譲二さんと毎日うふふ 妄想小説と乙女ゲーム

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

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焦がれる日々

2015-02-16 08:18:22 | ハル君ルートで茶倉譲二

今日はお客さんも早めにひけたので、いつもよりは早いが店じまいを始めた。


(今日も来なかったな…)


美緒と不倫の関係になってから、彼女が訪ねて来るのを心待ちにしている。

美緒がクロフネに来るのは月に二回程度、前回来てから10日は過ぎた…。


(そろそろ来てもいい頃なのに…)


そう考えて苦笑する。

美緒には「今度はおしゃべりしにおいで…」とか「こういうことはやめよう」とか偉そうなことをいいながら、本音では彼女を抱きたくてしょうがないんだから…。


(今度来たとき、「おしゃべりだけしに来た」って言われたらどうするんだ、俺)


美緒が愛しているのはハルなんだから…、俺の出る幕なんかないのにな…。

それでもいつか、俺のことを振り向いてくれる日が来るんじゃないかと小さな希望にすがってしまう。



だけど…。

美緒がクロフネに現れないのは、今彼女の心が落ち着いて平静だからだ。


(クロフネに…、俺の所に来る時は、美緒の心がバランスを欠いて苦しんでいる時なのだから、彼女が来ないということは、本当は喜ばしいことなんだ…。)


そう、言い聞かせながら、彼女が現れるのを願っている俺がいる。


いつか、彼女が心の平安を取り戻したら、ここへは来なくなる日が来るんだぞ…。


(そんなことわかってるさ! けど…。)



ああ、美緒の甘い唇に触れたい。


☆☆☆☆☆


終わったハルくんルートの譲二さんの話ですが、これはその番外編の小品です。

譲二さんて、いつもクロフネでみんなが来るのを待っているイメージ。

高校生編の時も、ヒロインたちが学校に行っている間はみんなの帰りを待っているだろうし…。

特に続編後にヒロインが大学を卒業して吉祥寺に帰ってくるまでは、みんなが時々帰ってくるのをクロフネで待っていたと思うんだよね。


そのクロフネで一人で待ってるシーンの話を書きたいなと思いつつ、まだまとまった話はできてません。

クロフネで待つ譲二さんの話、色々と書いてみたいな。

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譲二さんの子供たちとか

2015-01-27 08:22:16 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんはとても長いお話になったので、思い入れも強いです。


それで、彼らの子供たちのことなんかも妄想してみた。


長男 譲(ゆずる) 小学校5年11歳

容姿は譲二さんによく似ている。


少し気が弱い、自分の出生の経緯を知れば色々と気に病みそうな性格。


両親やみんなからユズと呼ばれている。


弟のコウからも「ユズ」と呼び捨てされているのを少し気に病んでいる。


母の誕生日や母の日にはプレゼントを忘れない優しい性格。



次男 紅(こう)小学校3年9歳

容姿はやはり譲二さんによく似ているが、髪の色は母親似で赤毛。


わんぱく小僧。


みんなが兄のことを「ユズ」と呼んでいるので、いつの間にか「お兄ちゃん」ではなく「ユズ」と呼び捨てにするようになった。


譲二さんの兄の紅一さんから一字もらい、「紅(こう)」という名前になった。

みんなから「コウ」と呼ばれている。


兄のユズとは2歳違いだが成長がよく、ほぼ同じくらいの体格。

最近は兄を抜きつつある。


2人兄弟だが末っ子でもあるので、甘やかされている。

愛情を自分が受けるのは当然だと自然に思っている。


母親のことは大好きだが、母へのプレゼントまでは思いいたらない。


2人ともよく似ているので、知らない人からは双子ちゃんと間違われたりする。


譲二さんの兄の紅一さんには大学生と高校生の男の子がいるが、年が離れた妹が生まれている。


その妹はユズとコウの従姉妹になるが、小学校4年生で10歳。

その従姉妹を2人で取り合ってという展開。

 

なんか勝手に妄想だけ膨らむ。


需要は無いと思うので、お話は作りませんが…。^^;

 

 

今日はお話でなくて、ごめんなさい。

一日休んだら、明日からはまたお話をupします。

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ハル~その5~その7

2015-01-24 08:32:59 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルくんルートの譲二さんの話も大詰め、一気にいくよ~(^O^)/


ヒロインは男の子を出産し、譲(ゆずる)と名付けられた。

 

それから1年が過ぎた。

 
☆☆☆☆☆

ハル~その5

〈譲二〉


 親子3人で夕方から福の湯に出かけた。

 うちの風呂は狭いので、時々出かける福の湯をユズは気に入っている。

 内風呂では美緒が入れたり、俺が入れたり色々だが、福の湯では男同士で入ることになっている。

譲二「さ、ユズ、ママにバイバイだよ」

ユズは美緒に手を伸ばす。

ユズ「マンマ」

美緒「ユズ、また後でね」

 ユズは少し抗議の声をあげたが、福の湯の雰囲気が大好きなので、すぐに脱衣場に向かった。
もうよちよちとは歩けるようになっている。

譲二「ユズ、そんなに急ぐと転ぶぞ!」

あい子「ユズ君、しっかりしてきたなぁ。それにますますパパに似て来て」

照れくさくて、俺は頭を掻いた。

譲二「そうですかね」

あい子「ホント、よう似てるで…。ああ、そうや。今日は剛史が戻って来てるさかい、後で降りて来るよう言うとくな」

譲二「あ、すみません」



 浴場の戸を開けると、リュウが洗い場に座っていた。



ユズ「るう!」



 ユズはめざとくリュウを見つけると、ヨチヨチと歩き出した。



譲二「ユズ! 転ぶぞ!」

竜蔵「おお、ユズ! 今日も俺と入るか?」



リュウは満面の笑みでユズを抱き上げる。



譲二「なんでまだ『パパ』は言えないのに、リュウの名前は言えるんだ…」

竜蔵「そりゃユズはジョージより俺の方が好きだからな」



 いつもながらショックだ…。

 福の湯に来ると3回に1回はリュウがいるので、今日のようにユズはリュウに体を洗ってもらう。

 リュウに抱かれで湯船につかり、気持ち良さそうなユズを眺めながら複雑な気分だ。



譲二「ユズ…、パパと一緒に入ろうよ…」



 ユズはにっこり微笑んでくれた。

 小さな手を伸ばして、やっと俺の方に抱かれに来る。


その6へつづく


☆☆☆☆☆

ハル~その6

〈譲二〉

 今日は井の頭公園に親子3人で散歩に来た。

 歩けるようになったユズは盛んにベビーカーから降りたがる。


譲二「まてよ、ユズ。今、靴を履かしてやるからな」


靴を履かせ、ベビーカーから下ろして、ベビーカーを畳んでいると、ユズは俺に肩車をして貰いたがる。


美緒「ユズはパパが大好きだね」


ユズは俺のズボンを盛んに引っ張っている。


譲二「わかった! わかった、ユズ。よいしょっと。これでいいか?」


 ユズは俺の頭を持って髪をぐしゃぐしゃにした。

 美緒がクスクス笑っている。


譲二「えー? そんなに笑うほど髪が変になった?」

美緒「ううん。髪の毛は乱れちゃったけど、それで笑ったわけじゃなくて…。昔もこんなことがあったなぁって…」

譲二「昔?」

美緒「ほら、迷子の男の子を肩車して、髪がぐしゃぐしゃになったこと」

譲二「ああ、一緒に一輪挿しを買いに行って、ペアのマグカップも買った時のことか」

美緒「そう」

譲二「あの後、俺がじーじだって美緒にバレたんだよね」


美緒は遠い目をして言った。

美緒「…あの時、譲二さんとパパとママになって、子供を肩車した譲二さんと一緒に歩けたらいいなぁって思ったんだ…」

譲二「あの時、そんな風に思っていてくれてたんだ…。
…奇遇だね。俺もあの時、美緒とパパとママになれたらなぁって思ってた」


美緒が愛しい目をして俺に微笑んだ。


美緒「二人とも夢が叶ったね」

譲二「ああ、随分長い時間がかかったけどね」


美緒とみつめあう。

 

