宮崎信行の国会傍聴記

政権交代ある二大政党政治の実現をめざして。国民に開かれた衆議院と参議院を通じた報道をめざして。

[英国の事例]テリーザ・メイ首相(保守党党首)は2度目の試練? 今週金曜日(日本時刻)2017年総選挙投開票へ

2017年06月04日 21時58分13秒 | 英国の事例

 [英国の事例]のエントリーでは、「ロンドン時間(グリニッジ標準時)」「日本時間」「英紙タイムズに載った付け日」に関して、鈍感に書いていこうと考えます。記者、研究者の方は、ご自身でご確認ください。

 このエントリー記事で引用する写真は、すべて、英紙タイムズ(The Times)の(2017)年の紙面(学校法人早稲田大学所有)を個人的な研究用にカラーコピーしたものを、その一部だけ、筆者・宮崎信行がカメラで撮影したものです。

 テリーザ・メイ首相(保守党)の、就任わずか9か月(投票日基準)の抜き打ち解散となった、2017年総選挙2017年6月8日(木)施行=日本時間9日午前6時からBBC特番=。



 ここに来て、保守党が急失速していて、英紙タイムズは2017年5月31日付1面トップで、650議席(=過半数326)のうち、「保守党(現有330の過半数)が310、労働党(現有229)257、スコットランド民族独立党(現有)50」としています。「その他の6党」(現有33)は私の計算では同じく「33」となっています。調査会社は「ユーガブ」です。ですから保守党が過半数を割り、2年ぶりに連立を強いられないのではないかとの見立てです。

 さて、テロが相次いでいます。

 まず解散前。3月22日の刃傷沙汰は、トビアス・エルウッド議員(与党・保守党当選3回)の勇敢さもあり、おそらく世論の動揺は一定に収まったのだろうと思います。




 その後、2010年に内相、2016年に首相(保守党首)になった、メイさんが、4月18日(火)朝11時に官邸前で記者会見して解散を発表。動議を庶民院に提出。

 




 英紙タイムズも前日付はトランプ大統領が一面だったので、まるっきり抜き打ちだったらしく、自信満々のメイ首相を報じました。なお、「2017年総選挙」のワッペンがすでにできていたのは、日英問わず、新聞マスコミのご愛嬌。

 4月19日(水)、庶民院が2010年議会任期固定法にもとづく早期解散の動議を採決し「522対13」という圧倒的多数で可決。5月6日(土)解散。

 ところが、5月22日(月)に悲劇。マンチェスターでテロがありました。8歳の女の子も死亡したことは日本でも報じられましたが、英国内で、タイムズ紙は、1面トップに大々的な写真で悲劇を報じました。世論のショックはより大きかったんだろうと思います。ここで、2010年から2016年まで内相だった、メイ首相の責任を問う声が上がったようです。翌日は、諜報機関「MI6は知っていたのに防げなかった」との記事。内務省とMI6の関係を私は知りませんが、メイさんはいずれにせよ、首相ですから、無関係とは言えないでしょう。





 そして、もちろん写真はありませんが、ついにきょう、現地の2017年6月3日(土)夜には、ロンドン橋周辺でテロがあり、亡くなりました。

 テロの犠牲者とご遺族に哀悼の意を表します。

 ここから話が変わります。テリーザ・メイさんの「2度目の試練」とは。

 メイさんが初めて、英紙タイムズに載ったのは、1997年4月22日付の12ページのようです。タイトルは「保守党女性候補が投票日をまもなく迎える」という記事で、その冒頭に保守党新人のメイ候補(40歳)が、「保守党女性新人では数少ないテッパン(Safe Seat)だ」と報じられています。これは、いろいろな著作で指摘されているように、保守党は「かわいい子には旅を、させない」方式で、優秀と目される新人ほど、確実に議席を取れそうな金城湯池から出す。現首相(現党首)もまさに、たった20年前にそうやって、なんなく初当選をしたということです。

 ただ、「タイムズ・庶民院ガイド」の各版をみると、1997年総選挙で、メイさんは、メイデンヘッド選挙区で、先代の得票率61%から大きく落とします。メイさんの獲得票は2万5344票で、得票率は49%。労働党が18年ぶりに政権交代し、トニー・ブレア労働党首(影の首相)がリアル首相になります。すなわちメイさんは、思いのほか初当選と同時に野党議員になりました。

 その次の、2001年総選挙では、メイさんは覇気の無い顔写真で、1・9万票、45・0%とさらに成績を落としながら、2選。

 2005年総選挙では、2・3万票と盛り返し、50・8%。

 影の厚労相で迎えた、2010年総選挙では、3・1万票で、59・5%と圧勝。初めての与党議員として、わずか当選4回ながら、内相という、驚くべき高位で初入閣しました。

 2015年総選挙では、メイデンヘッド選挙区で、3・5万票、65・8%。当選5回。このときの、BBC特番は録画があるので、調べればわかりますが、いずれにせよ、開票特番開始1時間程度で、スタジオに登場して、政局をつくる側で、与党・保守党は連立解消で、単独での内閣をつくることになりました。メイ内相は続投。

 そして、2017年は、現役首相として、6選は間違いないですが、首相を続けられるかの窮地に立たされつつあります。ちなみに、保守党が330議席から、326議席未満(325議席以下)になっても、組閣の権利は、現役首相にあります。ただ、ジェレミー・コービン党首(影の首相)率いる労働党は、前回から、スコットランド民族独立党から、仮に勝った場合の連立をもちかけられていました。これは小選挙区の地盤が重なるため、労働党にとっては、弱り目に祟り目の提案となってしまい、影の蔵相、影の外相が落選するという、同国には珍しい事態となりました。

 ですから、保守党が300、労働党が250という「宙ぶらりん議会(ハングパーラメント)」になると、首相が組閣を断念した場合は、労働党・スコットランド独立党連立のコービン内閣ということもありうるわけです。投票日が近くなり、「コービン影の首相の原発政策は非現実的だ」という批判も出てきました。

 選挙ですから、まったく分かりません。

 私が言いたいのは、ただ一つ、メイさんをテッパン選挙区で育てた、保守党はすごい、下野したけど、その13年後に政権交代につなげる底力になっている。長々と書いてきましたが、それだけが言いたいのです。

このエントリー記事は、英国議会インターネット審議中継、英紙タイムズ、タイムズ社の庶民院議員ガイドブックを元にして作成しています。

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