【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

戦没者遺骨収集推進法案、初めて「国の責務」「10年間集中」衆・厚労委【再追記有】

2015年09月11日 11時26分17秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【再追記 2016年3月24日午後9時】

 戦没者遺骨収集推進法は、平成28年2016年3月24日の衆議院本会議で全会一致で可決し、成立しました。4月1日に施行されます。【再追記終わり】

【追記 2015年9月26日午後9時】

 戦没者遺骨収集推進法案は、参議院厚生労働委員会で継続調査となりました。法案には「平成27年10月1日施行」とありましたが、第190回国会以降に持ち越しとなりました。遅くとも、平成28年2016年6月ごろまでには成立するのではないか、と願っています。

【追記おわり】

 硫黄島、沖縄、本邦以外の抑留地での戦没者の遺骨収集を国の責務とする、「戦没者遺骨収集推進法案」(189衆法おそらく40号)が、平成27年2015年9月11日(金)の衆議院厚生労働委員会で、起草され、全会一致で可決しました。

 27日までの会期内に、衆参両院で可決、成立。10月1日に施行されるはこび。

 法案では、昭和27年1952年から始めた政府により遺骨収集で、127万柱が収集されたとしながらも、まだ多くのご遺骨が収拾されていない、と指摘。そのうえで、硫黄島など小笠原、沖縄、そして本邦以外の抑留地でのご遺骨収集を、「国の責務であることを明らかにし」、「総合的かつ計画的に実施するための基本方針の策定を義務付け」、「向こう10年間を集中収集期間と定める」としました。

 ◇

 硫黄島(東京都小笠原村)が昭和43年1968年6月26日に日本に戻ってから、遺骨収集を義務化する法律の制定はこれが初めて。

 衆議院厚生労働委員は、合計45名中28名が今週7日(月)に直接硫黄島を訪れ現地視察をしていました。

 これまでの現地調査では、現在の空港滑走路の地下を調べるべきだ、との意見が多く、国家プロジェクトとしての取り組みが期待されます。

 硫黄島の戦死者は2万人を超えますが、現在までの収集は1万柱未満。しかし、平成22年2010年に菅直人首相(民主党 代表=衆議院東京17区選出、元厚生大臣)が特命チームをつくり、アメリカ公文書館に派遣したところ、「敵の墓地」と書かれた米軍の硫黄島地図を発見。これにより、遺骨収集のペースが速まっていました。

 菅さんは平成22年2010年12月14日(火)に硫黄島を訪れ、自ら遺骨収集にあたりました。

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[画像]硫黄島を訪れた菅直人首相(民主党代表)、平成22年2010年12月14日(火)、政府インターネットTVからスクリーンショット。

[画像]硫黄島を訪れた菅直人首相(民主党代表)、平成22年2010年12月14日(火)、政府インターネットTVからスクリーンショット。

 太平洋戦争中、軍は硫黄島を「絶対国防圏」の死守のための要衝と位置付けました。米軍に陥落すると、主力爆撃機が無給油で日本列島を空爆して帰還できるとしました。

 16歳の海軍少年兵は「思えば遠し 故郷の空 ああ わが父母 いかにおはす」という歌詞の『故郷の空』という歌を口ずさんでいたそうです。(引用元『散るぞ悲しき』梯久美子著、新潮社から、新藤たか子さんのインタビューより)。

 米軍に特攻する「万歳攻撃」を現地司令官は禁じていたとされますが、やがて全滅の時が近づき、「国のため重きつとめを果たし得て 矢弾(やだま)尽き果て散るぞ悲しき」と打電しました。絶対国防圏が陥落したからか、それとも設定に見込み違いがあったのか、「散るぞ悲しき」との打電は皮肉にも、10万人が死亡した東京大空襲よりも1週間後の1945年3月16日でした。

 きょうの審議のなかで、共産党の赤嶺政賢さん(衆沖縄1区選出)は、「遺骨収集をすると、戦争の実態が分かる」として、期待を込めました。

 もちろん、遅きに失したのは言うまでもありません。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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