蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

伝統行事

2024-01-22 | 文化
三重県の尾鷲市にヤーヤ祭りというのがあるそうだ。記事になるまで存在すら知らなかったが、300年前から伝わる伝統行事だという。参加する男たちがハダカになって海や川で水垢離を取る。

それが今年から全裸禁止、下帯や水着着用ということになった。インスタやTikTokで男たちの丸出し姿が拡散されては風紀上まずい、との判断なのだろう。いまじゃスマホのカメラも性能アップして、だれでも高精細な映像が撮れるもんね。

伝統も時代に合わせて、ってことにオレは必ずしも頭から反対するものではないが、しかし300年続いた伝統だよ。それを一時の価値観で改変するってのは、どんなもんかねえ。

そう言えば、福岡の沖合にある沖ノ島も島全体が神社なので、上陸する男たちは一糸まとわぬ姿になって水垢離を取ると聞いた。いつだったか、この島を訪ねたテレ朝のアナウンサーが神妙な顔で海に浸かっていた。

こうした伝統は文化の一つなんだから、ちょっとは大事にした方がいいのではなかろうか。だいたい、水垢離姿をワイセツなんて思うとしたら、そっちの方がおかしいんだし。

フンドシはともかく、海パンを穿いた男たちが水垢離を取る姿って、想像するとなんか滑稽。

そらまあ、タリバンが1500年前の磨崖仏を爆破したような、人類にとっての大罪ではないけどね。
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2024初笑い

2024-01-19 | 文化
新年早々、大地震が発生したりトランプが予備選で大勝したり、不吉な未来を予感させるニュースばかりだが、久しぶりにハラの底から笑わせてもらった。

イエね、朝日デジタルに載った福島県二本松市のニュースなんですけど、同市に伝わる鬼婆伝説をモチーフにしたレストランのメニューが秀逸なんです。ドクロラーメン、おにばばソフト等々、いろいろある中でとりわけ傑作なのが、その名も凄まじい「鬼婆血の池カレー」。血走った目を表現する赤く着色したウズラの卵が恐ろしくも愛らしい。その目の大きさ、灰色のマッシュポテト製頭髪とのカラーバランス、トマトの血に染まったカレースープへの顔の沈み具合、どれを取っても飛び抜けて洒落たギャグセンスである。

こういうセンスのいい人がいるうちは、日本の未来に希望が持てる。

有料記事だが、写真は全部無料で見れます。ぜひご一見を。
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AI

2023-05-14 | 文化
AIの進歩、止めどなし。ついに人間の脳内を読むことまで成功したそうだ。

オレはワリと新しもの好きなので、こういう事態に生理的反発を覚えたりすることはない。それでもこれは、パソコンが出現したりスマホが普及したりといったこととはちょっと次元が違うような気がする。AIが人間の心の中を覗き込みだしている。

ニュースを読んで、反射的に思い出したのが韓国映画の名作『オアシス』だ。ヒロインは重度の脳性マヒを患っていて、うまく言葉を発することができない。家族にほとんど見捨てられ、同様に家族に疎まれている前科持ちの青年と心を通わせ合っている。二人が愛し合っているところを女性の家族が見つけ、青年にレイプの疑いが掛かる。

警察の取り調べに家族が適当に返事をし、ウーウーと懸命に否定するヒロインの声は無視され、青年は無実の罪で収監されてしまう。

誤った調書作成の因になったのは、前科者に対する警察の先入観と家族のヒロインに関する知識、すなわち過去データだった。人間の脳内を読む基礎も、AIが学習した過去データである。

AIの脳内イメージ解読は将来、病気などで意思疎通ができなくなった患者の治療に役立つ、と記事は伝える。しかし、過去データに基づくAIの情報は、個々の患者の意思をすべて正確に伝えるものだろうか。人間は一人ひとり、考えが異なる。

