譲二さんと毎日うふふ 妄想小説と乙女ゲーム

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



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決意~その1~その5

2014-12-27 08:05:36 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
クロフネで
ヒロインと暮らし始めて1ヶ月が経った

☆☆☆☆☆

決意~その1

〈譲二〉
美緒が俺の所に来てくれてから一ヶ月がたった。

楽しそうにクロフネを手伝ってくれて、精神状態も安定していた。

ところが、この2、3日、時々ぼんやり考え込んでいる事がある。

そんな時、「どうしたの?」と尋ねても、曖昧に笑って誤魔化されてしまう。

夜もひどく怯えたように抱いて欲しがる。

もしかして、もうハルのことが恋しくなってしまったのだろうか?

ハルのところへ帰りたいと言われるのが怖くて、美緒を問い詰めることができなかった。

ハルに最後にいわれた言葉が頭から離れない。

春樹『俺は美緒を諦める気はありませんから…。ジョージさんだって同じでしょう?』

春樹『だから、その時々に美緒がどちらを選ぶかというだけのことです』



☆☆☆☆☆

 そんなある朝、美緒が思い詰めたような顔で「ちょっと出かけたい」と言った。

譲二「どこへ?」

 何気無く尋ねたのだが、赤い顔をして答える。

美緒「ちょっと気になることがあって…。昼までには帰れると思うから…」

 どこに行くかは教えてもらえないまま、美緒は出かけて行った。

 訳がわからない。まさか、ハルを訪ねて行ったとか…。

 悶々としていたが、どうしようもない。




 昼になり、ランチのお客さんで忙しくしていると、青ざめた顔の美緒が帰ってきた。

譲二「お帰り…。どうしたの?」

美緒「ちょっと気分が悪いので、二階で休んでいてもいい?」

譲二「ああ、いいよ。大丈夫?」

美緒「疲れが出ただけだから、心配しないで…横になっていたら治るから…」

譲二「後でココアでも持って行ってあげるね」




 ひと段落して、客足が途絶えると急いで二階に上がった。

 美緒は自分の部屋ではなく、俺の部屋のベッドに横になっていた。

譲二「気分はどう?大丈夫?」

美緒「…譲二さん」

 美緒はいきなり抱きついてきた。

譲二「どうしたの?」

美緒「お願い…私を抱いて…」

 驚いた。

 俺と暮らすようになってからは、昼間から抱いて欲しがることなどなかったからだ。

譲二「体調が悪い訳じゃなかったの?」

美緒「うん。体調は悪くないよ」

譲二「悩みごとなら、俺にちゃんと話してよ」

美緒「…」

譲二「一緒に暮らし始めた頃に約束したじゃない。隠し事はしないって…。
もし、俺と暮らすのが嫌になって…ハルのところに戻りたくなったとしても、ちゃんと話してくれるって…。
ハルのところに戻りたくなったのじゃないの?」

