしで取って行きます。私は、この船の揺れに、疲れた体だったので、少々船酔い気味です。陸に戻っても揺れが収まらないみたいでした。
 その後、今日の目的の一つで、一番のメインであったサッパ船に乗るために、マリンハウスへ向かいましたが、途中で、カメラの電池が切れてしまいました。
 昼食を食べてから、サッパ船の予約をして、カメラの電池切れのため、一旦駐車場へ戻り、またマリンハウスに戻ろうとして、展望台があったので、展望台に上り、景色を眺めました。
 マリンハウスから出ているサッパ船乗船。サッパ船は小さな漁船で、ボートのようなものです。これで、湾内を巡回して青の洞窟に入るのがメインです。ここは、午前中に入るのが良いそうで、午後になってしまい、残念でしたが、それでも青の洞窟であることは間違いありませんでした。紺碧の海に開いた洞窟で、洞窟の中から外を見ると、太陽光が入ってきているので、洞窟の出口付近が緑色の海になっています。

サッパ船海に浮かぶは木の葉船揺られて楽し波飛沫浴び

 この日は、まだ行くところもあったのですが、通行止めのところもあり、遊歩道も歩けないので、体調のことも鑑みまして、休暇村へ向かう事にしました。
 休暇村へ着いてもまだ3時には少し早いので、姉ヶ崎の展望台まで散策することにしました。と言ってもそんなに遠くはありません。駐車場に車を止めて、そこから出発して、30分ほどです。 
 休暇村陸中宮古にお世話になることになっていました。と言うのも、ウエブで休暇村のホームページを見て、復興支援プランと言うもので行きましたから、1人一泊7000円です。二人でここに二泊する予約を入れてありました。とても安く泊めて貰えて、2食付ですから本当にお得です。ちなみに私は、Qカード会員になっていますので、この会員専用のプランに応募できるのです。
 到着したところで、すぐにお風呂に入りました。ここは、温泉ではありませんが、ラジウム人工泉と言うものです。さっぱりしたいいお風呂で、汗を流して、部屋に戻ると、運転の疲れから眠くなりましたので、夕食まで一眠りです。
 6時からの夕食でしたが、5時45分位に妻から起こされ、会場に行きました。バイキングでしたので、すぐ食べたいものを選んで、席に座り食べ始めました。とは言え、ダイエット前でしたら、結構たくさんいろいろなものを持って来てしまっていたのですが、今は、体重を減らし、体脂肪と内臓脂肪を減らし、塩分摂取も減らして来ているので、少量ずつ10品ぐらいに抑えました。
 去年の初めに90キロ超あった体重も、今では81キロ程度に減って来ています。これからまた一年かけて、75キロ程度に落として行きたいのですが、どうなりますか。自分でも心配です。でも妻のコントロールがあり、何とか少しずつ減らせると思います。

青い空明るい海の碧にまし新緑の木々萌いずるかな

 季節は移り、新緑がまぶしい季節です。海岸は、むき出しの土と、家の土台だけがあり、震災と津波の爪痕は残り、杉は塩水を被り立ち枯れていますけれど、辺りには、花は咲き、木々には新芽が伸び、様々な色の葉をつけています。濃い緑ではありませんが、ごく薄い緑から、黄緑であったり、濃さの違う緑であったりと、自然の造形の美しさは、目を見張るものがあります。
 港とか海岸の町の様子も昔の面影が無くなり、ガラスの破片や、建物の切れ端などが見られたりして、何とも言えない気持ちにさせられます。でも、三陸のここは陸中ですが、この海岸の切り立った崖の様子は、そのまま残っています。海岸線もその姿を変えてはいませんでした。
 翌日は、もう少し北へ上ってこようと思っています。北山崎の方です。

『雲乃平八郎の小説』

   宇宙に輝く緑の惑星

     16

 それを聞いたロジェアの顔つきが変わり、それまでの温厚な顔から、一転して、厳しい形相になったと思ったら、声まで変化した。
「もういい。わたしが決める。みんなを捕虜にする」
「キャー」
 ロジェアの変化にランナが驚いて、隆に抱きついてきた。
 何事か理解できなかった隆たちが驚いていると、後ろのドアが開き、マテラが現れた。カラ大佐も一緒だった。ロボット兵士もいて、銃を突きつけられてしまった。隆たちは抵抗する暇を与えられず、すぐに捕まってしまった。
「マテラ。爆発して死んだのではなかったのか」
「驚いたようだな。わしらは、最後の攻撃の時、BR砲の後ろについてきたから見つからなかったのだ」
「ロジェアはまさか、それを知っていたのか?」
「そうよ。私がクオラデス号のみんなのところに戻ったのは、この作戦を成功させるためよ」
「という事は、ロジェアは最初から、マテラとグルだったんだな」
「当たり前よ。私らは、夫婦なのよ。それに、マテラは、私の部下。私が真の支配者なの。今まで騙してきたけれど、もういいわ。あなた方も、私に従いなさい。従わないものは、処刑するわ、たとえ娘でもね」
 厳しい顔で、ロジェアは言い放った。
「もう私たちに逆らうすべはないのね」
 樹理は、母親の変化にまだ信じられないようすだった。
「そうよ。諦めなさい。協力すれば、惑星の支配者として、地球でも君臨できるのよ。もちろんランポヨでも、支配者の家族として、贅沢な暮らしが待ってるわ」
 隆は、何も言わなかった。今騒ぎを起こしても、殺されるだけだ、と分かっていた。しかし何か手を打たなければならないと考えていた。
「お母さんは、本当は何なの?」
「私は、ランポヨ帝国の皇帝よ。マテラは、総督よ。私の忠実な部下だわ。それにあなたの父親よ。あなたは、ランポヨ帝国の王女なの。私の跡を継いで、皇帝にもなれるのよ」
 樹理は、首を振って涙を流しながら、ロジェアに抗議した。
「だめよ。こんなこと許されないわ。ロジェアとマテラは、今すぐ武器を捨てて、侵略戦争をやめて。もっと友好的に、惑星同士で協力し合うべきよ。お願いすれば、地球の人たちも援助してくれるはずよ」
「友好的にと言うが、ランポヨ星には資源が無い。貿易をすることも出来ないから、略奪しか手はないのだ」
 今度は、マテラが、言い返してきた。
「そうは言うが、樹理のお蔭で、地球でも宇宙船を造ることが出来る。簡単には侵略されはしない。このグリーンプラネットよりも優秀で大きな宇宙船を今建造中だ」
「馬鹿め。ランポヨでは、わしらが戻れば、今度は大艦隊で、地球へ向かう事になっている」
「だからランポヨに帰るのよ。早くランポヨへ針路をとりなさい」
「真理子。ランポヨへ向かうんだ。早くしろ」
 マテラの命令が下った。真理子は、隆も樹理も捕まっている状況なので、抵抗することなく強制的に進路は変えられた。
 隆は、何とかして止めなければならないと思った。ジュリアの存在を今まで忘れていた。隆は、ジュリアの姿が見当たらないことに気が付いて、見回したが、ランナもジュリアを抱いてはいない。5次元時空にいるのかも知れないと考えて、ランナにジュリアを呼んでくれと頼んだ。
「ランナ。ジュリアは今どこにいる? 呼び出せないか」
「きっと傍にいるはずよ。今読んでみる。ジュリア。いたら返事をして」
「はい。ずっとそばにいましたよ」
 姿は見せなかったが、ジュリアの声が聞こえてきた。
「ジュリア。地球を守るために手を貸してくれ」
 隆は、この窮状を脱却しようと思って、ジュリアの応援を頼んだ。
「わかりました。どうすればよいでしょうか」
「私たちの拘束を解いてくれ。私が、彼らがしようとしている事を止めるので、樹理とランナを守ってくれ」
「お安いご用ですわ」