オレなんか、植物人間になってベッドで無意味に生き続ける気はないから、AIに勝手に延命治療を指示されるなんて真っ平だ。

ちなみに、画像生成AIの Stable Diffusion に "『椿姫』のヴィオレッタを演じるマリア・カラスのポートレート" を描かせてみた。出来上がってきたのは、二目と見られない肖像画だった。大きすぎる鼻やアーモンド型の目などカラスの身体的特徴を捉えてはいるが、全体としてゾッとするほど醜く品がない。アーティストの気品など、薬にしたくもない。アートに品格をもたらすものはデータではなく描き手の品性であることを、改めて確認した。
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トランスジェンダー

2023-03-31 | 文化
今日3月31日は「国際トランスジェンダー可視化の日」なのだそうで、当事者のメッセージ動画を東京新聞が掲載している。

オレは無論、同性婚の法制化に大賛成である。法制化されて困ることは、何もない。社会が変わる、ことなどありえない。大体、基本的人権に係ることだ。

だから、このメッセージ動画にも称賛を送りたいところなのだが、見ていて一つ、引っ掛かるところがあった。トランスジェンダー女性の一人が、子供時代に野球を強制されて辛かった、でもおかげでバットとボールの扱いは上手くなりました、などと言っている。

はっきり言う。嫌悪感を覚えた。

女性は見たところ風営関係の人らしい。その世界では、こういう類のジョークが日常的に語られているのだろう。

しかし、時と場所をわきまえないジョークは、恥知らずでしかない。この下品さがみずからの顔に泥を塗っていることに、どうして気がつかないのだろうか。

彼らへのヘイトがいつまでもしつこく絶えないのは、単に偏見のためだけではないことを自覚してもらいたいと思う。
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有名税

2022-10-22 | 文化
昨日終わったが、少し前から漫画家の楳図かずおが回顧談を朝日に連載していた。大阪で個人展が開かれたり、朝日に連載で登場したりするぐらいだから大した人物なんだろうな、と思う。

だけどオレはこの人に、ちょっと負のイメージがあるんだよな。

ずいぶん昔のことで、たしか60年代の半ばだったと思うが、彼の作に能面か何かの面打ち職人の話があった。お面製作のために次々人を殺して顔面を剥ぎ、果てはゲラゲラ笑いながら自分の顔面まで切り取るというホラー漫画である。

なんか凄い独創的アイディアに聞こえるかもしれないが、これ、ジョルジュ・フランジュの詩的ホラー映画『顔のない眼』にそっくりなんだよね。

で、オレの中で楳図かずおはパクリ漫画家ということなってしまった。

同じころ、平凡パンチか何かに小中陽太郎が連載していた対談に浅川マキが登場した。対談の中身は忘れたが、対談終了後にマキが即興でササッと書いてくれたと言って小中が紹介した「ディレクターに捧げる歌」なる詩は、強く印象に残った。

小中は、さすが天才詩人と感じ入っていたが、実はこれ、ピエール・バルーの同名シャンソンの丸写しだったんだよね。印象に残ったのは、他ならぬこのオレがバルーのレコードの歌詞対訳をやったからだった。

で、オレの中で浅川マキは中身のないニセモノ歌手ということになってしまった (実際、彼女の歌に感銘を受けたことは一度もなかった)。

たった一つのマイナスポイントを因に人格と業績を全否定することは、たしかにフェアではない。しかし、人々の記憶に強く残るのは、往々にして善いことよりも悪いことの方である。特に有名人の場合は。これぐらい大したことあるまい、というのがあとあと祟ったりする。心されたし。

音楽評論の世界でも、先人の文章をパクってあたかも自分の発見みたいな顔をしている奴がいるが、世間は意外にちゃんと見てるもんだよ。ナメない方がいい。

四季の『美女と野獣』に呼んでもらったので、恐るおそる舞浜まで足を伸ばす。街にはディズニーランド帰りとおぼしい親子連れがゾロゾロ。レストランやカフェは若い女性グループ (どういうわけかカップルより多い) でいっぱい。劇場もほぼ満員。みなさん、マスクはしているが、もうほとんど日常が戻ってるんだね。第8波の襲来を前に小康状態、でしかないのかも知れないが。
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