宮崎信行の国会傍聴記

(1)政権交代ある二大政党政治を実現する。
(2)開かれた国会を報じる。

[きょうの国会]数は力の風が吹くとき 日印原子力協定は衆本を通過、参議院先議の「精神保健福祉法改正案」は自公民維修正で二院制の存在感を示す

2017年05月16日 17時57分16秒 | 第193回通常国会(2017年1月から)

 第193回通常国会の当初会期末は6月18日ですが、平日としては残り1カ月となりました。

 相模原やまゆり園事件を立法事実とした、精神保健福祉法改正案は、参議院での本会議審議入りから1か月以上を経て、質疑終局。参議院の自公民維の4会派が発議した修正案が委員会で議決されました。参議院の意思としての修正案が、衆議院に送られ、残り1カ月間で審議されることになりました。おそらく、参議院修正通りに、衆議院は可決し成立するとみられ、28年ぶりの、第一党衆参単独過半数の「2016年体制」で、二院制の存在感を示しました。

 日曜早朝に北朝鮮が高度2000キロを超える中長距離弾道ミサイルを発射。おそらく、米国グアムアンダーセン空軍基地も射程に入ったと思います。核弾頭の小型化は不明。アジアの二大政党政治のメッカ、インドに対する日印原子力協定は、核実験停止条項無しに承認・発効する見通しとなりました。

【参議院厚生労働委員会】

 「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議。先月7日(金)の本会議から長々と審議してきましたが、午後4時10分に質疑が終局しました。ここで、休憩になり、午後5時20分再開。自公民維による修正案が提出されました。その内容は「施行後3年後の見直し規定」を設けるもので、「措置入院者の退院後の権利を擁護する観点から、家族の支援の在り方などについて講じる」としました。

 原案と修正案の討論では、共産党の倉林明子さんが反対討論し、「審議の中で、措置入院者の自治体への情報提供は、警察にも情報を提供して、引っ越しても引き継がれることが明らかになった」と強調しました。また、倉林さんは「退院後の支援計画の作成は自治体の義務となったが、退院者が要らないと言っても作成される。退院者は従う義務がないが、支援計画の策定にあたって権利が侵されるかもしれない」と反対しました。希望の会の福島みずほさんも反対しました。

 この後、採決。共産党と希望の会が反対し、自民党、公明党、民進党、維新、無所属の薬師寺議員が賛成して、「修正議決すべし」と決まりました。次の本会議で修正可決し、衆議院に送付へ。附帯決議は18本付きました。衆議院の厚生労働委員には、白表紙の冊子に、参議院の修正部分のペーパーが挟まれた物が配られることになると思います。

 参議院自民党にとっても、平成元年以来28年ぶりの両院単独過半数の通常国会として埋没感がありますが、この一事で、参議院としての気迫を吐いたと言えるのではないでしょうか。もちろん、残り1カ月間のあいだに、なにかほかの策をもくろんでいるかもしれません。

【衆議院本会議 平成29年2017年5月16日(火)】

 「農工法、農村地域における工業等導入促進法改正案」(193閣法29号)が、民共反対、自公維賛成多数で可決し、参議院に送られました。私は先日、とある旧幕府直轄領で人口1000人で三千石を誇った農村に行きました。県庁最寄りの新幹線駅から電化複線で20分のところにありますが、新しい家がどんどん建っていましたが、近隣自治体に工場があるようでした。今次改正法案では、工場だけでなく、商業・サービス業に広げるとのことですが、あくまでも、利益率の高い工場をもっとがんばってつくらないと、農村の未来はありません。または、江戸時代のように米経済に戻しましょう、それもいいかもしれません。

 「通訳案内士法及び旅行業法を改正する法律案」(193閣法59号)は委員会で技術的に修正されました。採決では、自公などの賛成多数で、「修正すべし」として参に送りました

 「日印原子力協定の承認案」(193条約3号)。討論となり、民進党、共産党、維新が反対討論をしました。もともと外務委員をつとめる民進党の小熊慎司さんは「福島では、内閣不支持率が支持率を上回る」とし「会津武士の精神で、ならぬことはならぬ!」と語りました。ぜひ、会津を応援したいですが、ただ、白虎隊は忠義があったとして、それとは別に彰義隊が上野の山を燃やした時に、「この戦争はもうすぐ終わる」と達観していた福沢諭吉先生の精神で私は行きたいと思います。採決では、民共維反対、自公賛成多数で「承認すべし」とし、参に送りました。核最終戦争を描いた「風が吹くとき」という映画があり、あれはかなりキツイ映画ですが、自民党両院過半数の風が吹くとき、というのも見た目は何事もなく歴史が動いていきます。だから、歴史というのは風なのだな、と感じます。

