alla marcia

こはぜの覚え書き

西洋は手強い! びわ湖の夏 オペラ ビエンナーレ 『ミニヨン』

2006-07-23 20:33:21 | 見にいきました
 有料駐車場からホールへ…

 紗幕を効果的に使った演出が印象的なオペラ『ミニヨン』。オーディションで選ばれたキャスト…ということはつまり相当フレッシュなメンバーだということですね。この舞台にかける!気持ちが伝わる好演だったと思います。また、指揮をされる予定だった佐藤功太郎さんが6月に亡くなられたとのこと、関係者の方々にとってはますます特別な舞台となったことでしょう。


**びわ湖の夏 オペラ ビエンナーレ
 『ミニヨン』A.トーマ作曲 全3幕《日本語上演》**

 7月22日・23日 14:00開演 
  原作:ゲーテ「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」
  指揮:大島義彰
  演出:岩田達宗
  管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
  合唱:びわ湖の夏・オペラ ビエンナーレ合唱団
     ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団
     

 印象に残ったのが、フィリーヌの方。お歌も素晴らしかったと思うのですが、身体の線の見せ方の美しいこと。美人ならだれでも舞台で輝けるという訳ではありませんもの。この方の華やかさはお歌以外の部分にもばっちり神経を行き届かせていらっしゃるからこそのものなんやろーなーと思いました。特に第2景楽屋で見せた後ろ姿が、玉さまが裲襠の後ろを見せるときのような美しい型で…。あれは男を蠱惑する“女優”の色気を匂わせるうなじの見せ方でしたね。日本舞踊でも色気とうなじの関係は切っても切れないもの。この辺り、女性の魅力を表現する身体的技術には洋の東西を問わないところがあるのかもしれません。

 ところでお話の方はというと、これがなかなか手強い。お国がちがう・文化が違うことに加えて、100年以上の時間的な隔たりもある。これを「純愛」て言われてもやなあ…なんだかなあ…というのが正直なところ。
 制作サイドもご苦労なさったご様子…。
 ミニヨンにはいじらしさというよりも逆恨みの厚かましさを感じてしまいましたが、しょうがないのです。こういう話なんやもんね。ロタリオの放火の必然性とか、なんでヴィルヘルムが寝言を聞いたくらいでいきなりミニヨンちゃんにぞっこんになってしまうのかとか、主要なポイントは分からないことだらけ。歌舞伎の「訳分からん」を荒唐無稽という言葉で表すなら、このオペラの「訳分からん」は理路不整然(←こんな言葉ないけど…)。
 でもでも客席に居て、ちゃーんと舞台に引き込まれて最後までついて行けたのは、なんやかんやといっても出演者の方がこの難解な(わかりにくいっちゅーんやなくて理解できひん、ちゅーことね)オペラをなんらかの形で解釈し、納得し、ご自分の役を消化して舞台に立っていらっしゃったからだと思うのです。
 手強いぞ、オペラ。
 とりあえず、すっかり西洋文化になじんでいるつもりで、実は西洋というものを全然理解できていないのではないかと考えさせられたびわ湖ホールでした。
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