 ロジェアは、ロボットではないので、年を取るのが一番嫌なことだった。そこで、ランポヨ星まで眠ろうとした。生命維持装置を探したが、グリーンプラネット号にはその設備はなかった。
「樹理。生命維持装置はどこにあるの?」
「ああ。グリーンプラネット号は、ワープが出来るので、短時間で惑星間移動が出来るし、必要なくなったから設備をしなかったのよ」
「そんなありえないわ。そんなに早く飛行出来はしないわ。私はこれ以上年を取るのは御免よ。生命維持装置を作って」
「大丈夫よ。5次元時空を飛び越えるので、そんなに時間はかからないで着くわ」
「え。5次元時空ですって。4次元時空の壁をどうやって超えたの」
「そんなに難しくはないわ。光速飛行するものは、光子でしょ、それに電子や素粒子たちがあるでしょ。宇宙空間では、ほとんど重力以外の影響は受けないから、ほとんど光速で移動してるのよ」
「それは分かっている」
「4次元時空で、ほとんど光速で飛行している物体は、質量が増大して、非常に動きにくくなってしまうのだけれど、この時質量は、エネルギーに変化して、5次元へ入るためのワームホールを開けることが出来るの。これによって、5次元時空に入ることが出来るし、ワームホールを掘り進めて、未来の時空に到達することが出来るので、その時5次元時空から出てくることになるわ」
「つまり、5次元に入れば、タイムマシンのように未来に行ける訳ね」
「そうとも言えるけれど、タイムマシンではないわ。地点の移動になるだけで、時間の移動ではないのよ」
「よく分からないわね。地点の移動と言うと、地球からランポヨまで、5次元を通って移動するという事よね。その時時間はどうなっているの」
「時間は、縮んでいるけれど時間はそのままあるわ。でも、時間の流れを横切るので、普通なら30年かかる距離だけど、5次元を通れば、数時間で着くことになるのよ」
「5次元の形は、4次元とは違っているのでしょう。座標を指定することなんて、出来ないと思うわ」
「私も最初はどうしたらよいか分からなかったけれど。座標は、同じだと言うことが分かったの。つまり、5次元は、4次元と合体していて、繋がっているから、接点を指定してやりさえすれば良い事になるのよ。多少複雑な形をしているけれど、5次元は、4次元に絡まっている状態で、しかも整列しているので、距離を計測するのはそんなに難しい事ではないの」
「ますます分かりにくくなったわ。5次元は、大きさの同じボールのようなもので、4次元にくっついているみたいなのね」
「意味合いが違うけれど、そう理解しておいてもらっていいわ。その方が、簡単だから」
「それで、ランポヨに着くのはいつなの」
「あと3時間ぐらいね」
「ほんとなの。今だってそんなに早く飛んでいるようには思えないわ。それに、5次元だっていう特徴もないから、分からないわ」
「確かに普通よね。それが、私の設計した宇宙船だからできる事よ」
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雲乃平八郎作品5/27

2012-05-27 08:00:28 | Weblog
『雲乃平八郎の浮雲』

若草の春の長閑に芍薬の色香漂う心を咲かす

 木曜から昨日まで、岩手県の方に旅行に行ってきました。宮古市から田野畑村まで巡ってきました。途中、震災の跡を見て、とても心が痛みました。復興は進みつつあるようですが、とてもとても簡単には行かないことを実感させられました。
 やはり、自分の目で見て確認したことは、新聞やニュースではとても知りえない事でした。想像しているよりも、現実に1年以上経っているにもかかわらず、津波の爪痕がくっきりと見られましたことは、私にとって良い経験になりました。
 旅から戻ってみると、庭先の芍薬が真っ白い花を咲かせていました。元気な地元の人たちと、元気な花に、私も元気付けられています。

津波にも負けない自然海岸が人工物壊れても残る

 地元漁師の方は、防波堤が脆くも倒され、崩されているのに、自然の海岸の景色は変わることが無いと言っていました。私もこの目で見て、本当に自然ってすごいなと思います。人が造ったものは壊れてしまうけれど、リアス海岸は、ほとんど無傷にその形をとどめています。宮古市の浄土ヶ浜周辺の遊歩道が壊され、散策が出来ませんでしたが、今急いで復旧して、昔のように観光に来てほしいと頑張っているのです。
 北山崎にあった番屋群は、跡形もなく津波の引き波で松林ごと沖に持って行かれてしまい、昔の姿は全くありません。遊歩道も途切れ、海岸を歩くことが出来ませんが、いま復旧に努めていますので、年内には遊歩道も整備されるものと思います。

養殖の牡蠣もホタテも流されてお先真っ暗になっても復活だ

 私が、乗せていただいた漁船の漁師さんが、やっていた養殖事業は、全滅してしまい、牡蠣は全く今のところ手が付けられない状態ですが、ホタテの養殖は、復活させて、出荷にこぎつけているそうです。まだ、ほんの少しではありますけれど、以前の暮らしが戻ることを祈ります。
 ご自身も、奥様も、津波の時に運良く逃げることが出来て、命は助かったそうですが、財産の多くを失い、目の前が真っ暗になったという事です。でも、もう一度やり直して、頑張っていて、また明るくていらっしゃるお姿は、とても立派なものです。私だったら、もう一度やり直す力があったかどうか、疑問が残りますけれど、私も勇気を頂いて、自分のできることを精いっぱいやらなければと、学んできたことは、一番の収穫です。

