襤褸着て三界六道蔦紅葉
修羅なれば鬼とも棲まん紅葉山
(訂正)
修羅なれば鬼とも遊ぶ紅葉山
修羅なれば髪梳る秋小袖
暗室の闇より出でて秋の闇
生温き暗室に棲む秋の修羅
紅葉して修羅いまさらの修羅の貌
婆さまの背に青鬼や柿熟る
〇
抱きあげし吾子は銀杏臭き子よ
昨夜は先日の秋祭の反省会、とはいってもただの慰労会。商店会のブースの売り上げは昨年を大きく上回り皆上機嫌だったが、端 . . . 本文を読む
配達の途中、見つけた古書店で『木場ことば集』を買う。それを寝転んで読んでいるのだが、すこぶる面白い。その世界でしか通用しない「隠語」集で、知ったところで何の役にも立たないにもかかわらず、面白いのだ。隠語を通して、見知らぬ業界の裏側が見えてくるからかもしれない。
『木場ことば集』(非売品)
宮原省久・編著
昭和44年11月10日発行
東京材木市場株式会社
例えば、「四谷」については、こう記 . . . 本文を読む
落穂拾ふ吾が立ち位置はこの辺り
落穂拾ふけじめと言へる言葉あり
(訂正)
落穂拾ふけじめの所作の静かなる
落穂拾われ空からっぽの青となる
蓑虫の揺れて一刻失語症
散る柳に虚脱の佳人カフェテラス
. . . 本文を読む
必要があって地元の鳩ヶ谷市史を捲っていたところ、「俳句額」がいくつか現存することを知った。と言っても江戸期のものではなく明治期のものであるが、人数からしてかなり俳句熱(俳諧といったほうが正しいかもしれない)の盛り上りがあったことが伺える。句は典型的な「月並」で、宗匠の名も聞いたことがない地方宗匠だったらしいが、なんとなく親近感が沸いてきて嬉しくなった。
今もある地蔵院という寺へ奉納された額で、時期 . . . 本文を読む
今日は久しぶりの定休だったが、フラメンコ・サークルの立ち上げに忙殺されフイになった。公民館に集まったのは総勢8名。どう見ても五十の手習いといった面々だが、それでも意気軒昂。二時間のレッスンを何とかこなしたかに見えた。公民館の床の養生が条件だったので、床にコンパネを敷き詰めてテープで目張りをするなどはボクの役目。レッスン開始の前のストレッチで早くも根を上げる昔の乙女も出る始末ながら、なんとか終了。公 . . . 本文を読む
那須板室にて
大柿を齧りつ五右衛門風呂に居る
薄野を縫いて湯治場行のバス
湯治場のだらだら坂を薄まで
湯治場に昔自炊の割れ七輪
湯治宿の茶殻冷えゆく秋の水
湯治宿にひとりとなりて柿たわわ
湯治場の雑貨屋傾ぎはや炬燵
秋風鈴舌珍しや三鬼の句
秋の湯に痩せ脛伸ばす里人と
柿ひとつ盗るを野猿に見られけり
秋遍路吐き捨てて去る柿の種
湯治宿背で聞く裏は秋の水
. . . 本文を読む
「天為」を主宰する有馬朗人さんが、天為二百号記念の席上の公演で、先に紹介させてもらった堀井春一郎のことを忘れられない俳人のひとりとして話されているのに驚いた。さすが男女の修羅を詠んだ句には触れてはいないが、あの謹厳な有馬先生と交流があったこと、最初に評価してくれたのが春一郎であったことなど、初めての話であった。そしてボクの春一郎評価もそれほど見当違いでもなかったのだと、ちょっと嬉しくなった。引用さ . . . 本文を読む
金色(こんじき)の獣潜むや木犀の闇
木犀の闇に呪縛の童貞尼
禁色の僧坊暗し金木犀
金色の鼬這い来る木犀の夜
町会の長老死すらし
通夜帰り喪服の肩に金木犀
木犀に立止り去る靴の音
花もなく客もなく灯る木犀亭
吾が出自万年町と秋の酒 . . . 本文を読む
Kさんから葉書。一句あり。
老ひの杖止りしままに鰯雲
人工透析になるという医者の話がこたえたに違いない。昼休みにちょっと顔を出してみよう。
体調回復。これから店に出る。木曜日まで書き込みはできない。
. . . 本文を読む
小店にも来てくれました秋の蝶
風邪の子も明日は遊べやねんねして
小店には小店の意地も秋灯
夏場の疲れは今頃出てくるとか。とはいってもカミさんが眼鏡に薬の粉をつけながら懸命に投薬している姿を見れば、男として弱音は吐けない。
今日は若いお母さんに薬を届けたところ「夢みたい」と涙ぐんで感謝されたのである。病院で長時間待たされ、子供さんはぐったりだ。「届けてあげますから早く帰って寝かせてあげて . . . 本文を読む
印象に残った一節。自戒として。
・・・自選力をつけなさい。俳句のいちばんの欠点は先生に見てもらわないと俳句にならないと思ってること。そういう根性ではだめです。百人の人がだめだと言っても、この俳句は自分のために残さねばならんという俳句は残してええやないの。句集なんてそのためのもので、なにも褒めてもらった句だけを句集に入れるんじゃない。自分のために句集を出すわけです。ですけど、そういう説は、何故か世 . . . 本文を読む
蕎麦打てば関八州は秋の空
老兵も馬も花野に眠るべし
亡き人はみな佳き人よ夕すすき
番傘に桔梗屋の文字紅葉忌
傘借りて露ひと振りの秋時雨
いぼむしり姓はミイデラゴミムシオサムシ科
秋思してつひ洩らしけりいぼむしり
放屁虫ちよつと突ついただけなのに
放屁虫貴殿ほどのを放ちたし
放屁虫殻は王家の御楯かな
思秋期といふ唄昭和の女学生 . . . 本文を読む