ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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◎【小沢訪中団】「寧夏」にマイクロクレジット供与 援助外交の新しい形

2007年12月07日 05時04分13秒 | 第1回交流協議機構&長城計画訪中団

(写真は高山智司公式ブログ=寧夏回族自治区の郊外のようす)

【北京7日=下町の太陽】

 北京滞在2日目。きょう12月7日午後6時(日本時刻7時)、日本の新しい援助のかたちがスタートします。

 まずは写真を見てください。衆院議員の高山智司さんが訪れた中国北部の写真です。実地視察した高山さんによると、緯度が高く水がほとんどないので、耕作ができず、羊などの牧畜業が主要。若い人は子どもを連れて北京に出稼ぎに行っており、高齢化も深刻だといいます。

 ここは寧夏回族自治区というところです。“ネイカカイゾクジチク”って知ってました? 私は知らないどころか字も分かりませんでした。

 民主党(DPJ)が中国の国民に小口融資枠(マイクロ・クレジット)を供与することになり、釣魚台国賓館(迎賓館)で記念行事をきょう夕方実施。

 日本政府は、相手国政府に対して、具体的事案に関する政府開発援助(ODA)、円借款で援助をしてきました。
 民主党(DPJ)は自立支援基金というファンドを設けました。私ども一般団員も1万円ずつ出し、合計1000万円。

 この「1000万円基金」を中国共産党中央対外連絡部(中連部)を通じて、寧夏回族自治区人民政府に渡します。
 寧夏についてですが、「中国でも貧しいところ」という認識で良いのではないでしょうか。中国は頭で理解するには、あまりにも広すぎますからね。

 で、このファンドを「おタネ銭」にするわけです。
 羊を飼って生活する貧しい人にお金(money)を貸してくれる金融機関などありません。

 そこで、人民政府(省政府)に“銀行窓口”になってもらいます。

 貧しい人に無担保で融資枠(credit)を設けます。そして人民元で融資(金額は調整中)します。しかも無利子です。

 寧夏は平均年収3万円。視察した高山代議士によると、省都の銀川市には少しお金持ちもいるようですが、マンション1室が40万円で売り出されていたそうです。つまり、日本の感覚で考えるな!ということですよ。「円換算」「ドル換算」で理解する方がムリってもんです。

 寧夏の貧しさは深刻で、羊が草を食べて、砂漠化がどんどん進んでいる。だからといって、農業もできないし、羊を増やすにも種羊を飼うお金もない。無担保で融資を受ければ、才覚があれば、羊を増やせる。いや才覚なんてなくたってよほどだらしない人でない限りは無利子ですから返せます。

 融資額・融資期間に関しては調整中の部分がありますが、年に1回以上、中連部から民主党(DPJ)に定期報告が入ります。

 「マイクロ・クレジット」を政党が供与するというのはおそらく世界初でしょう。
 公職選挙法の寄付行為に抵触しないよう、「自立支援基金」という権利能力なき社団を設置。この基金をそのまま中国に渡します。

 政府開発援助(ODA)、円借款とはまったく違った援助外交です。

 ODAや円借款は政府を窓口に特定の事業に融資しますが、マイクロ・クレジットは政府を窓口に人民に融資するわけです。

 マイクロ・クレジット供与を企画した高山さんら若手議員たちは、中連部の報告などを活用しながら他国にも適用できるよう政策を練っていく考え。「政権マニフェストにも盛り込みたい」(高山さん)と意気軒昂です。

 マイクロ・クレジットはバングラデシュのムハマド・ユヌスさんがグラミン銀行をつくり、1口5ドルの融資枠を供与したのが始まりです。ユヌス総裁の活動は米国クリントン政権の支持も受け、2006年にはノーベル平和賞を受けました。

 これに先立ち、高村外相は1日、中国の楊外相に2007年度分の円借款6件、463億円の供与に署名し、円借款の新規供与はこれで打ち切ることを確認しました。

 中国は「先富政治」(豊かになれる人から豊かになる)で、かなり豊かになりました。

 2012年までにはGDPで日本を抜き、アジア一の経済大国になります。これからは貧富の格差をなくし、貧しい人も豊かになれる社会づくりが必要です。胡錦涛国家主席の提唱する「和偕社会」もそういう意味でしょう。

 その呼び水がマイクロ・クレジットであり、21世紀の援助であり、多くのアジアの仲間たちにとって最も必要とされる援助のかたちだと私は考えます。



塩池県高沙窩鎮余荘子村の住居(高山智司公式ブログ)

○マイクロ・クレジットの融資相手に女性が多い理由とは?

 ところで、ユヌス総裁にしろ、米国やフランスなどの篤志家の活動でも、マイクロ・クレジットの融資先は女性が多い傾向があります。

 なぜだと思いますか?

 理由のひとつは融資を管理するという仕事は女性に向いているという面もあります。
 最大の理由はユヌスさんが「ムハマド・ユヌス自伝」(猪熊弘子翻訳、早川書房刊)のなかで明かしています。


 例えば、6人家族でその日、5人分の食糧しかないとします。

 足りない1人分をどうするか?

 母が自分の分を我慢し、子どもたちに食べさせるのです。だから女性にこそ、「マイクロ・クレジット」が必要なのです。

 それがアジアの現実です。

 「豊かな国の貧しい政治」はそろそろ止めにしませんか?

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 最後にサイクロン直撃により甚大な被害をうけたバングラデシュ国民の皆様に哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げます。



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