『雲乃平八郎の小説』

   宇宙に輝く緑の惑星

     15

マテラの指示を受けた戦闘機隊は、20機ほどが攻撃していた。そこから少し離れたところにマテラの乗る円盤があった。クオラデス号が近づいているのに、まだ気が付かないでいた。
「司令官。そこで限界です。それ以上近寄ると、バリアーの影響を受けます」
 真理子から連絡があった。
「ありがとう。それでは、30秒後に、クリムンでそちらに乗り移るが、3分後にバリアーを切ってくれ。クリムンが、そちらに乗り移るための時間は、12分が必要だから、9分間以上は、バリアーなしになるので、戦闘機の攻撃に応戦するように」
「はい。私が、戦闘機を動かします」
「カオル。まさか乗り込むのではないだろうな。シミュレーターで自動操縦して戦うんだぞ」
「はい。ですが、実戦ですから、私も外で戦います」
「駄目だ。命を落とすぞ」
「分かっていますが、安全に移動していただくためには、私が操縦して戦わなければ、勝てません」
 敵の戦闘機は、コンピュータ制御されているために、パターンがあり、それをシロスが、コントロールして作戦を立てている。だが、シロスもコンピュータなので、いかに優秀でも、奇襲に対応する適応力は不足している。そこが狙い目だとカオルは分かっていたのだ。
「そうか。だが、命を粗末にしないでくれ。危ない時は、戻るように」
「はい。任せてください」
 マテラは、クオラデス号が、グリーンプラネット号に接近していくのが見えた。
「やや。クオラデス号じゃないか。もしかしてロジェアが裏切ったか」
「カラ大佐。ロジェアは、一緒に来たんじゃないのか?」
「途中までついて来ていたのですが、引き返したようです」
「それはまずい」
 マテラは、思案していた。だが、自分の野望を遂げるためには、クオラデス号を破壊することに決した。たとえロジェアが居ても構わないと言う思いに至ったのだ。
「カラ大佐。クオラデス号をBR砲で攻撃せよ」
「でも、ロジェア様がいます」
「いいんだ。ロジェアには犠牲になって貰う」
「では、BR砲を発射します」
 カラ大佐は、BR砲に座標を打ち込み、発射ボタンを押した。閃光が走り、クオラデス号にBR砲の火の玉が撃ちこまれた。数秒後には、クオラデス号に命中し、クオラデス号は、木っ端微塵に爆発して消え去った。
「クオラデス号から小さな物体が出て行きました」
「何。あれは何だ。小型船で逃げたか」
「グリーンプラネット号に向かっています」
「撃ち落とせ。シロスに伝えろ」
 知らせを聞いたシロスは、戦闘機隊をクリムンに向けた。バリアーにてこずっていた戦闘機隊は、ここぞとばかりにクリムンを攻撃しようと向かった。
 そこへ、バリアーを外したグリーンプラネットから、50機ほどの戦闘機が現れた。戦闘機同士の戦いになり、シロスの率いる戦闘機隊は、劣勢になり、次第に退いていた。シロス隊は、数機の戦闘機しか残こらなかった。カオルたちの戦闘機も数機がやられたが、シロス隊を追いつめて行った。
 クリムンは無事にグリーンプラネット号に救助された。
「カオル。戻って来てくれ。みんな助かったぞ」
「了解」
 カオルは、数機の戦闘機を守りに残し、帰還することにした。次第にグリーンプラネット号に近づいたが、その時、閃光が、カオルの戦闘機を包んだ。マテラが、BR砲で攻撃してきたのだ。
「カオル。カオルー」
 隆は、それを見て、カオルの名を呼び叫んだ。カオルと戦闘機隊は、ほとんどが消滅した。グリーンプラネット号には数機が戻ってきたが、そこにカオルの姿はなかった。
「バリアーセット」
 隆は、すぐにバリアーを張り、敵の攻撃に備えた。続けざまに、BR砲がグリーンプラネット号に撃ちこまれた。一部被弾して、破損したが、修復が可能な程度だ。数秒後には、バリアーが張られ、もうBR砲が撃ちこまれても大丈夫である。
「カオル。すまん。ありがとう。カオルのお蔭で、みんな助かった」
 カオルのために、数秒ではあったが、黙祷がなされた。みんなの哀悼の心がそこにあった。それにグリーンやホワイト、夏目らの分も祈った。
「真理子さん。ありがとう。あなたのお蔭で、私たちは、脱出できたわ。あなたが強硬に出てくれなかったら、まだ、私たちは囚われの身よ」
 樹理は、真理子と抱き合って、感謝していた。
「これで一安心ね。これからどうするの?」
 ランナは、嬉しそうに聞いてきた。
「そうね。地球に戻りましょうか」
 樹理も、地球に戻りたかったので、そう言った。
「それは駄目だわ」
 ロジェアが、それに異議を唱えた。
「え。どういう事?」
 樹理は、ロジェアが反対するとは思っても見ない事だった。
「どうしてもランピアに戻りたいの」
「その気持ちは分かるけど、ランピアと同じくらい地球は良いところよ」
「いいえ。私は、ランピアに戻って、みんなを救いたいのよ」
「ランピアはそんなに危険なのか?」
 隆は、ロジェアの気持ちがどうして、ランピアにあるのかを確かめようとした。
「ランピアは、ランポヨとの戦争で、今は、破壊されるかもしれないところまで来ているわ」
「破壊されるって、ランピアが無くなるってことなの」
「そうよ。ランピアが、ランポヨに支配されたら、ランポヨは、ランピアの資源を奪いつくして、いらないものは、宇宙に捨てる計画があるの。だから、ランピアの人も動物もすべてが死滅させられてしまうわ。最後には、ランピア星も残らないかもしれない」
「そんな状況なのか。でも、ランポヨがそこまでするのには、まだ、時間があるだろう?」
「いいえ。私が、ランピアを出発して、もう40年が過ぎたわ。これだけ時間があったらきっとランピアは支配されているはずよ」
 隆は、どうすべきかを悩んだ。今隊員の数が、足りなくなってきているので、補充したいところだ。このままランピアに行って、戦争することは、まず無理な状況だ。
「分かりました。でも、この人数では、ランピアに行って戦争することは出来ません。隊員の補充に一度地球に戻ります。そのうえで、折り返しランピアに向かいます。時間にして10日ほどですが、それでなんとか我慢してください」
「ランピアには、まだ生き残った人たちがいるはずよ。その人たちを隊員にすればいいわ。私から話をつけるから、ぜひ行ってちょうだい。お願い」
「どうしたものか。樹理はどうなんだ」
「私は、ロジェアには悪いけれど、地球に一回戻ってほしいの。死んだ隊員の葬儀もしたいし」
 隆も樹理もみんなも、考えていた。隆は、結論として、地球に戻ることに決めた。
「ロジェア。許してください。司令官として、地球に戻る決定をします」
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雲乃平八郎作品5/23