優しい風が美緒の乱れ髪を撫でて行く。


あれからもう10年以上の年月が経った…。

こうして…親子3人で過ごせる幸せを、今は噛み締めている。

 


 

その7につづく

 


 

☆☆☆☆☆

 


なんと…伏線まで回収してしまった。^^;


☆☆☆☆☆

ハル~その7

〈譲二〉

 今夜もハルと酒を飲んでいる。

 美緒は始めはお相伴していたが、ユズを寝かしつけるために直ぐに二階に上がった。


譲二「俺はお前らより10歳年上だから、くたばるのも早いだろうな…」

春樹「どうしたんです。突然」

譲二「10年前はお前らにオジサン扱いされて、今は大人の男同士だけど…、後10年、20年経ったら俺から先に老いぼれていくんだろうなと思ってさ」

春樹「譲二さんはさっさとくたばってくれていいですよ。そうなったら、美緒とユズは俺が面倒見ますから」

ハルが不敵に笑って言う。

譲二「勘弁してくれよ。冗談に聞こえない」

春樹「冗談じゃなくて、本気ですから」

譲二「ハハ…だろうな」

春樹「だから…譲二さんはそう簡単にはくたばれないはずですよ」

 ハルは寂しそうに笑った。

 そう、美緒とユズを守るためにはそう簡単にくたばるわけにはいかない。

 しかし、と思う。

もしそうなった時、美緒とユズを託すとしたら…。

こいつなら…ハルになら託せる気がする。

譲二「ハル…」

春樹「なんですか?」

譲二「この先、もし俺がくたばるようなことがあったら…。美緒とユズのことを頼む」

俺は頭を下げた。

春樹「何を言い出すんですか。本当に本気にしますよ」

譲二「もちろん、俺が元気な間はお前なんかに渡す気はない…。
でも、俺がくたばって美緒とユズ2人だけになったとしたら…。
俺はお前になら2人のことを託せる気がするんだ。
美緒の幼なじみは一護やリュウやタケにりっちゃんもいるけど、2人を託せるのはお前しかいない」

春樹「譲二さん…酔ってますね…」

譲二「ああ、酔ってるよ…。しらふでこんなことライバルのお前に言えるもんか」

春樹「…」

譲二「今だって、いつお前に横取りされるかびくびくしているというのに…」

春樹「じゃあ、なんでそんなこと言うんです」

譲二「俺に何かあったときの…保険かな?」

春樹「それじゃあ、ちゃんと美緒に書き残しておいて下さいね。信じてもらえないと困りますから」

譲二「遺言を作るなら手伝ってくれるか?」

春樹「そういうことなら喜んで手伝いますよ」

譲二「それも本気なんだろうな?」

春樹「もちろんです」

 俺は苦笑いして酒を口に運んだ。

美緒「二人とも!勝手なこと言わないで!」

 突然、美緒の声がした。

 今日はユズを寝かしつけても、眠ってしまわなかったようだ。

譲二「起きてたの?」

 美緒はその質問には答えなかった。

美緒「私は物じゃないんだから、そんなに簡単にあっちやこっちには行けないよ」

譲二「ごめん」

春樹「美緒、酒の上での戯言だよ」

美緒「いくらお酒の席だからって、言っていいこと悪いことがあるよ。
そうでなくても…、この頃譲二さんは、前にくらべたら体力が落ちて来ていて、色々心配しているのに…」

譲二「本当にごめん。俺はそうそう簡単にくたばったりしないから…」


 ハルがいなければ、しっかり抱きしめて、『俺は大丈夫だよ』と美緒に言ってやりたかった。

春樹「さてと…。そろそろ俺は帰るかな」

譲二「うん? まだ、いいだろう? まだまだ、宵の口だぞ」

春樹「うーん。だけど、明日があるしね。また、休みの前の日に来ます」


 ハルはそのまま帰っていった。

 後ろ姿は寂しそうだった。


 俺は美緒をしっかりと抱きしめた。

譲二「こんな可愛い嫁さんと子供がいるんだから…。俺はちゃんと長生きするよ。だから心配しないで…」

美緒「本当に…。約束だよ。絶対にずっとずっと一緒にいてね」

譲二「ああ」

 人の寿命というものは、人の力ではどうにも出来ない物かもしれないが…、家族を守るために俺は簡単にはくたばったりしない。

そう心に誓った。


ハル』おわり

 


☆☆☆☆☆


 昼メロ話が最後には男同士の友情の話になっちゃいました。

 こういう話の流れだと譲二さんに死亡フラグが立ってたりしてますが…。

 譲二さんが事故か何かで死んで、ヒロインはハル君の愛を受け入れるのか、譲二さんへの操を立てるのかというような話も書けないことは無いのですが…。

 譲二さんがいない世界など、私自身が耐えられないので、その話は書かないです。

 だからこのルートの話はこれで終わりかな。

 長い間、お付き合いくださったみなさん。ありがとうございました。

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ハル~その1~その4

2015-01-20 08:42:09 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルくんルートの譲二さんの話も大詰め、一気にいくよ~(^O^)/


ハルくんから離婚届が送られて来て、ヒロインは自由の身に…。

出産も近づき、クロフネで二人だけの静かな時を過ごしている。
☆☆☆☆☆

ハル~その1

〈譲二〉

ハルから電話がかかって来た。

少し時間を取れないかという。

美緒が不安がるので、夜間に家を留守にはしたくない。

昼間の時間帯でもいいかと聞くと構わないというので、翌日の2時頃にハルの事務所を尋ねることにした。

☆☆☆☆☆

奥の応接室に通される。

事務員さんがお茶を出してくれた。

事務員さんが出て行くとハルと2人になった。

譲二「先日は離婚届をありがとう。こちらの我がままで申し訳なかった」

春樹「お礼を言われる筋合いはありません。美緒が俺を好きではないという以上、名目だけの結婚を継続する意味はないですから」

 相変わらず、取りつく島もない対応だ。ま、仕方が無いが…。

譲二「それで…。俺に話というのは?」

春樹「譲二さん…。美緒のお腹の子のことですが、もし俺の子だということがわかっても大切に育ててくれますか?」

譲二「もちろんだ。そのために美緒と結婚して育てていこうと思ったんだから。それにたぶんお前の子の可能性の方が高い…」

春樹「それを聞いて、安心しました。自分の子かも知れない子が不幸になるのは見たくないですからね。」

譲二「話というのは…それだけ?」

春樹「いえ、ここからが本題です。美緒とはいつ結婚するつもりですか?」

譲二「女性は離婚後6ヶ月は結婚できないだろう?」

春樹「通常の場合でしたらね」

譲二「通常の場合…?」

春樹「これは民法733条第1項によるもので、離婚後に生まれて来る子がどちらの父親の子か不明になるのを防ぐための規定です。
同じ民法733条の第2項には『女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。』とあります。」