美緒「そんなことないよ…」

譲二「ちょっ、美緒!」

 美緒の目から涙が溢れている。

 俺はしっかり抱きしめると、囁いた。

譲二「何があったの?教えて?」

美緒「…」

 チャイムが鳴り、客の入る気配がした。

 俺は後ろ髪を引かれながらも、「後で来るからね」と言って一階に降りた。


その2へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その2

〈譲二〉
 夕方、客足が途絶えると、今日はもう店を閉めることにした。

 ミルクティーとサンドイッチを作ると二階へあがる。

 美緒は昼間と同じように涙を流したままベッドに横たわっている。

譲二「お腹が空いたろ?」

美緒「…ううん」

譲二「朝から何も食べてないだろ?何か口に入れないと」

 美緒はミルクティーを一口飲み、サンドイッチを一口齧ると「もういい」と言った。

 美緒の額にそっとキスして、額と額をくっつける。

譲二「どうしたの?昼にも言ったけど、悩みごとは俺に全部話して?
俺には解決出来ないことでも、話すだけで随分楽になるよ。」

美緒「譲二さん…私を抱いて…。めちゃくちゃにして…」

譲二「本当にどうしたの?」

 ずっと昔にもこんな風に言われたことがあったな…と思い出した。

 美緒に優しくキスをした。

 美緒が求めてくるので、深いキスを何度も繰り返す。

 そして彼女を丹念に抱いた。

 俺に抱かれる間も美緒は静かに涙を流していた。

 彼女の涙を口づけて吸い取る。



譲二「ねえ、美緒。そろそろ俺にも訳を話して?」

美緒「…譲二さん…ごめんなさい…」

 そういうとまた涙をながす。

 俺は胸騒ぎを感じて言った。

譲二「一体どうしたの?」

美緒「ごめんなさい…私…妊娠してるの…」

譲二「え?!それは!」

美緒「6週だって…多分ハル君の子供だと思う…」

 美緒の言葉に衝撃を受けた。

 俺たちは一応避妊していたし、妊娠の週数からハルの子であるのはほぼ間違いがないだろう。



 泣きじゃくる美緒を抱きしめながら、俺は決心した。

 美緒もこの子も決して手放さない。

 法律上でもこの子はハルの子になるだろうが…それでも何としても美緒と2人で育てよう。

 俺の子では無いかもしれないが、美緒の子だ。

 美緒の子は大切に育てたい。

その3へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その3

〈譲二〉
 一週間後、産婦人科の診察に出かけた。

 前回の診察では胎児の心拍が確認できていないということで、一週間後に来なさいと言われたのだという。

 クロフネを臨時休業にして、俺も付き添う。

 美緒はひどく恐縮していたが、俺は1人でいかせたら、子供を下ろしてしまうのではないかとそちらを心配していた。

 妊娠が分かったことで美緒の精神状態はまた悪化していた。

 軽いつわりも始まり、かなり神経質になっていた。


☆☆☆☆☆

 美緒がついた産婦人科はまだ新しい病院だった。

 明るい待合室には可愛らしい絵やイラストが架けてあり、何人かの妊婦さんがいた。

 俺はなんだか場違いな気がして居心地が悪かった。

看護師「種村さん、どうぞお入りください」

 アナウンスを聞くと、「ああ美緒はやはりハルの妻なのだ」と現実を突きつけられた。

 美緒の主治医は40歳くらいの女医さんで、優しそうな人だった。

 診察室に通された後、美緒は隣の部屋に入り内診された。

医師「今7週です。順調に育ってますよ。心拍も確認できました」

 ディスプレイで俺にもエコー写真を見せてくれる。黒い空洞の中に蛹のようなものが見えた。

 診察室に戻って来た美緒は青ざめている。

美緒「下ろすとしたらいつまでに決断したらいいですか?」

譲二「!」

 女医さんはそれまでの柔和な表情を強ばらせた。

医師「22週以内です。しかし、一度下ろすと母体をかなり傷つけることになりますし、先のことを考えるとお勧めできません。
産めない事情でもおありですか?」

 最後の言葉は俺に向かって言われた。

譲二「いえ…そんなことはありません。
…それで、先生。少し教えて欲しいのですが、この子が受胎したのは正確にはいつ頃ですか?
 7週というのは7週間前なのですよね?」

医師「7週というのは奥さんの最終月経の日から数えたものです。ですから実際の着床は…」

 手元のカレンダーを見ながら、この辺りという日付を教えてくれた。

 それは美緒が俺のところへ来た頃だった。

(ということは俺の子という可能性も0ではないのか…)

医師「着床時期がそんなに重要ですか? 」

譲二「いえ、そういうわけでは…。ありがとうございました」

医師「心拍も確認できましたし、そろそろ母子手帳をもらっておいて下さい。
安定期にはいるまでは重いものを持ったり、激しい運動は避けて下さい。
タバコやアルコールも禁止です。詳しいことはここに書いてありますから、よく読んでくださいね。次の診察は…」

 帰りは二人とも会話が無かった。

 今、美緒は何を考えているのだろう。

 子供を下ろせるのはいつまでかと聞いた時には驚いた。クロフネに帰ったら、2人でよく話し合わないと…。



☆☆☆☆☆
 美緒と向かい合って話し合う。

譲二「出来た子を下ろすなんて考えなくていいからね。2人で育てよう…」

美緒「そんなことを言っても、ハル君の子供だし。
出生届けも出さないといけないし…。
そうしたらこの子の父親はハル君になるんだよ」

譲二「出産までには間があるし、それまでにハルと離婚できれば、実子ではなくても俺の養子にはできるだろ?」

美緒「ハル君が離婚を承知してくれるとは思えない」

 確かに、ハルは『美緒の夫であることをやめるつもりはない』と言っていたし、自分の子供が出来たとなればなおさら離婚してはくれないだろう。

 しかし、俺はそれでもハルに頼んでみるつもりだった。

 俺が身を引いて美緒がハルともとの鞘におさまるという選択肢もあったが、俺はそれを一顧だにしなかった。

譲二「ハルと話し合って、離婚を認めてくれるよう頼んでみるつもりだ…。」

美緒「そんなこと…」

譲二「やってみなければわからないだろ?」

美緒「でも」

譲二「俺はお腹の子ごと美緒を自分のものにしておきたい。
…それに…、先生に着床時期を聞いたけど、俺の子供だという可能性もわずかだけどあるんだ…。
そんな子を下ろさせるわけにはいかないよ」

美緒「譲二さん…ごめんなさい…」

譲二「美緒が謝ることなんか無いよ…。美緒が悪いわけじゃないんだから…」

 美緒をしっかりと抱きしめた。

 もう、決して美緒を手放したりはしない。決して…。


その4へつづく
☆☆☆☆☆

決意~その4

〈譲二〉
 夕方、意を決してハルに連絡を取った。

 8時過ぎなら、事務所で会ってくれるという。

 夜、美緒を1人にするのは気がかりだったが、何としてもハルと話をつけなければならない。

 少し早いが美緒をベッドに寝かせた。

美緒「遅くなりそうなの?」

譲二「わからない…。でも、しっかりハルと話し合ってくるから、心配しないで。
表の鍵は俺がかけて出るから誰か訪ねて来ても出なくていいよ。
店への電話も取らなくていいからね」