2012-05-23 09:18:26 | Weblog
『雲乃平八郎の浮雲』

待ち望む五月晴れの日空の綿浮かれて浮いて心を癒やす

久しぶりに荒れた天気から解放されて、温かな日を過ごしました。散歩をすれば、少し汗ばむ陽気ですが、とっても心は浮き立つ陽気な日となりました。透き亘った青空に、ところどころ浮かぶ雲の綿を見ていると、何ともゆったりとした気持ちにさせられます。私の心も浮かんでいます。
悠々としたその姿に、せっかちに歩いている自分が恥ずかしくなります。少し大股で、ゆっくりとした歩調に変えて、空の雲を眺めながら歩きます。林の中に入れば、木漏れ日がたくさん丸い太陽を映し出してくれて、何とも癒やされる散歩になりました。

爽やかな初夏の空気に包まれて緑の林軽やかに歩く

 林の中は、ぶつかってくる虫がいることを除けば、爽やかな木々の息遣いが何とも爽やかです。歩いていても、息苦しくなることもなく、たくさんの新鮮な酸素を吸うことが出来ます。
 二か月前には、骨ばかりの枝に、いまや若葉がぎっしりと、黄緑色が目に優しく飛び込んできます。全く自然の命の速さには驚かされます。あっという間の成長は、どこにそんなエネルギーが隠されているのか不思議でなりません。

手に採れる若葉の薫り懐かしく故郷の木も同じ匂いに

 私の子供のころ、もう50年以上も前ですけれど、東京都西多摩郡調布町上石原近辺の野山を思い出します。そこで嗅いだ、草の匂い、小川の匂い、蓮華畑の匂い、若葉のころに急に木々が匂いだし、花を咲かせます。畦道には、姫踊子草やオオイヌノフグリ、タンポポ、名も知らぬ可愛い花々が、いまになって懐かしく思い出されます。
でも、年輪は、木々を大きくし、街の様子を大きく変えてしまい、昔の面影は今はないでしょう。道路も家々も様変わりして、懐かしいふるさとは、もうありません。ですから、心の中だけが頼りです。今若い人は、故郷の姿を目に焼き付けておくべきです。どんなところでも生まれ育ったところに変わりはありません。嫌なことがあったにせよ、年老いて思い出すときには、嫌な思い出は薄らいでいるものです。
懐かしさは、自慢の種でもあります。あの時こうだった、ここでこういう事をしたなど、子や孫に語る時は、活き活きとして自慢できるのです。聞く方は、何時もの話だと、呆れるかも知れませんが、話す方としては、自慢できる故郷談義です。遠く離れて行けば行くほど、昔のことは懐かしく思うものですから、年寄りのたわごとでも、若い人はなるべくつきあっていただきたいと思います。

『雲乃平八郎の小説』

   宇宙に輝く緑の惑星

     14

 真理子は、それでもかたくなに、使命を守ろうと必死になっていた。スコットが殺されると分かっていても、返事はノーだ。
「駄目。宇宙船は渡しません。もう私は、あなた方とは、関係を絶ちます。これで通信を切ります」
「待て。関係を絶つという事はどういう事だ」
 マテラは、納得が出来ないと言う口調で尋ねた。
「私は、地球とランピアのために、クオラデス号を破壊します。これから一〇秒後に、攻撃を開始します。司令官、樹理隊長、ヨハンソン、スコット、ランナ、幸造、フィリップ許してください。御免なさい」
 真理子は、通信を強制的に切ると、ニューキャン砲を始動させた。10秒後に発射できる。真理子は、もう迷いはなかった。カオルは、まだ迷っていた。
「真理子。どうしてもやるの?」
「ええ。やるわ。これは使命なの。私は、こうすることが一番良いと信じている」
 真理子の覚悟の言葉を聞いて、隆と樹理は、自分たちも覚悟を決めた。
「マテラ艦長。脱出しなくてもいいのか。まだ脱出用の円盤はあるだろう?」
 隆は、マテラが何もせずにこのままやられるはずはないと思っていた。
「あるが、これで脱出しても、ランピオに帰るには、120年はかかる。それでは、脱出する意味がない。最後の手段としては、攻撃しかない」
 マテラは、戦闘機を発進して、グリーンプラネットを攻撃することにした。
「シロス。戦闘機を全機発進させよ」
「分かりました」
「わしは、脱出用円盤でクオラデス号から脱出して、お前たちの攻撃が成功するのを見ている。必ずグリーンプラネット号を奪うんだぞ」
「分かりました」
 シロスは、戦闘機に乗り込み、マテラは、脱出用円盤に乗り込んだ。ロジェアもマテラと一緒に円盤に向かって行った。隆たちは、クオラデス号に残された。
「誰か動ける者はいないか?」
 隆は、周りを見渡してみた。
「ランナも縛られている?」
 樹理は、ランナは縛られていないと思って聞いた。
「ランナはいません」
 ヨハンソンが、全体を見回して答えた。
「どこへ行ったんだ?」
「確か、ロジェアが連れて行ったと思います」
 スコットは、マテラたちが円盤に向かった時に、ロジェアがランナの手を引いて連れて行くのを目撃していた。
 隆たちは、縛られたまま、ニューキャン砲の攻撃にさらされようとしていた。真理子のことだから、必ず攻撃してくるのは間違いないと、隆は思っていた。
「あ。ロジェア」
「それにランナもいる」
 ドアが開き、ロジェアとランナが手をつないだまま駆け寄ってくるのが見えた。ロジェアとランナが戻ってきた。
「ロジェア。ランナ、どうして戻ってきたんだ」
「あなた方を助けるためよ」
 ロジェアはそういうと、隆の拘束を解いた。隆は、すぐさま操縦室に向かい、クオラデス号が動くか確かめた。
「動きそうだ」
 樹理も、みんなも拘束を解かれ、操縦室に集まってきた。
「これで逃げる。みんな位置についてくれ」
 隆は、すぐさま発進させるべく、操作した。クオラデス号は、静かに動き出して、空へ昇りだした。
「良かった。これで助かるのね」
 ランナは、嬉しそうにロジェアと樹理の手を握っていた。
「まだ安心はできない。ヨハンソン。真理子と通信が出来るか試してくれ」
「分かりました」
 ヨハンソンは、グリーンプラネット号に呼びかけた。だが、何の返答もなかった。
「繋がりません。きっとすべてのチャンネルを切ったのだと思います」
「待って。緊急通信装置があるはずよ。私の設計通りなら、確かここに」
 樹理は、操縦席の下から小さな携帯のような通信機を取り出した。
「真理子。聞こえる? 樹理よ」
 樹理の声が、グリーンプラネット号の操縦室に響いた。
「樹理隊長ですか」
「そうよ、私。お願いだから、ニューキャン砲は撃たないで。マテラたちは、戦闘機と円盤で、そっちに向かっているわ。クオラデス号には、私たちしか乗っていないから、撃つのをやめて」
「本当ですか」
「本当よ。お願い」
 真理子は、どうやって確かめればよいか、迷っていた。そこへ、カオルが、驚いたような声を上げた。
「敵戦闘機が来ます」
「戦闘態勢に入る。バリアーセット」
「了解。バリアーセット完了」
 戦闘機隊は、至近距離まで来て、銃弾とミサイルを撃ちこんできた。だが、バリアーに守られているので、損傷は受けなかった。
「樹理隊長。確認のために司令官とお話しさせてください」
「いいわ。今代わります」
「村井だ。真理子。マテラたちは、クオラデス号を捨てて、グリーンプラネット号を奪おうとしている。暫くは、バリアーで防げるだろうから、頑張ってくれ。俺は、クオラデス号をできるだけ、接近させるので、救出を頼む」
「でも、どうやって救出すればよいのですか」
 グリーンプラネット号には、真理子とカオルしか残っていない。それにバリアーがある間には、ドッキングすることも出来ないし、バリアーを外せば、敵の攻撃をまともに受けてしまう。
「待って。忘れていたけれど、クリムンがいたわ」
 樹理が思い出したように叫んだ。クリムンは、樹理の移動手段として使っていた乗り物だ。これだけの人数であれば、簡単に運ぶことが出来る。
「クリムン。聞こえたら来て頂戴」
 樹理の呼びかけに、壁をすり抜けて、樹理の前に現れた。
「おおこれは、オオカミ型万能バスだ」
 ヨハンソンたちは、この乗り物は知っていた。樹理の開発による、万能バスという名称の乗物だ。ほとんどどこへでも行ける。宇宙空間も可能だった。
「みんなこれに乗って。グリーンプラネット号に向かうわよ。司令官。クオラデス号で、なるべくグリーンプラネット号に接近して」
「よし。みんなクリムンに乗って待機していてくれ」
 隆は、クオラデス号を、最大限の出力で進ませた。しかし壊れかかっているために、何時エンジンが止まるか分からない。
「真理子。クオラデス号が最も接近できる距離に着いたら教えてくれ」
「了解」
「最接近したところからは、樹理のクリムンでそちらに乗り移る。その時だけバリアーを止めてほしい」
「分かりました」
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雲乃平八郎作品5/20