譲二「というと?」

春樹「つまり、美緒は俺と離婚前に妊娠していたので、法律上お腹の子は俺の子と推定されます」

譲二「…ああ」

春樹「だから父親が不明になることはないので、6ヶ月の再婚禁止期間を置くこと無く、子供の出産と同時に結婚することができるということです」

譲二「そうなのか?」

春樹「ただし、生まれた子は出生の届け出と同時に俺の籍に入ります」

譲二「そうか」

 俺は少し落胆した。やはりそれはどうしようもないのか…。

春樹「子供が生まれたら…、俺は嫡出否認の訴えをおこそうと思っています」

譲二「それは?」

春樹「さっきも言ったように子供は自動的に俺の籍に入るので、譲二さんが自分の子として認知するためには、俺の嫡出子ではないということにしないといけないわけです」

譲二「そうなんだ」

春樹「ただ、あくまでも訴えなので、家裁で調停をしてということになります。」

譲二「長くかかるの?」

春樹「ようは話し合いですから、そんなに長くはかからないでしょう。
それが認められれば、俺の戸籍からは子供の名前が消されますし、その後は譲二さんたちの好きなように認知するなり、養子にするなりしてください。
それは弁護士に相談してください。ただし、俺に相談するのはやめてください」

譲二「わかった。ありがとう」

春樹「話はそれだけです」

譲二「ハル、俺たちはハルにひどいことをしたのに、ありがとう」

春樹「譲二さんのためではないです。美緒が少しでも苦しまずにすむならとアドバイスをしただけですから」

譲二「ああ。それと…ハル、本当にすまなかった」

 俺は頭を深々と下げた。

春樹「今更譲二さんに謝ってもらっても仕方が無いです。美緒は帰って来ないんですから」

譲二「今のことだけじゃない。俺が謝らなければならないのは、ずっと昔のことだ。
ハルと好きあっていた美緒を無理やりに自分のものにしてしまった。
それに、美緒が不審者に襲われた時はハルに助けてもらったのに、そのお礼も言ってなかった」

春樹「美緒を助けたのは俺が助けたかったからで、譲二さんにお礼を言われる筋合いはないです。
そして…、譲二さんが美緒を恋人にしたことは、俺に謝る必要なんか無いでしょう? 
あの時、俺と美緒は恋人でもなんでもなかったんですから…。
むしろ、恋人同士だった譲二さんから俺は美緒を奪ったわけで、俺の方が謝るべきなんでしょう。
ただ、今の俺はとても譲二さんに謝る気にはなれませんが…」

譲二「ハルは…謝る必要なんかないよ…。
俺が告白なんかしなければ、お前たちはすんなり恋人になっていたはずなんだから…。
でも、もう一度あの時に戻っても俺は同じことをするだろうと思う。
美緒だけは…誰にも譲れないんだ…。すまない」

春樹がため息をついた。

春樹「もう一度戻れるなら、俺も初めの時点で譲二さんから美緒を奪っています」

俺はもう一度頭を下げた。

譲二「本当にすまなかった…」


 俺には今のハルの気持ちが痛いほどわかった。

というより、今のハルが苦しんでいるそのままの気持ちと俺は9年間過ごして来たのだ。

そして、今のハルも昔の俺の気持ちを理解してくれているのだということが、わかった。

 以前は俺を見る目にいつも憎しみが籠っていたのに、今のハルの視線からそれは無くなり、ただ哀れむような悲しみだけを感じた。

 俺たちは美緒を中に挟んだライバルだが、同志でもあった。


その2へつづく


☆☆☆☆☆

ハル~その2

〈譲二〉

 40週をまたず、39週で無事に男の子が生まれた。

3,050g、特に異常もなく、初産にしては安産だった。

 美緒は何時間も続いた陣痛で疲れていたが、俺の顔を見るとニッコリ微笑んだ。

美緒「赤ちゃんには会った?」

譲二「いや、まだだよ。お疲れさま。頑張ったね」

美緒「男の子だったよ」

譲二「うん。譲(ゆずる)だね」

美緒「看護師さんが産湯で奇麗にして見せてくれたんだけど、譲二さんにそっくりだったよ!やっぱり譲二さんの子だと思った」

譲二「…そうなんだ」

 赤ん坊の顔をみて、そんなにすぐにわかるものなんだろうか?

 その時看護師さんが譲を連れて来た。

看護師「お腹が空いてるみたいなのよ。お白湯じゃ満足できないみたいだから…。おっぱいをあげてみましょうね」

 譲は新生児にしては黒々とした髪を持っていた。

 目はつぶったままで、顔はシワシワで小猿のようだ。

 美緒がいうように俺にそっくりかどうかはよくわからない。

 看護師さんに補助されながら、譲を抱いて美緒はぎこちなく乳を含ませている。

 親子とも新米でなかなか上手くはいかないようだ。


☆☆☆☆☆

 


 新生児室の窓から見えるようにベッドが置かれ、赤ん坊たちが並んでいる。

 譲はさっきのおっぱいとの格闘で疲れたのかスヤスヤと眠っている。

 美緒が言うには目と鼻の辺りが俺似だというのだが…。

(そう言えば…まだ譲の目は見ていないな)

 もう一度、譲を覗き込んで美緒の病室に行った。


美緒「譲二さん」

譲二「お疲れ様。譲の出生届けを出して来たよ…。俺たちの婚姻届も…」

美緒「ありがとう」

譲二「だからね。俺たちの結婚記念日は譲の誕生日と同じ日なんだ」

美緒「なんだか…嬉しい」

譲二「絶対に忘れない日だね」

美緒「でも、譲はまだ種村譲なんだね」

譲二「ああ。でも、ハルにも連絡したから、ハルは『嫡出否認の訴え』というのをしてくれると思う。調停して認められれば、俺が譲を認知するから…」

美緒「うん」

譲二「もう少しだよ…。もう少しで親子3人一緒になれるから…」

 
 そっと美緒を抱きしめた。

 
譲二「そうだ、前に言っていた美緒の『賭け』というのをそろそろ教えてくれる?」

 美緒はにっこり笑った。

 

譲二「もしかして…、賭けには勝ったの?」

美緒「そうだよ。あのね、生まれて来る子が男の子なら譲二さんの子で、生まれて来る子が女の子ならハル君の子という賭けだったの」

 

