蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

またもやアマリア・ロドリゲス

2017-06-14 | 音楽
"Fado and Flamenco" Columbia 33CS14
10年あまり前に故・中村とうよう氏のお宅に伺ったら、この10インチLPを大事そうに、かつ少々自慢そうに見せてくれた。それも道理、アマリアのファースト・アルバムである。

といっても、シングルや78回転盤用の録音を英コロンビアが寄せ集めてアルバムに仕立てただけだが、彼女の初LPであることには間違いない。コレクターのマスト・アイテムなワケです。

でもそう言っちゃナンだが、とうようさんが持っておられたのは地色が赤の米Angel盤。オレが手に入れたのは英コロンビア盤。ジャケットも違えば音質も違う。

とうようさんが音出ししてくれたとき、オレは思わず、あれっ、ピッチ高くないですか、と言ってしまった。米盤はそのくらいハイ上がりのキンキン耳障りな音質だった。

米盤LP、特にエンジェル盤は1970年代にはリバーブを乱用して、味の素をむやみにブチ込む新米主婦の料理みたいな甘ったるい音質になるが、ロック全盛の50~60年代には高音のキツい尖った音質がトレンドだったらしい。下記のKAPP盤も同様の音質だ。英盤は高低のバランスが取れてるし、細かい響きがはるかに多い。

ところで、50年代末になると10インチLPが不人気になり、英コロンビアはこのアルバムに4曲追加して12インチ盤で出し直す。オレはそっちの方を前から持っていて、だから10インチ盤の方はいいかなとか思っていた。

それが最近、たったの99ペンス(≒140円)でeBayに出たので、ダメもとで入札しておいたら競争者が現れず、元値で落札できてしまった。コレクターとしては、やっぱりオリジナルを持っていたいワケです。

届いた現物は文字どおりのNMでレコードはツヤツヤ、ジャケットはピカピカ。なんか、出品者に申し訳ないみたいな。

こういう幸運があるので、オークションはやめられない。

"Self Title" Ducretet Thomson DLD45028

アマリアがデュクレテ・トムソンで録音した3枚目で最後のアルバム。回想録の巻末ディスコグラフィにAlvorada盤と誤記されているレコードである。

デュクレテはアマリアのLPに統一ジャケットを使っていたようで、先にご紹介した第1弾(日本ディスク盤)と地色違いで同じ写真、同じデザインを使っている。

ポルトガル・プレスだが、マスターは多分フランス・カッティング。第1弾の日本盤より音にしっかりした芯があり、低音がぐんと安定している。それと、CD未復刻の曲が3枚の中で一番多い。

"Self Title" KAPP KL-1096
2枚目のデュクレテ・アルバムに4曲追加して12インチ盤に仕立てたアメリカ盤。シャルル・アズナヴールがアマリアのために書いた "Aïe mourir pour toi" や "Paris s'éveille la nuit" など、フランス語の歌を何曲か歌っている。

手に入れるならフランス盤か、せめてポルトガル盤を、と思っていたのだが、いつまで待ってもeBayに出る気配がない。しびれを切らしてアメリカ盤を買ってしまった。

未開封未通針の触れ込みに惹かれたのもあるが、やっぱアメリカ盤はあきません。細かなチリプツ・ノイズこそないが、時折ガチンプツンと大音響の突発的ノイズが出る。盤の素材に不純物が混じっているか、プレスの際の剥離剤が凝固したのだろう。こういうノイズはホコリが原因じゃないから、クリーニングしても消えない。

ジャケットのポートレートは昔『ブスト』の日本盤LPに使われたものと同じ。発色と質感は断然こっちの方がいい。アメリカ盤て、レコード本体は手抜きだが、ジャケットにはふんだんにカネ掛けてたんだよな。中身より外見で商売していたことが見え見えだね。

ともあれ、これでなんとかアマリアのデュクレテ録音がすべて揃いました。一安心。

"Amália canta Portugal III" Columbia 062 40255

このあいだ発売されたライス盤の3枚組CDが、聴いてるのが苦痛なほどの犯罪的極悪音質だったので、eBayを引っかき回して手に入れたレコード。

12インチで各面15分前後の長さだから収録に余裕があり、凄いハイレベルでカッティングされている。言うまでもないが、CDとは次元の異なる生々しい歌だ。アマリアの声は充分カン高いのだが、それが迫力にはなっても喧しさにはつながらない。

アナログ録音の復刻CDでも、音より音楽を大切にした例がないわけじゃないが、大体が音楽殺しのノイズ潰しに血道を上げている。だからレコード集めはやめられない。
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信頼

2017-06-09 | 社会
「信用されてないから届けないんですよ」
「握りつぶされると思ってるから届けないんですよ」
「なに言ってるんですか」
「情けない」

カッコよかったなあ、昨日の参院農水委での森ゆうこ議員。告発はマスコミではなく自分の方に届けてもらいたいと、白々しい答弁をした文科副大臣の義家某をコテンパン。

義家って、かつてはヤンキー上がりが売り物で、いまは安倍の提灯持ちだよ。気持ちが悪い。一匹オオカミだの社会のはみ出し者だのを気取ってるヤツらが、実はべったり権力志向だってことがよく分かるね。

質疑の一部始終を収めたユーチューブのビデオは永久保存ものだ。

いま、さすがの安倍政権もじわじわ支持率が下がりだしたらしいね。その原因は多分、共謀罪に対する危機感や森友、加計、準強姦の山口某の疑惑だけじゃなく、義家やら菅やら萩生田やらナントカ局長やらの露骨なゴマスリ姿勢にもあるんじゃないか。

彼らがもっともらしいことを言えば言うほど、真実を隠そうとしているように聞こえる。安倍政権が全力で国民をダマそうとしているように見える。

その不信感うんざり感が充満しているところへ、森議員がぐさっとヤイバを突き立てた。オレは久しぶりに胸がスーッとした。

政治への信頼がかろうじて繋がるとすれば、わずかでもこういう議員がいるおかげだろう。口先だけの蓮舫とか、受け狙いだけの小池のおかげではない。
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『たたら侍』

2017-06-06 | 社会
て映画は観てないから、いい作品かどうか知らんけど、上映中止だって。出演者の橋爪某が覚醒剤で捕まったから。

なんで? 映画に罪あんの?