 この後、「児童福祉法を改正して、児童相談所を家庭裁判所の連係を強める法案」(193閣法48号)が塩崎厚労相から趣旨説明されました。昨年の改正で、附則として検討する事項を、反映させた法案です。

【衆議院地方創生に関する特別委員会】

●特区法改正案を可決、民共反対も、岩盤規制からお友達特区への流れ、止められず。

 「特区法改正案」(193閣法54号)が質疑を終局。反対討論には民進党と共産党がたちました。ともに、「農業の外国人特区」と「保育所の年齢制限特区」を批判しました。この後、民共反対、自公賛成多数で可決すべしと決まりました。附帯決議は民進党議員が案文を朗読しました。

 私は特区を全否定しません。例えば今年4月1日からの千葉県成田医療特区で、昨年の東北薬科大学改め東北医科薬科大学に続き、この30年間で2つめの医学部が新設されました。ただ、先日、議員会館内でかなりの政策通の人と話していたのですが、私が「日本医師会のしめつけで医学部を新設できなかったから、成田特区に限ればよかった」と言うと、「医師会なんて、積極的に医学部をつくれ、と政府に圧力を懸けそうなものだけどね」。私が「いや、医師会は開業医の団体だから、医学部をつくらせないことで、需給を引き締めて、開業医やその子の地位を守ろうとして、勤務医が不足する事態になっているのではないか」という話をしました。あれだけの政策通でも「医師会は医学部をつくれ、と言ってきたんじゃないの」という意識だったようで、なかなか、特区の問題は深い。何よりも、東京駅の皇居側「丸の内地区」で、中川秀直議員の主導で小泉内閣が進めた容積率特区で、三菱財閥、経団連、JA全中、読売新聞社、日本経済新聞社、産経新聞社(サンケイビル)が高層ビルをつくって、テナントを入れているのですから、まあどうにもならないという世界です。そういうのに関係なく、大阪に高層ビルを建てた朝日新聞社が賃料収入で、持続可能で、自由な報道を長期間続けることに期待するしかないところです。あと、作ってしまった以上、読売、日経、産経の記者も政府批判しても、いまさら取り帰されることもないですから、のびのびやってほしいところです。

【衆議院総務委員会】

 「地方自治法の包括改正法案」(193閣法55号)の質疑がありました。この法案は第31次地方制度調査会(地制調)のとりまとめをうけた法改正案のようです。第31次地制調については、指定金融機関の第一人者である「三菱銀行」の前の頭取(元総務事務次官のテニス部の先輩)が会長になっているとして、私は強く批判してきたところです。(関連エントリー2014年6月30日付記事参照)

 小ぶりな今次改正案ですが、質疑によると、地方議会では、決算が多数決で否決されることが、その場合の、首長の報告義務が改正条項として盛り込まれているようです。全国1000地方自治体の中で、年数回程度、決算不認定がありますが、首長にとっては道義的な責任に過ぎず、法的責任は今後もないものだと思われます。

 次回は参考人質疑。なお、参考人として決定していた人物について、理事会(理事懇含む)での長時間の議論で人物がさし変わりました。まあ、あまり深く取材すると面倒になりそうなので、アッシには関わり合いのないことでござんすといったところです。

●参議院内閣委員会は開催されませんでした。参議院第1種常任委員会では唯一開かれませんでした。法案がありません。

【参議院文教科学委員会】

 一般質疑がありました。この後、

 「学校教育法を改正して専門職大学・専門職短期大学を創設する法案」(193閣法56号)が趣旨説明されました。松野博一大臣は、前夜、安倍晋三首相(清和会相談役)から「安倍派(細田派)四天王」に指名されました。法案について、大臣の説明は、「高等教育機関として、専門職の人の意見も入れながら、専門職大学の教育のやり方をつくる。卒業すると学位をえられるが、前期課程、後期課程に分けて、前期課程修了時にも、学位は得られる」とのことです。次回は参考人質疑。

