籠  太  鼓 

     ろ  う  だ  い  こ

『握手』投句十月分(掲載・一月号)

2008年10月08日 03時11分14秒 | 俳談
裁かれて豊葦原に入りにけり

身に入むや水は流れを選ばれず

待宵のまだ線彫りの大蛇かな

電源が切れて夜長となりにけり

秋雨やつくづくみんな地底人

溢れ蚊と斯うしてひとつ屋根の下

特徴はありませんコスモスだから



円陣集

爽籟が帰り支度をしてをりぬ

冷まじや八万円のマリア像

秋雨にゆるく縛られゐたりけり

露草や公民館の映画祭

灯火親し奥付にある「東京市」

銀漢や逃げも隠れもなき一戸

蟷螂のやうな生業とも思ふ

夜来るな夜は嫌じやと鵲(かち)の声

話すことあらかた尽きし月見かな

色鳥や声柔らかに脅さるる



※身に入む……みにしむ。秋になって、徐々に寒さを感じるようになってくることを、叙情的に表した季語。
※線彫り……せんぼり。刺青の基礎工程。下絵に倣って、皮膚に輪郭線を彫っていくこと。筋彫り(すじぼり)とも。
※大蛇……おろち。
※溢れ蚊……あぶれか。「秋の蚊」と同意だが、意義を強めた言葉。血を吸う力もなくなって、ふらふらと彷徨っている蚊のこと。「哀れ蚊」とも。




語釈が多いですが、それだけあまり使わない言葉や季語でも使ってやれという気概だと解釈してやってください。(「身に入む」は、よく使う季語ですが。普通の人にはわからないかなと思って語釈をつけました)

あと、今月の『握手』誌上において、

冷奴に目鼻のあらば淋しけれ

の句が、主宰の講評欄に載ったのですが、よくよく眺めてみると、これって正しくは

冷奴に目鼻のあらば淋しかり

だと今ごろ気付きました……。

いまさら訂正の仕様もないのですが、句意を酌んで講評してくださった磯貝主宰に、ただただ感謝感謝でございますです。すみませんでした……。

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