こういう事件が起きると、正論がネットに氾濫する。「人々の手本たるべき有名人が」「触法者の出ている作品で稼ぐとは」いまは誰でも発信できる時代。

配給元としては、こういう声によって社会的制裁を受けるのが怖いから早いとこクサいものにフタをしてしまおう、てんだろうね。

しかし、映画を作り上げるために努力した他の出演者や演出者や無数のスタッフの苦労は、どうなる。観たいと思っていた観客の意欲はどうなる。

官憲に捕まったところで、それは橋爪某個人の問題だろ。なんで他の関係者がとばっちり食わなきゃなんないんだよ。大昔の連座制じゃあるまいし。

もっとも、責められるべきは上映中止を決めた会社よりも、中止に追い込む社会の空気だろう。この国ではいま、誰かが弱点、失態をさらすと突然、大多数が正義の志士になって非難の合唱を始める。

貧困報道に対しては、同情の声よりバッシングの方が多い。生活保護受給は、行政からも市民からも犯罪のように見なされる。第2次大戦中、病気で徴兵不合格になると「非国民!」と罵倒されたのにそっくり。

弱者、異端派、反対意見の排除抑圧と、秘密保護法、安保法制、共謀罪への流れは無関係ではないと思うよ。多様性を許容しない社会は全体主義化する。

そう言えば、反政府運動で捕まった人の関係者を全員、見せしめに処罰するのはナチス・ドイツの常套手段だったよな。北朝鮮でもやってるらしいが。

あー嫌だ嫌だ。長生きはしたくない。
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リーク

2017-05-26 | 社会
・野党議員が事実関係を問いただすと、「責任とれるんですかっ!」と首相が逆上。
・出所不明の怪文書だの、地位に恋々としてみずから辞任しようとしなかった人物だのと、官房長官が中傷。
・元次官は歌舞伎町の出会い系バーに出入り、と御用メディアが低次元の報道。

官邸のあわて振り、いよいよ半狂乱状態に突入だね。FBI長官をクビにしたり、不利な報道をすべてフェイクニュースと決めつけたりの最近のトランプとそっくり。

最高権力者の暴走に、数少ない良識人が内部告発するところも同じ。

しかし、彼我には決定的な差がある。アメリカのメディアがスクラムを組んで大統領に対抗しているのに対し、日本のそれは対抗するどころか、迎合している方が多数派だ。独立機関が検証する制度が確立していない、もしくは骨抜きにされている。告発者を支援する勢力がきわめて頼りない。

そして何よりも、いかなる事態にも安倍の支持率が下がらない。

こんな風土で共謀罪が成立したら、どんな国になってしまうことか。想像するだに背筋が凍る。
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LPで聴くノローニャ

2017-05-22 | 音楽

知らなかったなあ、アメリカでノローニャのレコードが出ていたとは。こんな地味な、エレガントな歌手が。エルヴィス・プレスリーのアメリカで。50年代にアマリア・ロドリゲスが世界的な人気を博していたから、そのおこぼれで出たんだろうか。

カッティングとプレスは英Deccaだから、イギリスで出したついでにアメリカでも売り出したのかも知れない。いずれにせよ発売部数は極少だったろうから、それがeBayに出るなんて奇蹟だ。

マリアテレーザ・デ・ノローニャは、故・中村とうようさんに教えてもらった中で最高に魅せられた歌手だ。だが、教えられたときにはすでにLP時代はとっくに終わっていたから、オレはCD(と、音の貧弱な4曲入りEP)でしか聴いたことがなかった。あのギスギス音の険しいポルトガル製CDです。

その彼女の歌がLPのウォーム・トーンで聴ける。これを落札しないでどうする。

トラックリストは、ほとんどが1960年前後に録音された曲だ。かつてポルトガルで出たCDボックスセットの2枚目の前半部分に当たる。屈指の名演「ファド・アナディア」が収録されているのがうれしい。この曲、ノローニャの歌もさることなから、ギタルラのラウール・ネリーがスイングして遊んじゃってるのが楽しいんだよね。

ノローニャのコンピレーションに必ず入っている「捨てられたバラ」が、ここにも入っている。代表的なヒットなんだろうな。しかし彼女の録音、ノローニャの最高の名演でもなければ、この曲の最高の表現でもないと思うんだよね。この曲はやっぱり、初演者エルミニア・シルヴァのものだ。ノローニャの歌は強弱のメリハリが行き過ぎていて、歌に自然な流れがない。

このLP、eBayの商品説明ではVGグレードで、しかもメチャ安の値付けだった。なので、どうせ悲惨な状態だろうと覚悟の上で落札したのだが、実物を見ると意外にもキズなし汚れなし。ノイズもごく少ない。どうなっているのだ。

ただし、音質は期待外れ。中高音域に強調感があり、Sの子音がシュルシュル耳につく。ノローニャの声が甲高くなりすぎる。クラシック・レコードでは音質の良さで有名なデッカだが、自社録音じゃないので限界があったのか。
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