美緒「分かった」

譲二「ゆっくりお休み…」

 美緒の額にそっと口づけた。



☆☆☆☆☆

 ハルの事務所を訪ねるとハルは1人で待っていてくれた。

譲二「時間を取ってくれてありがとう」

春樹「今頃なんの用ですか?」

 俺は思い切って単刀直入に答えた。

譲二「実は…美緒が妊娠した」

春樹「え!! それはもしかして俺の子供なんですか?」

譲二「はっきりは分からないが、その可能性が高い…」

 ハルは少し考えて言った。

春樹「それなら…、美緒を俺のところに返してくれるんでしょうね?」

譲二「いや…。美緒も子供も俺が面倒を見たい」

春樹「そんな! 法律上も実質的にも俺の妻と子供なんですよ!」

譲二「それは…分かっている。それでも俺に譲って欲しい…美緒と離婚して欲しいんだ」

春樹「そんな虫のいい話、聞けるわけはないでしょう」

譲二「もちろん、勝手な話だとは分かっている」

春樹「それに、今更離婚しても子供は譲二さんの子供にはなりませんよ」

 ハルは冷たく言い放った。

譲二「それも分かっている。しかし、改めて美緒と結婚できれば、家族になることはできる」

春樹「そんなこと…。俺が許すと思っているんですか?」

譲二「俺たちだけなら、一生不倫のままでもでもいいと思っていた…。
しかし、子供が出来れば別だ…。生まれて来る子にはなんの罪も無い…。
その子には普通の家庭を用意してやりたい」

春樹「なら、譲二さんが諦めれば済むことじゃないですか?
 戸籍を汚すことも無く、俺たち親子3人で暮らすことができる」

 俺を見つめるハルの目には俺への憎しみが籠っていた。



☆☆☆☆☆

 話は結局平行線のままに終わった。

(美緒になんて話そう…)

 やはり…俺が身を引くしか無いのだろうか?

 しかし、今の美緒の精神状態は不安定なままだ…。

 俺と別れてハルのところへ帰らなければならないと思ったら、思い詰めて何をするかわからない。

 無茶をして流産しようとするかもしれない…。



 一抹の不安がよぎる。

 それとも…喜んでハルと元の鞘に収まるだろうか…?

 …とにかく、安定期に入るまでは美緒の気持ちを不安にさせることは避けなければ…。


☆☆☆☆☆

 寝室を覗くと美緒はすやすやと眠っていたので、俺はシャワーを浴びて来た。

 パジャマに着替え、美緒の横に潜り込むと美緒は眠たそうに俺にしがみついて来た。

美緒「譲二さん…お帰りなさい…」

譲二「ごめん…。起こしちゃった?」

美緒「ううん。よく寝たから大丈夫だよ…。ハル君はなんて言ってた?」

譲二「うん…。なかなか一筋縄ではいかなかったよ…」

美緒「そう…。やっぱり…」

譲二「でも、また日を改めてお願いしに行こうとは思ってる。きっと悪いようにはならないよ」

美緒「ごめんね。譲二さんばかりに辛いことをさせて…」

譲二「そんなことないよ。俺は美緒が側にいてくれるだけで嬉しいから…」

 俺は美緒の額にキスをした。

譲二「さあ、もうお休み。しばらくこうしてあげるから」

 美緒は大人しく俺にしがみついて目をつぶった。




☆☆☆☆☆

 美緒のつわりは日に日にひどくなった。

 量を食べられないばかりか、大抵のものが食べられなくなって、ゼリーのような口当たりのいいものか、小さく切った果物のようなものしか食べようとしない。

 お客がいない時はクロフネのソファーで休ませ、お客が入ると厨房に置いた椅子に座らせるようにした。

 極力1人にはしないようにして、美緒の気分が落ち込まないように気を配った。

 夜は俺に抱いて欲しがった。

 しかし、普通にセックスするわけにもいかないので、キスしたり抱きしめたりして過ごした。

 美緒はまたしても小さな子供のようになっていた。



☆☆☆☆☆

 春樹とはあの後も電話や事務所で話し合ったが平行線なのは変わらなかった。

 俺は慰謝料を払ってでも美緒を離婚させたいと思ったが、それを口に出すことはなかった。

 それを言えば春樹は返って意固地になるだろう…。

 ハルが欲しいのはお金ではなくて美緒なのだから…。


その5へつづく
☆☆☆☆☆

決意~その5

〈譲二〉
 美緒の衰弱が激しいので、次の検診日にも俺は付き添った。

美緒「ごめんね。私のためにクロフネをお休みにさせてばかりで…」

譲二「そんなことないよ。今は美緒の体の方が大事なんだから。
それにもう少ししたらつわりは終わるんだろ?」

美緒「だと思うんだけど…。」



☆☆☆☆☆

 胎児は順調に育っていたが、美緒の体重の減りがひどく貧血もあったので点滴を受けた。


医師「できれば、入院して一週間ほど安静にした方が安心なのですけどね…」

 しかし、美緒が俺と離れるのを不安がったので、入院はしないで済むように頼んだ。

譲二「家ではなるべく安静にさせますし、消化のよいものを少しずつでも食べさせますから…。
私は妻の側でいつもいることができる仕事なので、体調も気をつけてやることができます。」