2012-05-20 08:21:38 | Weblog
『雲乃平八郎の浮雲』

争わず気張らず生きる我なればぶつかる間際身を翻す

 争いの中に身を置くことは、並大抵の心構えでは済まない。突然巻き込まれるにしても、状況判断が出来ればよいが、それなりの経験が無ければ、対処することは難しいと思われる。戦争ともなれば、最初から命のやり取りという事の自覚がなければならず、それこそ究極の判断力が要求される。
 日常にも争いはいつでも起きる。ちょっとしたことでも、殺人まで発展することがあるから、注意が肝要です。避ける心は、あってもプライドが邪魔をするので、なかなか相手を容認できない場合が多いのです。
 それでもなお、自分が一歩引いて争いにならないように、努力をすることが肝心です。悔しさが残りますけれど、相手に譲ることが出来れば、悟りを開いたようなものです。人間ですから、我慢ならない事もありますけれど、終戦の玉音放送で、昭和天皇が発せられた言葉にあった「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ」ことによって、平和の時代がやってきたわけですから、あの一事を耐えた日本人であれば、争いの醜さ、悲しさ、切なさ、辛さ、を学んできたはずです。平和がどれほど大事なのかは、日本人は世界で一番身に染みて知っていると思います。

心して進むが良いとまっしぐら避けて通れぬ苦難の道を

 人生の僅かな何回かの機会には、どうしても苦難の選択をしなければならない時があるものです。戦国時代の武将である山中鹿之助は、自らに艱難辛苦を与えよと神に祈願しています。私は、そこまでの気持ちを持つことが出来ない凡人です。
 試練の時は、必ず来ます。避けて通れれば良いのですが、そうできない時があります。それでも前に進まなければならない時、人間は、人が変わります。精神状態と言ってよいのでしょうが、覚悟が出来るのです。今まで、おびえて隅っこに隠れていた者が、何かのきっかけで、鬼のようになれることがあるのです。
 戦国の世では、死ぬ覚悟を持った者こそ生き残れることは周知の事実です。日ごろの鍛錬と、技術の習熟度、剣や鑓さばきに長じることで、自信が生まれ、やればできると言う気持ちになるのです。根性とか気概とか、火事場の馬鹿力のように、思っても見ないことをやってのける時があるのです。
 普段からの真剣勝負を忘れずに、何時でも剣を交えても大丈夫と言う状態に自分を鍛えることが必要です。平和の世にも、心を鍛えることは、生き残りをかけての、いちかばちかの勝負にも生かされるのです。学ぶことをやめている人は、もう一度学んでください。心を鍛えることをしていない人は、心を鍛えてください。やるべきことをやって、天命を待つのです。きっと成功者として人生を歩めるでしょう。でも最終的には、自分の力ではありません。神の助けによるという事を忘れてはなりません。
 私の思う成功者と言うのは、生きることに自信があり、生きていることを心から感謝でき、生きることが一番の喜びとなしている人のことです。決して、お金や名誉のために生きるのではなく、自分の命を自ら見出した人のことだと思うのです。心が豊かにならないで、満足は得られません。死後何も持って行けないのが人生ですから、形のないものを蓄えようではありませんか。目に見えないけれど、心にあるものです。人によって表現は違うかも知れませんが、基本的には「愛」です。
 一杯「愛」を蓄えておけば、きっと死後も愛に包まれていられると思います。自らの「愛」を自ら天国で使うことが出来るのです。愛なら、天国へ持って行くのに相応しいと思います。これが出来るのは、人間だけです。神がそういう風に創られたからです。神に似せて人を創ったのは、形という事ではなく、この心にある「愛」と言うものだと思います。ですから、「愛」を与えてくれた神に感謝するのです。

