九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

琵琶湖博物館の地下標本庫について

2016-10-03 19:41:25 | 日記

琵琶湖博物館の地下標本庫について
 九重自然史研究所で約3000夜灯火採集を続けて採集した昆虫標本が保管されている琵琶湖博物館の地下倉庫はどんなところか紹介しよう。私はこの博物館で4年近く過ごしたが、一番長くいたのは地下収蔵庫だ。地下には動物、植物、地学、考古学などの倉庫がある。また総合博物館だが琵琶湖の生きている魚類を展示する水族館も兼ね、今は生きているバイカルアザラシが見られる。
 地下倉庫は二酸化炭素で殺虫した陸上動物、鳥類、昆虫、軟体類(貝)など剥製あるいは乾燥標本が主で、液浸標本は別の倉庫がある。3枚の写真のうち左上は薄暗い場所で作業する甲虫研究者として著名な武田滋さんで、今は私がつけた博物館番号を点検しリストの誤記入を訂正する作業をしている。草津に来て以来、私がその場所に座り、まず同じ目や同じ科の昆虫をなるべく同じ箱に収容する作業をおこなった。地蔵原では採集した昆虫を箱に入れるとき、目や科別にわけず制作順にぎっしり雑居させた。標本箱と時間の節約のためだ。
天井に蛍光灯がついているが薄暗い部屋だ。武田さんの背後に昆虫の標本庫がある。私の寄贈した24箱入る標本箪笥10個もその二階にあり、それは作業する人が標本箱を仮置きする台の役割も担っている。約2年間その二階部分を私が独占し、全スペースに標本箱を並べた。出入りする学芸員は私に遠慮し邪魔しないようにしてくれた。箱に区分し入れ終わると、後の2年は1階の研究室で標本番号つけた。私は長崎大学熱帯医学研究所助手のころから、一部屋持ち院生が一人同居したが、医学部の院生は大学卒後、臨床講座に所属しそちらが本拠だから、研究所には席があるが、そこに彼らが座るのは他の実験室で実験する前と終わった後、私と雑談する時だけだ。それに彼らは夜行性で夜実験室を使うので、彼らが帰るまで私も付き合った。多分、この博物館でも生き物である魚類を扱っている現場は、私が過ごした研究所と雰囲気が似ているだろう。医学部の研究者も大部分が動物を扱い、実験中の動物を管理するのは助手や院生の仕事だ。また細菌も私の寄生原虫も生き物だから人任せにせず自分でやっている。
 下の左は1階の床に剥製を仮置きし、その後ろに見える棚は新しく寄贈された昆虫標本がおかれている。次々、寄贈された標本が入ってくるが学芸員では整理できず、次第に奥の方へ押し込められる。この写真の左側に上へあがる梯子がある。下の右側の写真の木箱は私のゲニタリア標本が入っている。尾のない標本に番号があれば、その番号の交尾器がどこかに入っている。ファイルが数冊あるがそれは九重昆虫記にも書いた幻のゲニタリア図鑑だ。赤い箱は九重町で最後に行った展覧会で展示したA3大カラー写真約200枚だ

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