医師「そうですか…。ご主人がいつも側にいらっしゃるのなら…まあ大丈夫でしょう。
つわりも今がピークでしょうから徐々に収まって来ると思います。
 戻しても少しはお腹に残りますから、気にせずに食べられるものを食べて下さいね。
脱水になるのが一番怖いですから、水分は必ず取って下さい。
お白湯にレモン汁を絞ったものを入れて飲むのもおすすめです。」

譲二「分かりました。水分の補給には気をつけるようにします」

医師「種村さん、優しいご主人でよかったですね」

 女医さんはにっこりと美緒に微笑んだ。




☆☆☆☆☆

 ネットでつわりの時の食事レシピを検索して、美緒のためのメニューを考えた。

 意外にもサンドイッチを欲しがったので、作ると少しずつだが食べられるようになった。
それでも、時々は戻していたみたいだ。

 美緒のことだけ考え、美緒のためだけに過ごす毎日。

 俺は生き生きと毎日を過ごしていた。
 


☆☆☆☆☆

 美緒のお腹はだんだん目立ってきた。

 2人で買い物に出かけた時など、傍目には幸せそうな夫婦にみえるだろう。

 夕食後2人でくつろいでいる時に美緒が声をあげた。

美緒「あ!」

譲二「どうしたの?」

美緒「今、お腹の赤ちゃんが動いたの。…あ、また」

 美緒は俺の右手を取るとお腹を触らせる。

美緒「ほら!」

譲二「…んー、なんかよくわからないな…」

美緒「もう少し触ってて、…ほら!」

譲二「あ!」

 今度は俺にもわかった。

譲二「本当だ。すごく元気なんだな」

 2人で顔を見合わせて微笑んだ。

 美緒が愛おしくなって、そっと抱きしめた。

 この頃、美緒は母性愛が目覚めて来たようで、とても穏やかな顔をしている。

 そして、妊娠してから以前にも増して美しくなった。

 肌のキメは細かく、つわりのせいでおもやつれした顔は少し上気している。

 お腹の子供ごと美緒を抱きしめながら、この子が俺の子なら言うことは無いのにと思う。

 ああ、こんなことになるなら…もっと以前に無理矢理ハルから奪っておけば良かった…。

 ハルと結婚してしまう前に…。

 後悔してもどうにもならないけど…。


その6へつづく


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吉恋のイラスト追加されてた

2014-12-26 19:51:35 | 恋カフェ

恋カフェで、吉祥寺恋色デイズのイラストが追加ってあったんで、喜んでイラスト交換しに行ったんだけどさ…。

イラストはハルくんといっちゃんと剛史くんと譲二さん。

前の3人は新しいイラストっていえなくもないんだけど。

譲二さんのは…。
(; ̄O ̄)



あきらかに何度目かの焼き直し。

いや、確かにこのイラストはなかなか出来が良くて、かっこい譲二さんだから、私も好きなやつなんだけどさ…。

確かに最近の変なイラストを持ってこられるよりはマシだけどさ…。

ブツブツ言いながらしっかり保存したのだった。
σ(^_^;)

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気になるひと

2014-12-23 08:02:51 | 年上の彼女

 男性が10歳上の恋愛がアリなら、女性が10歳上の恋愛というのもアリなんじゃないかと考えたのがこの話の発端です。

 女性の年齢ですが、「最後の恋、僕にください」のヒロインが34歳なので、敢えてアラフォーの女性にしてみました。

 そして、譲二さんルート以外の譲二さん(つまり彼女無し)で、年齢は35歳の時ということにしてみた。

 ということなんですが、この話を書いた後に『ひとつ屋根の下』でヒロインの母親、16歳上の女性と譲二さんを結びつけちゃったので、もう10歳上なんて年の差、大したことない…と思えるようになりました。

 そして、この話のヒロインにとって、譲二さんは10歳も年下の若い男性なんだけど、色気のある大人の男性で頼りがいも包容力もあるという、ものすごくおいしい男性になっちゃいました。


☆☆☆☆☆

 譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
 本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。