山里の緑忙し衣替え陽炎揺らぐ道は鏡に

 今、日に日に見違えるように景色が変化しています。とにかく緑が成長しているのです。花を咲かせ、子孫を残そうと必死です。毎年葉を落とす木の変わりようは、本当に驚きとしか言えません。
 それはあたかも忙しく反物を織り、染付をして、縫い上げて、衣を着ているようなものです。春には春の衣を着て、夏を過ごし、秋には秋の衣替えをします。我慢の冬は、裸になってしまうのですが、それでも生きているのです。
 道を歩けば、ギラギラと照り輝く太陽を浴びて、道路がキラキラと鏡のようになり、ゆらゆらとカゲロウを立ち上げています。全く、自然が織りなす神秘のエンターテイメントと言うものです。ショーこそ素敵な商売はないと言うタイトルの映画のように、自然はいつも人間を楽しませようと、ショーを繰り広げてくれています。
 私は、このショーを見せてもらって感動しています。生きる喜びは、ここにあるのです。こんな素晴らしい地球を創ってくださった神に感謝します。

『雲乃平八郎の小説』

   宇宙に輝く緑の惑星

     13

 ドアを通り抜けて、ランナたちが、操縦室に繋がる部屋に入ると、マテラが部下に守られて待ち構えていた。
「ランナ。そこまでだ。見ろ。ここにお前のパパもママもいる。それに捕虜のみんなもいる。これ以上攻撃すれば、みんなの命はない。銃を捨てろ。抵抗しても無駄だ」
「パパ。大丈夫? 隣にいるのがママね」
 ランナは、隆が生きていることを見て、喜んで叫んだ。
「ランナ。そうだよ。ママの樹理だ」
「ランナ。大きくなったわね。ママよ。会えて嬉しいわ」
「ママ。私もよ」
 ランナと隆と樹理の再開を、マテラは、逆手に取ろうとした。
「再会できてよかったな。だが、喜んでばかりはいられない。わしの言う通りしないとこのスイッチを入れるぞ。そうしたら、パパもママも死ぬぞ。銃を捨てて、わしらの仲間になれ」
 ランナの前には、シロスとロボット兵士が20体ほど、機動兵士が5機ほどいた。その後ろに、マテラが大きな体を見せつけるように立っていた。その後ろに、隆と樹理が椅子に縛り付けられていた。ランナは、知らない捕虜が二人同じように縛られているのを見たが、意識が無いように見えた。その二人は、洗脳されているので、自分の意識がなかったからだ。マテラに捕まった幸造とフィリップだった。
 その後ろの方に、樹理の母のロジェアも立っていた。ランナは、迷った。マテラの言うとおり武器を捨てても、本当に助けるのかどうかわからなかったからだ。
「ランナ。私、ロジェアよ。あなたには、赤ちゃんの時、一度だけ会ったのよ。覚えていないでしょうね、私は、樹理の母よ。これ以上抵抗しないで、パパにもママにもマテラがスイッチを押すと心臓を止める機械が埋め込まれているのよ」
「そんな。みんな殺す気ね。私が武器を捨てても、皆殺しにするつもりでしょう」
「そんなことはないわ。このままランピアに連れて行くから、仲良く暮らしましょう」
「本当なの。マテラは、約束しないでしょう」
「約束するわ。マテラも同じ考えだわ」
「本当なの、マテラ」
「ああ。本当さ。俺の味方をすれば、地球はお前たちの自由に支配させてやる。我が軍団に入れば、宇宙を支配して、豊かな暮らしが出来るんだぞ」
 マテラは、信用できるとは思えなかったが、このままでは、自分たちが、敵の銃口に狙われているので、何時撃たれてもおかしくない状況だった。この状況で、撃たないという事は、命を助けようと思っているに違いないという事だが、それは、ランナだけという可能性もある。ランナは、樹理や隆を動かす駒として利用されてしまうかも知れないのだ。
「ヨハンソン。どう思う」
「俺たちは、死んでも戦いたい。どうせ生かしておいてはくれない筈だ」
「そうだ。ランナ。俺たちに銃を向けて、ランナはロジェアの許へ行け。そしたら、俺たちは敵と銃撃戦をやる」
「でも。みすみす死ぬと分かっていて、戦う事はないわ。きっと生かしておいてくれると思う。そしたら、真理子たちが来た時、一緒に戦えばいいのよ」
「俺は、そんな賭けにはのらない。死ぬなら戦って死ぬ」
「いいから、ランナだけ行け。俺隊の仇を、あとで必ず討ってくれよ」
「お前たち、何をこそこそやってるんだ。もう待てないぞ。皆殺しにしてやる。シロス、撃て」
「待ってくれ」
 隆が、声を上げた。マテラは、隆の方を向いた。
「なんだと言うのだ。何やら企んでいるみたいだから、殺すのが一番だ」
「俺が説得するから、待ってくれ」
「そうか、じゃあ話せ」
 隆は、椅子に縛られたままだが、3人に訴えかけた。
「マテラを信用して、この場は従ってくれ。そうでないと皆殺しだ。マテラにとっては、俺たちに利用価値があると思えば、命は助けてくれる。それは間違いない」
「ランナは、それでいい。でも俺たちには、利用価値はないだろう」
「そんなことはない。俺も樹理もマテラに良く頼むから、短気は起こさないでくれ」
 隆は、マテラの方に向き直ると、隊員を助けてくれるように頼んだ。
「マテラ。彼らを捕虜にしても、命を救うと約束してくれ。そうでないと、俺も、樹理も協力はしない」
「まあいいだろう。無駄に命を取ることはしない」
「分かったわ。ここに銃を置きます。皆もね」
 ランナが、銃を置いたので、ヨハンソンもスコットもしぶしぶだが銃を置いた。シロスと兵士が近寄ってきて、3人を拘束した。ランナは、ロジェアの許に連れて行かれた。スコットとヨハンソンは、縛られて、床に寝かされた。
「これからどうするの」
 樹理が、マテラに聞いた。
「わしらの宇宙船クオラデス号は、ほとんど使い物にならない。そこで、ランナたちが乗ってきた宇宙船を呼び寄せて、それに乗り換える」
「駄目だわ。グリーンプラネット号は、真理子が艦長よ。脅しをかけても、利用されはしないわ」
 ランナは、真理子とカオルが、簡単に宇宙船を明け渡すとは思わなかった。それより、こちらの様子は分からないにしても、異常事態であることは察知できているはずだから、このクオラデス号を攻撃してくるかもしれなかった。
「きっと攻撃してくるわ。私たちが死んだものと思っているはずよ」
 ランナの言葉に、マテラは、気が付いたように樹理と隆をモニターの前のカメラ位置に連れてきた。
「お前たちが生きている事と、捕虜がいることを、グリーンプラネット号に伝えろ。そして、降伏するように言うのだ」
 通信が開始され、グリーンプラネット号も真理子とカオルの姿が、モニターに映し出された。向こうには、縛られている樹理と隆の姿が映されている。
「司令官。捕まっているのですね。樹理隊長もいますね。ランナたちはどうなりましたか」
「ランナもさっきここに来て今は、私の母ロジェアと一緒よ。ヨハンソンもスコットも、マテラ艦長に投降して、みんな捕虜になったのよ。マテラ艦長は、グリーンプラネット号を渡せと言っている。クオラデス号は、戦闘での破損が酷く、艦単には直らないから、グリーンプラネット号を使いたいと言っている」
「それは出来ません。たとえ、皆さんが、皆殺しになっても、地球を危機に陥れることは出来ません。司令官の頼みでも、この宇宙船を渡すことは出来ないのです」
「お前たちは、こっちにいる捕虜が全員殺されても宇宙船は渡さないのだな。それなら、いまから一人ずつ処刑する。そこで見ていろ」
 マテラは、スコットを指さし、連れてくるように命じた。
「シロス。奴を連れてこい」
「はい」
 スコットが、モニターの前に連れてこられた。スコットの頭に銃が向けられた。
「いいか。三つ数える間に、降伏しろ。さもないとこいつの命はない。その後続けて、1人ずつ始末してやるから覚悟しておけ」
 マテラは、あくまでも脅せば、真理子が折れると思っていた。真理子を甘く見ていたようだ。
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雲乃平八郎作品5/16