 美緒は嬉しそうだが、俺は絶句した。


…それで、譲は俺にそっくりだなんて言っていたのか…。

 
美緒「だから、譲は譲二さんの子供なんだよ」

 

美緒はキラキラした瞳で俺を見つめた。

 


その3へつづく


☆☆☆☆☆

ハル~その3

〈譲二〉

 あれから1年が経った。

 今日、譲(ゆずる)……ユズは1歳の誕生日を迎えた。

 今日は俺と美緒の結婚記念日でもある。

 あの後、調停ではDNA鑑定をすることになり、冷や汗をかいた。

が、結局ユズは俺の子供だった。

美緒の賭けは本当に勝ったのだった。


 ユズをベビーカーに乗せて3人で散歩しているときなど、知らない中年女性から「僕は本当にパパそっくりね」などと声をかけられることがよくある。

 俺は半信半疑だったが、自分の小さい頃のアルバムの写真と比べてみると、確かにユズは俺とよく似ていると認めざるを得なかった。



 出産後、医者からの許しもあって、夜の生活をするようになったが、以前と同じという訳にはいかなかった。

 ユズは夜中にしょっちゅう泣くし、俺たちがいい感じになっている時にユズに邪魔されることもしばしばだった。

 美緒が一番好きな男が『俺』という期間は本当に短かった。

今は強力なライバルの出現に戸惑いつつも幸せを感じている。


 ユズはつかまり立ちで立ちたがり、2本の足でしっかり立つことも増えたから、歩き出すのも間もなくのことだろう。

 


 

☆☆☆☆☆

 


 今日はクロフネを昼までで閉めて、3人のお祝いの準備をしている。

 一護からはユズの誕生日のケーキが届けられた。

『ユズくん、一歳のおたんじょうびおめでとう』の文字が書かれている。


美緒「あれ、結婚記念日のプレートも頼んだんだけど…」


美緒はケーキの箱を覗き込んで探している。


譲二「一護はそんなことを認めたくないから、わざと忘れたんだろう」


俺は苦笑した。

 

美緒「そんなー。あんなに確認したのに…」

譲二「プレートなんかどうでもいいよ…。それより、俺はこっちの方が…」

 


 美緒を抱き寄せてキスをする。

 

深くて長いキスに、ユズから抗議の声があがった。

 

その4へつづく

☆☆☆☆☆

ヒロインは男の子を出産し、譲(ゆずる)と名付けられた。

 

それから1年。

 

今日はユズの誕生日で、二人の結婚記念日。

 


☆☆☆☆☆

ハル~その4

〈譲二〉

 
 料理を並べていると、チャイムが鳴った。


譲二「すみません。今日は午後から臨時休業なので…」

 
 俺は絶句して固まってしまった。

 一護にタケ、リュウにりっちゃん、そしてハルまでが酒瓶やジュース、オードブルの包みなど下げて入って来た。


りっちゃんが天使のような微笑みを浮かべて言う。

理人「マスターにばかり料理させるのは申し訳ないから、自分たちの飲み食いするものは全部持って来たよ」

剛史「だから、お構いなく」

一護「ケーキも追加を持って来たぞ」

竜蔵「やあ、ユズ。4、5日見ないうちに大きくなったな」

 


 リュウが大好きなユズは這ってリュウのところに行こうとして、リュウにすぐに抱き上げられた。

ハルは居心地悪そうな顔をしている。

 

春樹「俺まで…無理に連れて来られて…すみません」

譲二「謝ること無いじゃないか…。さあ、座って…」

 

 2週間に一回くらいはどのメンバーもクロフネに顔を出していてくれたが、ハルは最後の調停で会ったきりだった。

☆☆☆☆☆

 


 親子3人でお祝いするつもりが、結局古馴染みの大宴会になってしまった。

 途中でぐずり始めたユズを連れて美緒は二階に上がった。

 ユズを寝かしつけているうちに美緒も眠ってしまって…、きっと今日も生還は無理だろう。

 後は男だけの飲み会になる。

 

理人「マスターはずるいよね。結局美緒ちゃんを自分のものにするし、ユズくんみたいな可愛い子まで生まれて」

剛史「マスターの粘さは、誰にも負けないな」

 
(ああ、ひどい言われようだ…)

 

一護「ハル、リベンジはないのか?」

春樹「勘弁してくれよ。やっと古傷が塞がりかけているのに…」

竜蔵「ジョージもハルも長期バトルだったなあ」

理人「僕はまだ、エントリーしてもいいよ」

一護「エロガキは相変わらずだな…」

理人「いっちゃんだって、諦めては無いくせに…」

 
たまり兼ねた俺は声をあげた。

 

譲二「おいおい、俺を前にしてそういうのはもう止めてくれ…」

 

 後はそれぞれが近況の交換をしはじめた。

 俺は酒の追加を持って、ハルの隣にそっと座った。

 

譲二「調停の時には色々とありがとう」

春樹「DNAを調べたら、ユズくんは俺の子供という結果がでるかと思ったのに…譲二さんには完敗です」

譲二「本当にすまなかった…」

春樹「前も言ったけど、譲二さんが謝る必要なんか無いですよ…。俺も同じ穴の狢だ…」

譲二「厚かましいようだけど…、ハルが…ハルが平気だったら…またこんな風にクロフネに訪ねて来て欲しい」

春樹「譲二さんが留守の時に美緒にちょっかいを出すかもしれませんよ?」

譲二「それは…困るが…。何のわだかまりも無しにというのが無理なのは分かってる。でも、俺はハルとも話がしたいなと思うことが時々あるんだ」

春樹「…」

譲二「10年前は俺たちは年の差があって、お前らを見守るような気持ちで接していたけど…。
今はお前らはみんな立派な大人になっていて、ともすれば俺よりも出来た部分がたくさんある。
それでなんだか古馴染みの友人という気がしてる。
あいつらとそんな風に話している時、『ああ、ここにハルがいたらなぁ』と思わずにはいられないんだ…」

春樹「俺のことを怒ってないんですか?」

譲二「えっ?どうして?怒るとしたら…ハルの方だろ?」

春樹「俺はもう吹っ切れました…」

 

 しかし、ハルが決して吹っ切れていないのは…俺にはよくわかる。

 

譲二「…吹っ切れたのなら、また顔を見せに来てくれ…。

みんなとだけでなく…1人だけでもな…」

春樹「!」

 

 ハルが驚いた顔で俺を見つめた。

 

春樹「いいんですか?」

譲二「ああ…、俺は…、お前と話をしたいとずっと思ってた」

 

 言葉を切って、ビールを飲み干すと俺は言った。

 

譲二「昔みたいにな…」

春樹「…」

 

☆☆☆☆☆

 それから春樹は時々訪ねて来るようになった。

 みんなとだけでなく、1人だけでも。

 そして、そんな時には俺と夜遅くまで酒を酌み交わすようになった。

 そう、俺とハルの間には奇妙な友情が育まれつつあった。

 


その5へつづく



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決意~その6~その11

2015-01-01 08:50:06 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
ヒロインと暮らすことができるようになったのに…
ヒロインの妊娠が発覚。春樹は離婚を認めてくれず、それでも二人を守ろうと譲二さんは
決意した