☆☆☆☆☆

気になるひと~その1

〈奈実〉
 もう恋など諦めて久しいのに、好きな人ができた。

 その人の名前は茶倉譲二さん。

 クロフネという喫茶店のマスターだ。

 年は34歳、私より10歳年下になる。




 譲二さんと初めて出会ったのは、異業種交流会でだった。

 同じグループで席が隣りになって、いろいろ話していたら、お互い歴史好きなことが分かって2人で盛り上がった。

 しかも、譲二さんと私では好きな時代に微妙な差があって、彼の話には私の知らないこともたくさんあって、とても楽しかった。

 その時、たまたま年齢の話になって、歳を誤魔化すのが嫌いな私は正直に自分の歳を言った。

 譲二さんはとても驚いたようだった。

譲二「え?そうなの?奈実さんは俺と同じくらいかと思ってた。」

 私は小柄で童顔だから歳より若く見えることはたしかだけど、流石に10歳も若く見えるなんてことはない。

 だからそれは彼の精一杯のお世辞なんだと受け取ることにした。

譲二「でも、それだと、タメ口じゃなくて敬語を使わないといけないかな?」

奈実「敬語なんか使ったら、話しかけられても返事しないから」

譲二「それは困るなぁ」

 譲二さんの笑った顔はまるで少年のようで、なんだか心惹かれた。

譲二「でも奈実さんは変わってるね」

奈実「どうして?」

譲二「だって、奈実さんは若く見えるんだから、サバをよんでも誰にも気づかれないでしょ?
大抵の女性はサバをよむか誤魔化して自分の歳なんか言わないよ」

奈実「だって。その時は誤魔化せても、学校時代の話や子供時代の話題を話したらすぐにばれちゃうでしょ?」

 譲二さんは感心したように微笑んだ。

奈実「それに歳をバラしてあったら、自分より若い人たちの中でいるとき、自虐ネタで話を盛り上げることが出来るもの」

譲二「あっ、それ、俺にはよく分かるかも。
うちの常連で10歳年下の奴らがいるんだけど、そいつらと話す時は口癖のようにオジサンて言ってしまうんだよね」

奈実「譲二さんと10歳違い?
譲二さんがオジサンなら私はおばあちゃんになるわね」

と、いつものノリで返したら、譲二さんはちょっと困ったような顔をした。

譲二「奈実さんはおばあちゃんなんかじゃないよ…」

 ともかく、その歳を誤魔化さなかったと言うのは、大きなポイントになったようだった。


 異業種交流会ではちょっと大きな記念行事があり、その企画をくじ運の悪かった私と譲二さんが担当することになった。

 イベントが終わるまで、私たちは毎週顔をあわすことになり、メアドも交換した。

 みんなからは凸凹コンビとからかわれた。

 そう、譲二さんは183cmもあるそうで、自称151cm(多分150cmには届かない)の私は絶えず上を向いて見上げないと、譲二さんの顔も見ることができない。

 とにかく、私たちはイベントを成功させるべく、2人で頑張った。

 クロフネにおじゃまして、打ち合わせしたり、メールでも頻繁に連絡をとった。

 何かと協力しているうちに、私たちは結構気が合うことに気づいた。

 譲二さんは私のことをどう思っているのだろうと思う。

 私が小柄なせいか、譲二さんはよく「奈実さんは可愛いね」と言ってくれる。

 でも、10歳も年上の女性のことを本気で好きになるとは思えないから、それは単にお世辞なのだろう。


その2へつづく

☆☆☆☆☆

気になるひと~その2
〈譲二〉
 異業種交流会で一人の女性と知りあった。

 初めて会ったとき、彼女は俺の隣りに座っていた。

 随分小さい可愛らしいひとだなぁというのが、第一印象だ。

 話してみると、実は俺と同じ歴史好きで、何だか気が合いそうだった。

 話し出すと止まらない俺の歴史ネタを楽しそうに聴いてくれる。

 しかも、それに対する質問が的確だ。

 彼女は明石奈実と名乗った。

奈実「そんなに歴史に詳しいなんて、譲二さんはいくつなの?」

 俺が34歳だと答えると、にっこり微笑んで「あら、じゃあ私の10歳下なのね」と言う。

 俺は驚いた。とてもそんな風には見えなかったから。


 可愛らしくて女らしい、それでいて気取らない彼女に俺は惹かれた。

 そして、幸運なことに俺と彼女は異業種交流会のイベントの企画担当にくじであたった。

 彼女とメアドも交換した。

 それから彼女と週に一度は会ってイベントの企画をし、メールも頻繁にやり取りした。

 俺より10歳上だと言ったが、そんなことは全く気にならないほど彼女と過ごす時間は楽しかった。

 そのうち打ち合わせ以外にもクロフネに訪ねて来てくれるようになった。

 彼女は俺のことをどう思っているのだろう?

 彼女は独身だとは言っていたが、恋人はいるのだろうか?

