蒲田耕二の発言

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ピコ太郎

2017-07-12 | 文化
って、いまごろ取り上げるのもナンだが、すごいウィットのある芸人なんだね。今朝の朝日に載ったインタビューを読んで感心してしまった。

外務省のSDGsプロモーションに起用されたんだとか。

芸人がお上に取り込まれるのかよ、とか初めは思ったが、言い分を聞くとこの人、しなやかに機転を利かせながら対応していて、決して身売りはしてないよ。

いや、「感心」なんて言い方自体、上から目線で傲慢かな。でもまあ、トシ寄りの言うことだから。

トシ寄りついでに、も一つ開き直らせてもらうと、ピコ太郎って往年のトニー谷を連想させるんだよな。チョビ髭を生やした顔つき自体、似てる。

トニー谷が活躍したのは、第2次大戦後の混乱がまだ治まっていない時期だった。敗戦による自信喪失で人々はむやみにアメリカ様をありがたがり、カタコト英語を口にした(長嶋茂雄のしゃべり方に、その名残がある)。

トニー谷は、そういう戦後社会の風潮を敏感に掬い取っていた。「レディース・アンド・ジェントルメン、アンド・おとっつぁん、おっかさん」なんてギャグを連発した。「さいざんす」「ゴメンあそべ」等々、山の手言葉のパロディも盛んにやった。

トニー自身に風刺の意図があったかどうか定かではない。芸人の直感で、ふざけたギャグをバラ撒いていただけかも知れない。しかし、それらのギャグには、戦後日本の軽薄な欧米崇拝や、セレブ階級の偽善的マナーを痛烈に衝く毒があった。

そこで、大人よりはるかに感覚の敏感な子供たちに大受けし、その一方で、彼らの親たちには目のカタキにされた。のちに、オレたちはキリストより有名だと発言して袋叩きに遭うビートルズと同じくらいに。

その点では、ピコ太郎とトニー谷は根本的に異なる。英語を使ってもピコ太郎に風刺の毒は一滴もない。だから、お役所にも好まれる。

しかし、彼の生きている社会のいまを体現している点で、ピコ太郎もトニー谷と変わりない。

いま、トニー谷のような芸人が現れても決して人気は得られないだろう。SNS発信の大多数が示すように、いまの日本は同調圧力社会だ。批判的言辞、異端的行動はそれ自体、嫌われ、バッシングされる。正しかろうと間違っていようと、批判の対象外の人々からも。

秘密保護法が成立してもやがて忘れ、安保法制が成立してもやがて忘れ、そして共謀罪もいずれ忘れていくだろう社会が生んだ芸人。それがピコ太郎という毒のない瞬間芸の人なんだろうと思う。
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