☆☆☆☆☆

決意~その6

〈譲二〉
 二人でクロフネの片付けをしている時に、美緒が話しかけてきた。

美緒「譲二さん、そろそろこの子の名前も考えないといけないよね」

譲二「まだ男か女かわからないんだよね」

美緒「うん。それに私、生まれるまではどちらか聞かないでおこうと思うの」

譲二「どうして?」

 美緒はうふふと笑った。

美緒「私、賭けをしてるの。その賭けに勝ったら教えてあげる。」

譲二「じゃあ、この子が生まれるまでお預けってこと?」

美緒「うん」

 美緒は謎めいた微笑みを浮かべた。

譲二「それじゃあ、名前は男の子と女の子、両方考えないといけないね」

美緒「そうなの。でも、男の子の方はもう考えているんだよ」

譲二「どんな名前?」

 美緒はとても嬉しそうに答えた。

美緒「あのね、譲二さんの『譲』の字をもらって、それで『ゆずる』って読むの。可愛いでしょ?茶倉譲」

譲二「…」

 一瞬、虚を突かれてしまった。

 俺の名前からとってもらえるのは嬉しいけど…この子は『茶倉譲』にはならない…。

 しかし、美緒は当然のように姓は『茶倉』になると思い込んでいるようだった。

 あまりに痛々しくて、訂正する気にはなれなかった。

譲二「俺の名前からとってもらえるのは嬉しいけど、いいの?」

美緒「だって…男の子はお父さんの名前からとりたいって思ってたもの」

 瞳をキラキラさせて美緒は言った。

美緒「それでね。女の子の名前は譲二さんにつけてもらいたいの。いい?」

譲二「じゃあ、とびきり可愛い名前を考えないといけないな」

美緒「慌てなくていいから、ゆっくり考えてね」

 美緒は幸せそうに俺の胸にもたれかかった。

 美緒はもしかしたら、子供は俺の子だと思い込んでいるんじゃないだろうか?

 なんとなくそんな気がした。


☆☆☆☆☆

 美緒の体を気遣い、胎児の成長を見守っているうちに、俺は自分も父親になっていく気がした。

 エコー写真と美緒のお腹を元気に蹴る感覚。

 気がつくとこの子は俺の子だと思いこんでいる。

 美緒の気持ちが移って来たのかもしれない。




☆☆☆☆☆

 ベッドの中で軽いキスと抱擁をしていた。

美緒「譲二さん…私を抱いてはくれないの?」

譲二「…だって、お腹に負担がかかるといけないだろ?」

美緒「もう安定期に入っているし、大丈夫なんだよ…」

譲二「そうかもしれないけど…。俺、夢中になって無理なこともしてしまうかも知れない…。
もし、それで何かあったらと思うと少し怖いんだ」

美緒「でも、ずっとしてないから…譲二さんが辛くない?」

譲二「俺? 心配してくれてありがとう。今までだって、美緒を抱けない時はたくさんあったから大丈夫だよ」

 美緒の頬にそっとキスした。


美緒「譲二さん…」

譲二「何?」

美緒「私…妊娠してから、譲二さんのことが一番好きになった…」

(え?)

 俺は驚いた。

 今、信じられない言葉を聞いた気がする。

美緒「一番好きなだけでなくて…今の私の心には譲二さんしかいないの」

 薄やみの中、美緒の真剣な瞳を見つめる。

譲二「…ほんとうに?」

 声が掠れてしまう。

美緒「本当だよ。譲二さんのことが…譲二さんのことだけが好きで好きでたまらないの」

譲二「…」

 言葉がでない。

 うれしくて、うれしくて…。

 美緒が俺のことだけを好きになってくれた。

 こんなに嬉しいことは生まれて初めてな気がする。

 今までどんなに思っても美緒への思いは決して報われない…そういうものだと思って来た。

 初めて…美緒と両思いになれた…。


美緒「…譲二さん?」

譲二「…ごめん…。あんまり嬉しくて、言葉が出なかった」

 お腹を圧迫しないよう気をつけながら、美緒を精一杯抱きしめた。

譲二「ありがとう…美緒」

 美緒の頭を胸に押し当てた。



 目から涙がにじみ出てくる。

 照れくさくて…薄やみの中とはいえ、彼女には今の顔を見られたくない。



その7へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その7

〈譲二〉
 子供が生まれるとあっては、美緒の両親にもちゃんと説明をしておかなければならない。


 美緒からは両親に、子供が出来たとだけメールで報告をしてあった。

 ハルとの離婚のメドが立ってから、ご両親には報告したいと思っていたが、ハルとのことはあれから全く進展がなかった。

 美緒も安定期に入ったことだし、ご両親には俺から簡単な事情を書いた手紙をだした。

 驚いた良子さんはメールをくれて、急遽日本に帰国すると連絡して来た。

☆☆☆☆☆

 佐々木夫妻がクロフネを尋ねて来た。

 朝から美緒も俺も緊張していた。2人に会うのは美緒の結婚式以来だった。

 臨時休業の札をかけたクロフネの店内に案内する。

良子「美緒、元気そうで安心したわ。赤ちゃんは順調に育ってるの?」

美緒「先日はお祝いの腹帯を送ってくれてありがとう。赤ちゃんはとっても元気で今もお腹を蹴ってるよ。」

佐々木「少しやつれたんじゃないか?」

美緒「つわりがひどくて…。でも譲二さんが労ってくれて、最近は普通に食べられるようになってるよ」

譲二「お二人には昔からお世話になっているのに、こんなことになってすみません」

 俺は佐々木夫妻に頭をさげた。

佐々木「あの手紙だけではよく事情がわからなかったが、どういうことだね?」

美緒「お父さん、私が…」

 俺は美緒を制した。

譲二「美緒さんと一生を共にしたいと思っています」

佐々木「しかし、春樹君とはまだ離婚していないんだろう?」

譲二「はい…。残念ながら、美緒さんの方から離婚請求はできないので、種村さんには離婚に同意してもらうようお願いしているのですが、断られ続けています」

佐々木「春樹君と離婚できないのに、君と暮らしているのは…、中途半端なままで美緒がかわいそうだ」

譲二「すみません。私が不甲斐ないばかりに」

美緒「譲二さん!」

佐々木「それはどういうことだね?」

譲二「美緒さんのことは種村さんと結婚するずっと前から好きで、お付き合いをしていたこともあります。
美緒さんが大学生の頃に婚約だけでもしたいとご両親に挨拶をしようと思っていたこともありました」