 あんなに魅力的な女性だから、きっと恋人はいるんだろうな…。



 夕方から奈実さんがクロフネに来ていた。

 いつものごとく彼女に上手くのせられて、俺は歴史の話を1人でしゃべっていた。

 にこにこと微笑む彼女があまりに可愛くて、見とれてしまう。

奈実「私の顔に何か付いてる?」

譲二「いや、奈実さんて、本当に可愛いなって思って」

 奈美さんはふふっと笑った。

奈実「譲二さんて、本当にお世辞がうまいよね。本気にしちゃう。
それで何人の女の人を泣かせて来たの?」

 からかうように俺を覗き込む瞳がキラキラと光った。

譲二「嫌だなぁ。俺は本当のことしか言ってないのに…。
それに俺はそんなにモテないよ。振られてばっかりだ」

奈実「うそ。譲二さんを振る女の人がいるなんて信じられない」

譲二「じゃあ、奈実さんは俺が好きだって告白したら、振ったりしない?」

奈実「え?」

 いつもなら適当にジョークで返す奈実さんが、大きな瞳を見開いて俺を見つめる。

 本心ではあるけれど、軽いノリで言った言葉をそんな風に返されて、俺はドギマギしてしまった。

譲二「…あのさ、失礼なことを聞いてもいい?」

奈実「何? 大抵のことは平気だよ」

 ああ、いつもの奈実さんに戻った。

譲二「奈実さんて…独身だって言ってたよね…」

奈実「そうだよ。だから一人暮らし」

譲二「でも、恋人はいるんでしょ?」

 突然、奈実さんは笑い出した。

譲二「え? 俺、そんなにおかしな質問した?」

奈実「ごめんなさい。譲二さんが急に改まってそんなことを聞くから…」

譲二「もう、そんなに笑わないでよ。
そんな風に誤魔化すってことは、やっぱりいるんだ」

奈実「いないよ、恋人なんて…。いない歴だって長いんだから」

譲二「本当に?」

奈実「本当だよ。恋人がいたらもっと見せびらかしてる」

 言いながら、なおも笑いこけている。

譲二「じゃあ、俺、エントリーしてみようかな…」

奈実さんは戸惑ったように、笑うのを止めた。

奈実「譲二さんて、たらしだよね」



その3へつづく

 

☆☆☆☆☆

気になるひと~その3
〈奈実〉
 私は輸入雑貨を無店舗でネット販売しているのだが、経営についての相談を時々譲二さんにするようになった。

 彼は単なる喫茶店のマスターかと思っていたら、実家はあの茶堂院グループということで驚いた。

 子供の頃からグループで重要な役割を担えるような英才教育をさせられていたそうで、今も時々実家の経営の手伝いをさせられているという。


奈実「それなのになんで喫茶店のマスターなんかやってるの?」

譲二「それも枕詞に『はやらない』がつくんだけどね」

譲二「先代の黒船のマスターが突然亡くなって、あの店を潰したくなかった俺が名乗りを上げたってわけ…」

奈実「でも、実家の方達はそれで納得されているの?」

譲二「納得はしてないでしょ?
でもまあ、跡継ぎは兄貴がいるし、俺は次男だから…。
いなけりゃいなくてもいいってところかな」

奈実「そうなんだ。でも、経営を手伝っているっていうのは?」

譲二「手伝うというか相談を受けてるっていうか…。
兄貴はなぜだか俺のアドバイスが欲しいらしい。
といっても無報酬で…。おかげでクロフネの経営だけだとカツカツなんだけどね」

奈実「それだと、いずれは実家の会社を手伝ったりするの?」

譲二「どうだろう。俺1人の食い扶持だけならクロフネで十分だし…。
家族の増えるあてもないしね」

 譲二さんは苦笑いした。

 『家族の増えるあてはない』という言葉を聞いて、とても喜んでいる私がいる。

 なにバカなことを考えているんだろう。

 譲二さんの家族のなり手に10歳も年上の女が名乗りを上げても、譲二さんが困惑するだけだろう。

 バカな考えを振り払おうと頭を振ると、面白そうに私を見つめる譲二さんと目が合った。

奈実「えっと、スケジュールに確かミスがあって、直さないと…」

 私は白々しく話題を変えた。


その4へつづく

 

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気になるひと~その4
〈譲二〉
 イベントが無事に終わった後、俺は思い切って奈実さんを食事に誘った。

 これからは2人で会う理由がなくなってしまうのが、寂しかった。

 奈実さんは少し驚いた顔をしたが、微笑んでOKしてくれた。

 夜景の見えるホテルの最上階のレストランでの食事。

 彼女との会話は楽しかった。

譲二「奈実さん、またこんな風に時々会ってくれる?」

奈実「え?私でいいの?もっと、若くてきれいな女性といた方が楽しいでしょ?」

譲二「奈実さんは若々しいし、きれいだよ…」

奈実「またまた、譲二さんはお世辞がうまいよね」

 俺の言葉ははぐらかされてしまう。

 そのうち、俺の誕生日の話題になった。

 来月、5月1日だと言うと、

奈実「それはぜひお祝いしましょう」

と言い出した。

奈実「だって、誕生日がくれば、譲二さんは私と9歳違いになるんだもの」

と嬉しそうに笑う。

奈実「私は早生まれだから、来年の私の誕生日までは9歳違いのままよ。
こんなめでたいことは無いわ」

 本気なのか冗談なのか…彼女はそう言って俺の顔を覗き込んだ。


『気になるひと』おわり


続きは『誕生日の夜』です。



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サンタのミニ譲二

2014-12-22 11:41:06 | イラスト

クリスマスイベントで何かお話を書こうと思いつつ、なかなか満足のいくお話は書けなかった。(´_`。)

