12angels story~EXOの架空のお話とお喋り

EXOの架空のお話と、EXOについてのお喋り。

※使用しているお写真はお借りしております。

この森は永遠へ繋がっている・3(白い狼の森・番外編)

2017-04-21 | 白い狼の森・続編
ルゥハンが帰った後、ミナはコーヒーカップを洗いながら(これはあのひとがくれたものなのか)と、さっきまでのセフンとルゥハンの会話を思い出していた。

『結婚のお祝いに』

と言っていた。

あのソファも、テーブルも。



(…私が生まれる前の話。)


一度だけ、スホが話してくれたことがある。

『君のお母さんはとても素敵なひとだったよ。』

と。


物心ついた頃から今の環境にいたミナは、母親がどういうものか物語の中でしか知らない。

ミナにとって、母親は自分を産んですぐに死んでしまった存在で、それ以下でもそれ以上でもなかった。

そして、なぜか、母親のことを知りたいとは思わなかった。

だから、母親の家族(祖父母)とも会ったことはない。
名前だけは知っていたけれど。

セフンが話そうとしないことは、知りたがってはいけないのだと、本能が告げていたから。


ただ、最近よくスホがセフンに、『ミナに祖父母との面識を持たせるべきだ』と言っているのを耳にした。

そのたび、セフンは曖昧な返事をかえすだけで決して首を縦に振らなかった。


はからずも今日、その理由を知ることができたわけだが。


ミナはカップを拭きながら、セフンの心配していたことは半分も当たっていないのではないのか、と考えた。

ルゥハンは『カイ(祖父)が会いたがっている』と伝えに来たのだ。

最初、自分たちを引き離しに来たと身構えていたが、どうやらそうではなかった。

セフンの言う『最後通告』というのは
自分たちが祖父に会うべきだ、ということで、スホたちが今まで言ってきかなかったことを、この場合『最終兵器』に当たるルゥハンを寄越して伝えたということなのだろう。

(何が最終兵器なのかはわからないけど。)

花の絵が描かれたカップを棚にしまうと、ミナはセフンを振り返った。

テーブルを拭いていた布巾を手にしたまま窓の外をぼんやりと見ている。


視線の先には、まるで門のように聳える金木犀の木が、2本。

秋にはオレンジ色の小さい花をたくさん付けて良い香りを辺りに漂わせるが、春はまだ緑だけだ。

「あれは、僕とカイが植えたんだ。」

セフンは急に独り言のように呟いた。


それはミナには初耳だったので驚いた。

「お前のお母さんのために。あの子がここで暮らすのに寂しくないように。」


もしかしたら、セフンの口から母親のことを聞くのは初めてかもしれない。



それくらい、


タブーだった。


母親は、ミナを産んで死んでしまったから。


ミナは、セフンの最愛のひとの命を奪ってこの世界にきた。


(セフンは、私のことを許していない。)


それはミナが心にずっと抱える重石だった。

どんなに大切にされ、可愛がられても。

それを自分の心の中から取り除くことはできなかった。


だから、

母親のことを話さないセフンに、


母親のことを聞いたりはしない。



それは、セフンの心の一番奥深い処へ分け入ることだから。


自分にはその資格はないと、ミナは思っていたから。


…あの木を、セフンと一緒に植えた『カイ』に会いたい、とミナは思った。


カイに会って、母親のことを聞きたい。

セフンが話してくれなかった母親のことを。



ふと、ルゥハンの言葉を思い出す。


『カイに会わせたら…もう僕の所には戻ってこないのじゃないか』

と、心配するセフンに、

『この子がお前の傍を離れるとは思えない』

と、ルゥハンは言ったのだ。

会ったばかりのルゥハンでさえそう言ってくれたのに。

セフンは何を恐れていいるのか。

恐れなくてもいいことを恐れているセフンの後ろ姿が、とても寂しげに見えた。



森にゆっくり夕闇が訪れる。














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