佐々木「それなのになぜ春樹君と美緒が結婚したんだね」

美緒「それはその時、私が譲二さんを裏切ってハル君と付き合いだしたからなの」

佐々木「…」

譲二「その時に美緒さんをちゃんとつなぎ止めておけなかった私の責任です」

美緒「譲二さんは悪くないよ」

佐々木「昔の話はまあいい。春樹君と盛大な結婚式まであげて、幸せに暮らしていると思っていたのに、なぜまたこんなことになったんだね?」

譲二「私が美緒さんをずっと諦めきれなかったからです」

佐々木「すでに春樹君の妻になっていた美緒を横恋慕したということかね?
 譲二君はもっと真面目な男だと思っていたが、どうも見損なっていたようだ」

譲二「…」

美緒「譲二さんは悪くない。私が譲二さんと一緒にいたいと思ったからハル君のところを出て来たの」

譲二「美緒。そんな君を追い返さなかったんだから、俺も同罪だよ…」

良子「お父さん、今2人を責めてもしかたがないわ。
人を好きになる気持ちはどうしようもないものだし。
それより、2人に聞きたいんだけど…、お腹の赤ちゃんはもちろん譲二君の子供なのよね?」

美緒「そうよ」

譲二「いいえ」

 二人の声がハモる。


佐々木「一体どっちなんだ?」

譲二「多分、種村さんの子供だと思います。
ただ、私の子供である可能性も少しですがあります」

佐々木「なんとだらしないことだ…。我が娘ながら呆れ返る」

 佐々木さんは大きくため息をついた。

譲二「どうか…。美緒さんとのお付き合いを認めて下さい。
種村さんと離婚できてもできなくても、美緒さんと子供の面倒は私が見るつもりです。
2人の将来を私にまかせて下さい。お願いします」

 俺は頭を深く下げた。

佐々木「美緒は…譲二君と生きていきたいのだな?」

美緒「はい。譲二さんとずっと一緒にいたいです」

佐々木「譲二君のことが好きなのか?」

美緒「はい。大好きです。」

佐々木「そんなに好きなら、なぜ春樹君と結婚した?
 結婚式ではあんなに幸せそうだったのに…。
どうせ、その時は春樹君が大好きだったからと言うんだろうけどな…」

美緒「…」

良子「譲二君、私たちは美緒の親だから、結局は美緒の味方になるわ。
春樹さんは法律の専門家だから、法律上のことではあなたたちは不利にしかならないと思うけど…。
私たちはあなたたちの味方よ。
何かあったら相談してね。
本当はもっと前に相談してくれていたらよかったんだけど…」

譲二「すみません。ありがとうございます」

 2人はホテルを取っているからと帰っていった。

 佐々木さんは日本にいるうちにハルとも話をしてくれると約束してくれた。

 ハルが佐々木さんの説得に応じてくれるかはわからないが、強い味方を得て、俺の肩の荷が少し軽くなった。

☆☆☆☆☆

 


美緒「譲二さん、お父さんたちに真剣にお願いしてくれてありがとう」

譲二「そんなの…。当たり前じゃない。俺は美緒のご両親にどうしても許してもらいたかったんだから」

美緒「それと、お父さんがいっぱい失礼なことを言ってごめんね」

譲二「ちょっ、ほら泣かないでよ」

譲二「元は俺が悪かったんだし、俺がだらしなかったからこういうことになったのは事実なんだし…」

美緒「ごめんなさい…」

 美緒をそっと抱きしめた。

 


その8へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その8

〈譲二〉
 二日後の夜、佐々木夫妻を招いてクロフネで食事会をした。

 美緒が食べられそうなものを中心にメニューを組み、佐々木夫妻に喜んでもらえるよう腕を振るった。



 前回会った時は俺に厳しいことを言っていた佐々木さんだったが、今日は一転して上機嫌で、ビールを俺にも飲めと盛んに注いでくれる。

佐々木「譲二君、美緒をよろしく頼むよ。
あの子は優しい子だから、すぐ自分を責めてしまう。
今のような宙ぶらりんな状態だと精神的にも辛いと思うんだ。」

譲二「はい。分かっています。美緒さんのことをしっかり支えていきます」

佐々木「次来られるのは美緒の子供が誕生したときだな…」



〈美緒〉
 お父さんと譲二さんが仲良くお酒を酌み交わしていてホッとした。

 もしかしたら、お父さんは譲二さんのことを誤解して、ずっと許してくれないのではないかと心配していたから。

 ぼんやりそんなことを考えていた私にお母さんが囁いた。

良子「美緒、お父さんに感謝しないといけないわよ」

美緒「うん。譲二さんのこと許してくれてよかった」

良子「それだけじゃないの…。
今日春樹さんに会いに行ったんだけど…。
お父さんは春樹さんに『美緒と譲二君が迷惑をかけて済まなかった。許してくれ』って、最初から最後まで謝り通しだったのよ…」

美緒「え? そうだったの?」

良子「お父さんはなんだかんだ言ってもあなたが大切だから、あなたのためなら何でもしてくれるわ。
春樹さんにも、『気持ちが収まらないのはよくわかるが、どうか娘を解放してやって欲しい』って頭をさげていたの」

美緒「お父さん…」

 譲二さんと楽しそうに話しているお父さんの横顔を見つめる。

良子「だからね。お父さんに感謝しないとだめよ。
もちろん、春樹さんがそれで離婚に同意してくれるかどうかは分からないけど…。
お父さんは精一杯のことをしてくれたのよ」

☆☆☆☆☆

 2人が帰った後、譲二さんにもその話をした。

譲二「そうなんだ。美緒の親父さんにはお世話になりっぱなしだな…。
俺ももう一度、ハルに頼んでみるよ…」

 譲二さんの穏やかな目を見つめていると、気持ちが安定して安らかになっていく。


〈譲二〉
 美緒は大きなお腹を持て余し、何をするのも少し辛そうだ。

 そんな美緒がとても愛しい。

 今日は茶倉の家で親族会議がある。

 主に茶堂院グループの今後の方針を話し合うのと親睦を兼ねた会なのだが、俺はそろそろここで美緒とのことを発表しようと決意していた。

 本来なら美緒も一緒に連れて行くべきだが、『他人の子を孕んだ人妻を生涯の伴侶に選んだ』という告白はかなり物議を催すはずで、どんな批判を浴びるかもわからず、そんなところへ身重の美緒を連れて行くわけにはいかなかった。