ところで、ボルテージのゲームもクリスマスイベントをしてて、『特別捜査密着24時や今宵』、『妖しい口づけを』のミニサンタたちがすごく可愛い(≧▽≦)ので、例によって、私も譲二さんのミニサンタが欲しくなった。

で、時間もないし、先日のミニ譲二の下絵を流用して作っちゃった。(手抜き)

 

 

年末年始は予約投稿の記事ばかりになるので、ブログランキングから来られる方は記事の反映が遅くなると思います。

が、毎朝10時前にはUPされてると思うので、よかったら覗きに来てくださいね。

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帰港

2014-12-21 09:08:37 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
突然クロフネに現れた
ヒロイン。もうハルくんのところへは帰らないという。

☆☆☆☆☆

帰港~その1

〈譲二〉
美緒が俺の隣りで眠っている。

あまりの嬉しさに暗闇の中、本当にそこにいるのか、何度もさぐってしまう。

もちろん、美緒はまだ人妻のままだし、ハルは弁護士なのだから、法的な措置をとるなどして、何としても美緒を取り戻そうとしてくるだろう。

先はバラ色とはとても言えないのに、俺の心は湧き上がる喜びで満たされている。

あれから8年、いや9年か…。

美緒が俺の元を去ってから、彼女と一夜を過ごすことはなかった。

もちろんクロフネに戻ってからは彼女と逢瀬を重ねることはあったが、いつも慌ただしい別れが待っていた。

こんな風に美緒が俺の隣りで眠るなんてことはなかった。

あまりの嬉しさに今夜は眠れそうもない。

そして、俺の目からは温かい涙が、滲み出ている。

俺って情けない男だよなぁ。

でも今は、この喜びにただただ浸っていたい。


〈春樹〉
美緒が俺を捨てて、譲二さんの元へ行ってしまった…。

どうして…。

美緒が残した置き手紙をもう一度読み返した。


『大好きなハル君へ

ごめんなさい。本当にごめんなさい。

私がハル君を好きな気持ちは昔も今も変わりません。

それだけは信じてください。

でも、私の心の中にはもう一人の男性が住んでいます。

大学時代にハル君と再会して、ハル君の元へ走った時、私の心に迷いはありませんでした。

ハル君のことが大好きだったからです。

譲二さんのことも好きでしたが、ハル君への気持ちには叶わなかったからです。

今もその選択には間違いはなかったと思っています。

でも、私の心が不安になったり弱まった時、私の心は譲二さんを求めてしまうのです。

私の心が小さく小さく縮こまって、傷ついた動物のようになった時、船が港に帰るように譲二さんの元へ帰りたくなるのです。

一番大好きなのはハル君。私が色々世話をしてあげたいのもハル君。

でも、私が必要としていたのは譲二さんなのです。

そのことについ最近やっと気がついたのです。

我儘を言ってごめんなさい。たくさん傷つけてごめんなさい。

許してくださいとは言いません。

一生恨んでくれて構いません。

でも、私は譲二さんの元へ行きます。

ごめんなさい。
                              美緒』

何度読んでも納得できない。

俺たちが過ごして来た年月はなんだったんだ…。

俺たちが重ねてきた愛には何の意味もなかったのか?!美緒。



〈譲二〉
明け方、少しまどろんでいたようだ。朝の光で目を覚ます。

俺の傍らには愛する美緒が眠っている。確かめるように彼女の髪を優しく撫でた。

夢じゃなかった…。

また、身体の底から喜びが湧き上がってきた。

美緒「…う…うん」

美緒が可愛い声をあげて寝返りを打った。

俺は彼女を背中から抱きしめた。


☆☆☆☆☆

帰港~その2

〈譲二〉
 春樹がクロフネにやってきた。

 覚悟はしていたが、胸の動悸は止まらない。

春樹「譲二さん。美緒と2人だけにしてください。」

 美緒が少し不安げに俺を見た。

 俺は微笑んで少し頷いた。

譲二「俺がいたのではだめなのか?」

春樹「これは俺たち夫婦の問題なんです。譲二さんには関係ない」

譲二「分かった…。ただ美緒ちゃんを責めないで欲しい」

春樹「俺がそんなことをするわけないでしょう」

 そこまで言われては立ち去らないわけにはいかなかった。

 美緒を安心させるため微笑んだ。

譲二「俺は二階にいるから2人の話が終わったら呼んでくれ」



☆☆☆☆☆

 美緒が俺の部屋に来た。

美緒「ハル君が譲二さんと2人で話がしたいって…。私は自分の部屋にいるね」

 美緒の頬には薄っすらと涙の後があった。