2012-05-16 08:28:37 | Weblog
『雲乃平八郎の浮雲』

首傾げ体迷いし日ノ本に光の君はいずこにおわす

 今の政府には、首を傾げたくなる首相が居ます。こんな状態では、体である国家国民は、病気になってしまいます。明解に説明責任を果たす人が、今はいません。これからもいないかも知れません。
 でも、国民の一人として、手に松明を掲げて、ひっぱってゆく先導者を望みたいのです。光のように、表裏なく、隠し事なく、すべてを任しきれるような人がいないのは残念ですね。
 今の世界の現状から言って、少し「まし」ではだめなのです。少し仕事が出来る、少し実績があると言うのでは、国政を任せるのは、無理なのです。世界の変革に追いついて、追い越して、リーダーとして日本が世界に胸を張れるようにできる人でないと、私としては不満足です。
 先日の中国との関係を見ても、全く相手にされていないみたいでした。之では、首脳外交とは言えないでしょう。
 有能な人が出てくるのを望む方が間違っているかも知れませんが、心底かなわない夢を、実現してくれる人を待っています。

この世には負けるが勝ちの時もある心して行け命の限り

私も負けるのは嫌いです。勝負には勝ちたいし、勝てる人を応援したい。でも、勝つだけでは駄目な時があるのです。それに、勝つためには手段を選ばないと言うのも、私は駄目です。私は、正々堂々勝負して、力の限り戦って、そのうえで勝ちたいのです。相手に卑怯な手を使われて、負けたとしても、私としては勝っていると思います。
選挙でも、相手を攻撃していることが良く見受けます。自分さえ良ければと言う勝ち方はしたくありません。とにかく、正面切っての戦いに挑み、負けることは、悔しくとも恥ではありません。日常生活でも、企業の中でも、一方的にやられてしまう事ってありますよね。私は、基本的に暴力は嫌いですから、言葉の暴力も使いたくありません。
ですが、職場などでは、上司から怒鳴られることがあると思います。なぜ怒鳴るのか分からない時もあるのです。上司の虫の居所が悪い時とか、上司がさらに上層部に責められている時とかです。
私は、仕事のミスで怒鳴られることは、決して悪い事とは思いません。次には完璧に仕事をこなす糧になるからです。でも、仕事と関係ない、もしくは、ミスとは思えないことで、誤解されたりして怒鳴られると、反発したくなります。心の中は煮えくり返っていますが、決して怒鳴り返したりはしません。良く同僚が上司と喧嘩をしていましたが、短気なことはしないに越したことはありません。之は保身のためにだけではなくて、自分の心のためです。
喧嘩をすれば、感情的になりお互いに引っ込みがつかなくなるものですから、その場は引いて冷静になる時間を作ります。その後で、話し合いを持つようにします。こちらの意見や、願いを聞いてもらうのです。それに応じない上司だったら、そういう人だと諦めて、自分に勝利宣言をしてあげるのです。
ストレス解消は、何も皿を割るとか、他人に当たるとかではなくて、自分の心の中でもできるのです。出来ないと言う人もいらっしゃるかと思いますが、出来るように努力してみてください。

言葉には出せない極み美しさ華やぐ牡丹君の姿よ

我が家の庭のボタンが綺麗に咲きました。この美しさは、文章では表現できませんね。食べ物取材の番組で、コメントを求められても、うまいとかおいしいとしか言えない。でもこれは、当たり前なのです。言葉とはそうしたもので、いかに形容しようとも、百聞は一見にしかずと言うわけです。一目見て見れば、どれほどの美しさかは分かるでしょう。食べ物だって、食べてみて初めて、おいしいかどうかが分かるのです。食わず嫌いとか言いますが、景色とかもそうです。見て初めて気が付くものです。だから、旅に出たくなるわけです。
美しいものは美しいと言い、おいしいものはおいしいと言う。形容詞や、表現力だけで、説明しようと頑張っても、伝わらない時はどうしようもないのです。聞く人、読む人の想像力とか、経験値と言うものが無いと、無理なのです。食べたことがあるものは、見ただけで味が口の中に広がってきます。梅干を見て唾液が出るのと同じでしょうか。景色もそうです、行ったところや見た景色は、彷彿と目の中に映し出されてくるものです。ですから、旅はしておきたいのです。