 美緒には『夕方までには帰れると思うし、遅くなりそうだったら電話するから』と話して出かけた。
 
☆☆☆☆☆

 俺の告白はやはり波乱を呼んだ。

 そうでなくても、若い頃から茶堂院グループを離れて、流行らない喫茶店のマスターをしていることを心よく思わない親戚は少なからずいたからだ。

親戚A「そんな血のつながらない子供が、将来茶堂院グループを乗っ取ったらどうするんだ」

親戚B「譲二君はグループ内の資産や相続の権利は放棄してくれるんだろうね」

 俺は茶堂院グループでの資産の権利などすべて手放してもいいと思っていたし、そう発言しようとして兄の紅一に止められた。

 兄貴は傾きかけた茶堂院グループを立て直した俺の実績をみんなに思い出させ、俺の取り分は血のつながりに関係なくその家族のために使われるべきだと主張した。

紅一「子供はまだ生まれてもいないんですよ。今はDNA鑑定で親子関係も調べられますし、茶倉の籍に入れるかどうかは、それが分かってから決めれば十分でしょう」

 兄貴の言葉でその場は収まり、会食が始まった。

譲二「兄貴、ありがとう。助かったよ」

紅一「俺もお前の話を聞いて驚いたが…。
そうか、美緒さんはお前のところに帰って来てくれたんだな」

譲二「ああ。やっと俺のことを思ってくれるようになった。少し遅かったけどな…」

紅一「遅くはないだろ? まだ、人生は長いぞ」

譲二「そうだな」

紅一「それで…美緒さんの旦那は別れてくれそうにないのか?」

譲二「今のところはね。もう少し粘ろうとは思ってるけど…」

紅一「法律的なことで問題がでれば、うちの顧問弁護士に相談すればいい。
確か相手は弁護士だっただろ?」

譲二「ああ、ありがとう。しかし、昔なじみでもあるから、なるべく法律的なことで争うこと無く済ませたいと思っている」

紅一「お前は自分のこととなると、本当に不器用だな…」


その9へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その9

〈春樹〉

 譲二さんと美緒のことを調べさせている探偵から連絡が入った。

探偵「先日お話しした茶堂院グループの親戚の集まりというのが、どうやら今日あるらしいです。
茶倉さんの方が今しがた出かけたので、尾行中です。茶倉家の方に向かっています。」

春樹「1人で出かけたんですか?妻は?」

探偵「奥さんはクロフネに残っておられました。手を振って見送っていましたから…」

春樹「わかったありがとう。親戚の集まりということはしばらく帰ってこないんだろうね?」

探偵「はい。毎回、夕方までかかるようです」

春樹「それでは、君はそのまま茶倉氏を張っていてくれないか? 家に帰るそぶりが見えたら携帯に連絡して欲しい」

探偵「わかりました」


 俺は事務に「しばらく出かけるから」と声をかけて事務所を後にした。

 先日、美緒の両親が尋ねて来たのには驚いた。

 父親の佐々木さんは始終低姿勢で謝ってくれて、こちらの方が恐縮した。

佐々木『種村さんには本当にご迷惑をおかけして済みませんでした。
本当にできの悪い娘です。
それでも、親バカだと思われるかもしれませんが、娘には幸せになって欲しいのです。
そのためにも、娘は好きな男と一緒にさせてやりたい。
自分勝手なお願いだとは思いますが、どうか娘と離婚して娘を自由にしてやってください…』

 その佐々木さんの『娘は好きな男と一緒にさせてやりたい。』という言葉が引っかかった。

 美緒が一番好きなのは俺ではなかったのか?

 俺と別れたいがために美緒は父親に『譲二さんのことが好きだ』とでも言ったのか?

 それとも、別れて暮らしている間に美緒の心に変化があったのか?

 美緒の本当の気持ちを確かめたいという気持ちが募った。

 美緒とは家を出て行ってすぐの時に話したきりだ。

 あの時は俺のことが一番好きだと言っていた。

 その『一番好きな』俺の子供を宿しながら、譲二さんの方を好きになったとはとても納得できない。



 クロフネについた。

 臨時休業の札が出ている。

 ドアを開けるとチャイムの音がして、懐かしい美緒の声がした。

美緒「すみません。今日はマスターが出かけていてお店はお休みな…」


 美緒はあっけに取られたように俺を見つめた。

 髪をポニーテールにして、譲二さんのものだろうざっくりしたTシャツを着てジーンズを履いている。

 お腹はかなりふっくらしていたが、懐かしい美緒のすがただった。

春樹「久しぶりだね…。会いたかった…」

 凍り付いたように動けない美緒を抱きしめる。

 思わず腕に力が入ったみたいで、美緒はもがいて逃れようとした。

美緒「…ハル君、…苦しい…離して」

春樹「ごめん。大丈夫?」

 俺が手を離すと、美緒は少し微笑んでいった。

美緒「うん。大丈夫だよ。強く抱きしめられるとお腹が圧迫されて苦しいの」

春樹「お腹、随分目立つようになったね」

美緒「うん。もう28週で、8ヶ月目に入ったから」

春樹「この子は俺の子なんだろう?」

 その言葉に美緒は恐れるように目を見開いた。

美緒「まだ…わからないよ。生まれてみないと…」

春樹「そうなの? 譲二さんは俺の子みたいに言ってたよ」

美緒「…ハル君の子の可能性が大きいけど…、譲二さんの子供の可能性もある…」

 美緒のお腹の子は俺の子だとずっと思い込んでいたから、譲二さんの子という可能性もあるというのは大きな衝撃だった。

 譲二さんの子供が俺の子として籍にはいる…そういう可能性もあるのか…。

 譲二さんが必死に美緒を離婚させて、子供ごと自分のものにしようとしている理由が一つわかった。

 俺は心を落ち着けて美緒に尋ねた。

春樹「美緒、君に聞きたいことがある」

美緒「なに?」

春樹「以前もらった手紙や前に会った時、美緒は俺のことが一番好きだと言ったよね。その気持ちに今も変わりはないの?」

美緒「…ハル君…。ごめんなさい。
あの時はハル君のことが一番大好きだったことは間違いない。
でも、今は譲二さんのことが好きなの。
妊娠がわかって、譲二さんに労ってもらっているうちに譲二さんのことが大切に思えるようになったの」

 ここに来てから、薄々そんなことではないかと思っていたのだが、改めて美緒の口からその言葉を聞くとかなりショックだった。

春樹「そうなんだ…。それは…あの時に無理に俺が奪い返しておけば、美緒の気持ちは変わらずに済んだのかな?」

美緒「それは…わからないよ。
譲二さんのところに来ると決めた時、すでに譲二さんのことを好きになっていたのかもしれないし…。
自分の気持ちに気づいたのがいつかというだけだと思う」

春樹「美緒は…母親になって強くなったね」

美緒「そう?」

春樹「うん。なんだかたくましいよ…。もう、気分が落ち込んだりとかはしてないの?」

美緒「うん。それは大丈夫だよ。この子のためにしっかりしなきゃと思っているから…」

春樹「そうなんだ…」

 俺は美緒をそっと抱き寄せた。

春樹「美緒…」

美緒「なあに?」

春樹「譲二さんに可愛がってもらえよ…」

美緒「うん。ありがとう、ハル君。…そして、ごめんなさい」

 俺たちはしばらくの間、抱き合っていた。

 できることなら…このまま無理矢理にでも連れて帰りたかった。



 「コーヒーでもいれようか」という美緒の言葉を断って、俺はクロフネを後にした。

 心の中には涙が流れ続けていた。


その10へつづく

 ハル君の目に映るヒロインには、最初可愛らしいマタニティでも着せようと思ってた。
 でも、これだけ体格差のある背の高い男性の服は華奢な女性には十分マタニティになるのと、譲二さんの服を着た方が譲二さんのものになってしまった感がでるので、譲二さんの服を着ているという設定にしてみた。


☆☆☆☆☆

決意~その10

〈譲二〉
 夕方、思っていたよりは早く家に帰ることが出来た。

 クロフネのドアを開けて入ると、カウンターにぼんやりと美緒が座っていた。

譲二「ただいま」

美緒「お帰りなさい…」

譲二「どうしたの? ぼんやりして…。体の具合でも悪いの?」

 美緒の額に手をあてる。特に熱はないようだ。

美緒「譲二さん…。もしかしたら、私、離婚できるかもしれない」

譲二「それは…どういうこと? まさか、俺の留守の間にハルが尋ねて来たの?」

美緒「うん」

 俺の心臓の鼓動が激しく打った。

 やはり美緒も一緒に連れて行くべきだったろうか?