【参議院総務委員会】

 「マイナンバー手直しの、地方公共団体情報システム機構法改正案」(193閣法45号)の審議。採決は共反対、自公民維希の賛成多数で可決しました。

 質疑では、内閣官房の向井治紀審議官らが答弁しました。

【参議院法務委員会】

●民法改正案の審議は続く。

 「民法債権編(債権法)改正案」(189閣法63号及び64号)。今国会での当ブログ内記事で、やや打ち出しが弱かったのですが、やはり、融資の第三者保証の公正証書化には反対です。法務省答弁のとおり、手数料が1万1000円でも、全額債務者負担になるだろうと考えます。私自身、人生初の請願を出そうと思いながら、もう衆議院を通過してしまったのですが、なんとか、ならないものでしょうか。

【参議院財政金融委員会】

●金商法改正案は、急きょ、商工中金社長(元経産次官)呼び出して審議し、全会一致で可決。

 連休明けでは初めての開会。連休前から引き続き、「金融商品取引法改正案」(193閣法37号)。賛成多数で可決しました。質疑には、商工中金社長の安達元経済産業事務次官や、総務省所管の日本郵政の取締役も呼ばれました。

【参議院外交防衛委員会】

 二国間租税協定5条約が承認されました。

 「日本スロバキア租税協定の承認案」(193条約15号)「ベルギー」(16号)「ラトビア」(17号)「オーストリア」(18号)「日本バハマ租税協定の改定議定書の承認案」(193条約19号)

 自民党・公明党・民進党・維新・沖縄の風は5条約とも賛成、共産党は条約19号のみ賛成して、すべて「承認すべし」と決まりました。

【参議院経済産業委員会】

●外為法可決、来年4月には施行か。

 「外為法及び外国貿易法改正案」(193閣法41号)が全会一致で可決しました。

 歴代公明党議員で唯一、「元防衛大臣政務官」の肩書きを持つ、石川博崇さんが質疑。「留学生の受け入れにあたって、考古学の放射性炭素の分析も機微技術として法規制の対象になる」ことを明らかにしました。

 この法律(案)は「公布の日から起算して1年以内の政令で定める日に施行」されますので、おそらく来年4月1日には施行されていると思います。日本に夢を持ってやってくる留学生の夢をくじかないために、工学部教授や、上述の考古学科教授らは、すぐに法律(案)の内容を理解してほしいところです。

【参議院国土交通委員会】

 「道路運送車両法改正案」(193閣法42号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院環境委員会】

 「絶滅の恐れのある動植物の、種の保存法改正案」(193閣法33号)が趣旨説明され、次回は参考人質疑をすることにして、散会しました。

【参議院農林水産委員会】

 一般質疑。民進党の櫻井充さんは「なぜ、政府の特区会議で、農業の話をしているのか」と問いました。

 この後、「土地改良法改正案」(193閣法28号)が審議入りしました。山本農相は、防災減災として、農業用のため池を国または地方公共団体が、農業者の負担を求めずに改良できる、と説明しました。この点は、民進党の玉木雄一郎幹事長代理が「内陸津波が起こる」と懸念して、かねてから主張してきました。一方、同じ民進党でも岡田克也常任顧問は、どのような理由であれ、私有財産への公金投入は慎重であるべきだとの持論を持ちながらも、必要な農業土木はある、と考えています。
 
 なお、減反を廃止する農業保険法案は衆参とも議題になっておらず、当初会期内での成立は無いように思います。

【衆議院法務委員会】

 「共謀罪法案」(193閣法64号=政府原案、自公維修正案)、「民進党別案」(193衆法17号)について、海渡雄一弁護士らから参考人質疑をして、散会しました。鈴木淳司委員長は「次回は公報で知らせる」としており、散会時での次回開催は未定でした。ただ、あすにも委員会採決される見通し。国会外反対運動はさして盛り上がっておらず、法案の成立は確実な情勢になりつつあります。

【衆議院環境委員会】

 「廃棄物処理法改正案」(193閣法62号)、「バーゼル法特定有害廃棄物輸出入規制法改正案」(193閣法63号)、「福島地方環境事務所の設置の承認案」(193承認2号)。山本公一環境大臣は「廃棄物の概念は、時代とともに変わるので、その時折の法改正は必要だ」と語りました。次回は19日(金)。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会】

 新任の鈴木俊一委員長が、参考人質疑を25日(木)9時に開きたいとして、了承を得ました。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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