俺はそんな美緒を抱きしめて額にキスをすると、階段を降りた。



 ハルがソファーに座ってぼんやりしていた。

譲二「コーヒーでも飲まないか?」

春樹「いいえ、いいです」

譲二「俺が飲みたいから付き合ってくれ」

春樹「それなら…」

 コーヒーをいれ、ハルと自分の前に置いた。

春樹「譲二さん。何て言って、美緒を誘惑したんですか?」

譲二「信じてもらえないかもしれないが、俺から誘惑したわけじゃない」

春樹「…」

譲二「二週間位前、急な仕事でハルが午前様になった日があったろ?」

春樹「どうしてそれを?」

譲二「夜の10時過ぎに美緒ちゃんから電話がかかって来た」

春樹「まさか…あの携帯には俺の番号しか入ってないのに…」

譲二「俺の携帯じゃなくクロフネの電話にかかって来た。
クロフネの番号は語呂合わせになっているから、そらで覚えていたんだろう」

春樹「その時に誘惑したんですか?」

譲二「誘惑なんかしていない。ハルの帰宅が遅くなるというだけで、パニックになってすすり泣いていた。
俺と話しているうちに落ち着いてきたから、もう休むように言っただけだ」

春樹「それだけで、どうして美緒が譲二さんのところに家出するんですか?」

譲二「俺にもわからない…。だが、考えられるとしたらそれしかないんだ。
美緒ちゃんと話してみて、かなり精神的に脆弱になっているなとは思った。
ハルと喧嘩したわけでもなく、ハルが遅くなるのもメールと電話で連絡をもらっていて、それであんなに取り乱していたから…」

春樹「俺が美緒を誰にも会わせないようにして閉じ込めたせいですか?」

譲二「そういうわけでもないと思う。ハルと結婚した直後から美緒ちゃんはかなり不安定だったから」

春樹「俺と結婚したせいとでも言いたいんですか?」

譲二「いや…。俺が美緒ちゃんを諦めきれなかったせいかもしれない。
もっと前にハルを好きな美緒ちゃんを俺が自分のものにしたからかも…」

春樹「…」

譲二「とにかく、俺とお前の間で美緒ちゃんの気持ちが揺れ続けたことで、美緒ちゃんの精神はかなりすり減ってしまったのかもしれない」

春樹「かもしれないばかりじゃないですか…」

譲二「そうだな…。でもとにかく美緒ちゃんは自分から俺のところに来た。
そして、俺のところにいたいと言った。今はかなり落ち着いている…。
そんな美緒ちゃんをハルに引き渡すわけにはいかない」

春樹「…美緒は俺にずっと謝ってました。
そして、手紙でも…さっきも…俺のことが一番好きだといいました」

譲二「…そうだろうな…」

春樹「そんな美緒を諦めることが出来るわけないじゃないですか。
なぜ一番好きな俺ではなく、譲二さんを選ぶんですか?」

譲二「俺にもよくわからない…」


 しばらく沈黙が続いた。


春樹「俺は…美緒の夫であることをやめるつもりはありませんから。
そして、不貞をした側の美緒からは離婚を請求することはできません」

譲二「美緒ちゃんはずっとハルの妻のままなんだな…」

春樹「そういうことになりますね」

譲二「それは…俺に対する復讐なの?」

春樹「そんな風にとってもらってもかまいません。
俺は美緒を諦める気はありませんから…。
譲二さんだって同じでしょう?」

譲二「…ああ」

春樹「だから、その時々に美緒がどちらを選ぶかというだけのことです」

譲二「…いつかまた俺を捨てて、ハルのところにいく日が来ると思ってるんだな…」

春樹「もちろんです」

 春樹は挑戦的な視線を投げると踵を返して出て行った。



☆☆☆☆☆

春樹が去った後、美緒を思い切り抱きしめた。

譲二「本当に俺でいいの?」

美緒「譲二さんでないとだめなの」

譲二「でも、美緒はずっとハルの妻のままなんだよ…。」

美緒「うん…」

譲二「だから…、俺たちの子供は欲しくても持つことができないんだよ…」

美緒「それでもいい…」

譲二「今は良くても、年取った時に寂しくなるよ」

美緒「譲二さんは嫌なの?」

譲二「俺は…、美緒がいてくれるなら子供を持てなくても構わない。
美緒が来てくれなくても一生結婚しないつもりだったし…」

美緒「それなら、私も大丈夫…」

譲二「美緒……もし年取って子供がいなくて寂しくて、誰かを恨みたくなったら…、俺を恨むんだよ」

美緒「譲二さん!」

譲二「一番初めに種をまいたのは俺なんだから…」



 何年も夢見て来た愛する人を両手で抱きしめるのはなんと甘美なことだろう。

 しかし、その甘さには一握りの苦みがまじっている。


帰港』おわり

続きは『決意』です。

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