 ハルに、ハルに何かされていないか?

譲二「ハルは? なんて言っていたの?」

美緒「ハル君に『この子は俺の子か?』って聞かれたから、『譲二さんの子供の可能性もある』って言ったの」

譲二「うん」

美緒「それから、ハル君は『今も俺のことを一番好きか?』って聞いたから、『今は譲二さんのことが好き』って言ったの。
そうしたら、『譲二さんに可愛がってもらえよ…』って」

譲二「そうなんだ」

美緒「それって、譲二さんと一緒になることを許してくれたってことだよね」

譲二「そんな風に取れるね…。ねえ、美緒」

美緒「なに?」

譲二「ハルに…その…何もされなかった?」

美緒「少し抱きしめられただけだよ」

譲二「それだけ?」

美緒「うん」

 少し安堵したが、まだ心の中の疑念がとけたわけではない…。

 俺だったら、抱きしめるだけでなく、キスだってするかもしれない…。

 もしかしたら、それ以上のことだって…。

 ああ、もっと早くに帰ってくれば良かった…。

 いや、美緒を信じなくてどうする。

 今の美緒はハルになにかされたようには見えない。

譲二「ハルが離婚に応じてくれるといいね」

美緒「うん」

 そっと美緒を抱きしめた。

☆☆☆☆☆

 数日後、ハルから離婚届が送られて来た。ハルの欄には名前と印鑑が押してある。

 俺はハルに電話した。

春樹「もしもし」

譲二「ハル? 譲二だけど」

春樹「ああ…」

譲二「離婚届が届いた。ありがとう」

春樹「俺は譲二さんのために離婚するんじゃないですよ。
美緒を幸せにしたいから離婚するだけです。
譲二さんにお礼を言われる筋合いはありません」

譲二「…それでも、ありがとう」

春樹「譲二さんも俺と立場が逆だったら…同じことをしたでしょ?」

譲二「ああ…たぶんな」

春樹「それじゃあ、仕事中ですから」

 電話が切れた。

 ハルと…もう昔のように仲良く語り合えることは二度とないのだろう…。



その11へつづく


☆☆☆☆☆

決意~その11

〈譲二〉
 離婚届を出して、晴れて美緒は1人になった。

 しかし、俺と結婚するにはまだ半年待たなければならない…。

 それでも、もうハルの妻ではないのだと思うとほっとしている自分がいる。

 一時期は、美緒が俺のものになるなんてあり得ないことだったし、美緒との結婚だって考えられないことだったのだから…。


☆☆☆☆☆

 美緒のお腹はますます大きくなって、何をするにも大儀そうだ。

 朝もなかなか起きられないみたいで、すやすやと眠っている美緒の額にそっとキスしてからベッドを抜け出すのが日課になった。

 その朝、俺がキスすると美緒は目を覚ました。

美緒「譲二さん…、おはよう…ございます…」

譲二「いいよ。まだ起きなくて」

美緒「…ごめんなさい…。この頃全然…朝食の支度が手伝えなくて…」

譲二「今は体が辛いんだから仕方ないよ。朝ご飯ができたら起こしに来るからね」

美緒「…ありがとう…」

 けだるそうな美緒の様子をみると愛しくなって抱きしめたくなる。

 そして…できることなら…。

 いやいや。

 俺は邪念を追い払うと美緒の頬にそっとキスして1階に降りた。



 最近、美緒のことがますます愛しくなって、どうしても抱きたいという衝動が増えて来た。

 以前そういう気持ちをうまく抑えれていたのは、離婚前で「美緒はまだハルの妻だ」という意識があったためらしい。

 その抑えが無くなって、「美緒を抱きたい」という衝動に悩まされている。

 そろそろ産み月も近づいているから、今こそ変なことをするわけにはいかないのに…。

 美緒の体は変化して来ていて、お腹だけでなく胸も大きくなっている。

 ネットで調べてみると胸への刺激もよくないらしいので、本当にキスと抱擁しかできない。それが尚更俺の欲望を煽っているようだ。

 美緒はもう実質的に俺のものなのだから、焦ることはないのにと苦笑いした。

譲二「とにかく。夜は特に気をつけないといけないな、俺の理性が飛ばないように」

 気がつくと独り言を言っている。

 これからしばらく、夜は別々の部屋で寝るようにした方がいいだろうか?

 しかし、美緒に何かあった時に気づいてやれないしな…。

☆☆☆☆☆

 夜中に体の火照りで目を覚ました。

 時計を見ると午前1時。

 美緒を起こさないようにそっとベッドを抜け出し、冷たいシャワーを浴びにいく。

 部屋に戻って、ベッドに潜ろうとすると美緒に声をかけられた。

美緒「譲二さん…」

譲二「あ、ごめん…。起こしちゃった?」

 窓の外の月明かりに照らされた美緒の顔は俺を気遣わしげに見ている。

美緒「譲二さん、…体が辛いんじゃないの?」

 この間からの俺の状態を言い当てられてドギマギする。

譲二「い、いや、別に…」

美緒「ねぇ…、こっちへ来て」

 美緒は上目遣いに潤んだ瞳で見つめる。

(もしかして、俺を誘ってる?)

☆☆☆☆☆

 まだ、明け方の薄やみの中、美緒を起こさないようにベッドを抜け出した。

 昨夜のことを思い出すと照れくさくて、今の顔は美緒にとても見せられない。

 端的にいうと、昨夜美緒は手と口で俺を慰めてくれた。

 そして、それは…かなり上手い方の部類だった…。

(あー、今の俺ってまるで初めて男と一夜を共にした乙女みたいだ…)

 かなり恥ずかしい。

 以前、まだハルの妻だった時にも一度こんなことをしてくれたことがあった。

 俺は昔ある女性に弄ばれたことがあって、その女性はこういうことが得意だったので、あえて美緒には教えて来なかった。

 だから、その時は自分の教えたことの無い性癖を持った美緒を知って、「ああ、やっぱりハルの妻なんだ…」と少し落ち込んだっけ…。

 あの時美緒は…

美緒『時々ハル君がして欲しがるから』
って言っていたな…。

 それが今、俺を慰めるために使われるとは…。

 昨夜…最初の体勢だと、美緒のお腹を圧迫するからということで、美緒を横向きに寝かせて、俺の方がまたがって…って、…うわぁ思い出すと顔がニヤけて止まらない。

 ダメだ!このままだとこの顔を美緒に見られてしまう。

 そうだ! あれだ! いつもの「昨夜は何もありませんでした~」ていう顔をすることにしよう…。

 美緒が起きて来るまでにまだ2時間はある…。

 それまでに顔のニヤケを戻すんだ…。

 がんばれ! オレ。



『決意』おわり

続きは『ハル』です。

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