『雲乃平八郎の小説』

   宇宙に輝く緑の惑星

     12

 クオラデス号には、もう二つのブロックしか残っていなかった。
「お前たちは、この第二ブロックを徹底的に調べろ」
 将軍カザルは、200体ほどの兵士ロボットに命じて、第二ブロックを探させた。
「では、このブロックを閉鎖する。機動小隊は、円盤と兵器を回収して来い」
「兵士ロボットがいるのに閉鎖してしまうのですか」
 ようやく意識が戻り、まともになって来たシロスは、カザルが何を考えているのか分からなかった。
「もし、第二ブロックに敵がいれば、当然兵士ロボットと戦闘を繰り広げるだろう。こちらが勝てば問題ないが、もし兵士ロボットが全滅してしまったら、第二ブロックを占領されてしまい、そのうえ、兵器や脱出用の円盤まで奪われてしまうのだぞ。そうさせないために、円盤と兵器は第一ブロックに移動するのだ」
「それで、閉鎖した第二ブロックはどうするのですか」
「こちらが負けたりしたら、第二ブロックを、宇宙空間に放出して、自爆させる。それによって、敵はいなくなる」
「なるほど、分かりました。では、我々は、第一ブロックを調査してきます」
「その必要はない。この第一ブロックには、敵が隠れる所が無い。もしこの第一ブロックに敵が入り込んでいれば、もうすでに、潜入感知ロボットが探知して警告をしている。そのうえ排除に向かっているはずだ。だから、シロスたちは、操縦室の手前の広場に集結して、突撃をしてくる者がいるなら、それを殲滅せよ。捕虜を集会室に集めて、集中管理下に置け」
「分かりました」
 シロスは、すぐに配置に着くように兵士ロボットに指示を出した。

 その頃、ランナたちは、第二ブロックから第一ブロックへ通じる通路を見つけて、そこを進んできたところだ。
「もうすぐ第一ブロックよ」
「静かに進め」
 ヨハンソンが、みんなに指示を出していた。グリーンの後は、ヨハンソンが隊長になっていた。それは、前から決めてあった序列による。経験と実績から決めたものだから、みんなも納得していた。
 兵士ロボットが、通路の中にも探索の手を伸ばしてきた。見つかるのは、時間の問題だ。
「兵士ロボットの音が聞こえる。後ろから迫ってきている」
「いや。前からも来るぞ。挟み撃ちになるのは御免だな」
「だったら、この通路の壁に穴を開けて」
 ランナのアイデアで逃げ道を作ることにした。
「了解」
 ホワイトと有村が、レーザーで壁を焼き切った。倉庫が現れた。倉庫のドアから様子を窺うと、悪い事に円盤の格納庫に敵が待ち構えていた。
「なんなの。これじゃやられるわ」
 ランナは、窮地に陥った。でも、自分の目的を思い、第一ブロックへ向かう事に決めた。
「敵中突破よ。第一ブロックに向かうわ。みんな一緒に来て」
「行ってください。私がここで持ちこたえます」
 有村の言葉に、ホワイトも同調した。
「俺も残る。みんな早く行け」
「一緒に行きましょう」
 ランナは、またここで味方を失う事には、耐えられなかった。
「馬鹿を言うな。敵に背を向けたら皆殺しだ」
「そうさ。ランナは第一ブロックに行かなければならない。俺たちのためにも、司令官と樹理を救ってくれ」
「頼んだぞ。ランナ行きましょう」
 ヨハンソンが、ランナを促した。
「ホワイト。有村。死なないでね。あとからきっと追いかけて来てよ」
「分かりました。追いかけますから、後ろを振り返らずまっすぐ第一ブロックへ行ってください」
「行きましょう」
 ヨハンソンが、ランナの手を取って、引っ張って行った。前方で待ち構える敵と交戦しながらだから、なかなか進めなかったが、幸い敵が少なかったので、勝利することが出来た。後方では、押し寄せる敵をものともせず交戦している二人がいる。
 ランナは後ろ髪曳かれる思いで、戻りたかったが、約束なので後ろを振り返らず、第一ブロックに到達した。後方で、大きな爆発音がして、眼の前で第二ブロックが切り離され、宇宙空間に飛び立っていく様子が見えていた。すぐに第一ブロックは、ドアが閉められ遮断された。
「ホワイト。有村。御免なさい」
 ランナは、すでに三人の仲間を失ってしまった。だが、悲しみで涙を流している暇がない。第一ブロックには、大勢の敵が待ち受けていたからだ。それに、身を隠す盾となるものが無い。あるとしても壊れた円盤が一機置いてあるだけだ。そこにまず駆け込んで、身を隠しながら、敵のロボットを倒して、それを積み重ねて盾とするしかなかった。
 夏目とスコットは、レーザー銃で次々とロボット兵士を倒し、それを重ねてバリケードを築いた。だが、それで防げるはずもなかった。敵がすごい勢いで押し寄せて来て、夏目もスコットも撃たれてしまった。
「夏目。スコット。大丈夫」
「大丈夫です。撃たれてしまって、動けないですが、命はあるみたいです」
「頑張ってね。今助けるから」
「それより、BR砲で敵を倒してください」
 ランナには、特別に改造して小型化したBR砲を持たされていた。最後の手段として、敵を倒すために与えられたものだ。
「これは最後の手段よ」
「でもそれしか、いま助かる方法はありません」
 ランナは、もう最後の手段としてBR砲を撃つしかないと決心した。これを撃つことで、万一にもこのブロックが破壊されることになったら、全員が死んでしまう。だが、これを撃たなければ、やはり、パパとママを救い出し、マテラを捕まえて、地球を救うことは出来なくなる。
「では覚悟して、撃つわよ」
 ランナの腕についているBR砲の引き金を引いた。BR砲は、発射されて、広い格納庫全体に爆発が広がった。ランナたちのところにも爆発の炎と風が押し寄せてきた。敵に当たった炎が跳ね返ってきたのだ。
 ランナたちは、床に伏して、その炎を避けた。シーンと静まり返った様子を、恐る恐る見ると、敵の兵士ロボットは、全部破壊され、機動ロボットも、原形をとどめないほどに壊れていた。この格納庫には、ロボットの姿は全くなかった。
「ヨハンソン。スコットの治療をお願い。私は夏目を」
「はい」
 スコットは、腕をやられて、片腕は全く動かなかった。夏目は、足をやられていて、立つことは出来ない。
「スコットは立てるかしら」
「大丈夫。立てます」
「じゃあ、夏目を起こしてあげて、ここに座らせておきましょう」
 ランナは、ロボットの破片で背もたれを作り、そこに夏目を座らせた。
「夏目。御免なさい。ここで、私たちが戻るまで待っていて」
「OK。敵が来たらやっつけてやります」
「すぐ戻るから、この銃を使ってね。あと、水も置いておくわ」
「ありがとうございます。早く救いに行ってください。もしかしたら、この爆発を聞いて、捕虜を処刑したら大変です」
「じゃあ行くわ。もうすぐ、真理子が、グリーンプラネット号でやってくるはずよ。この状況は、見ているはずだから。それまで辛抱してね」
 ランナは、ヨハンソンとスコットを連れて、操縦室に向かった。簡単に、格納庫のドアが開いた。
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