山 鳩 通 信

日常の発見をめざして

賢治の詩

2017-05-11 03:14:45 | 手記

   少年のころ私は、山中鹿之助がなんとなく好きだった。「我に七難八苦を与え賜え」 と三日月に祈ったという話にひかれていた。そこに豪傑というよりは、優しい心を持った武将というイメージを持った。その彼の、進んで艱難を求めるという姿勢が、強い印象となっていたのだろう、その後私は、苦しいことに耐え、それを克服して行くところに生きがいを見出すようになって行った。
   二十代で読んだ宮沢賢治の詩 『稲作挿話』 の 「あすこの田はねえ」 は、事情で大学進学しなか
った私によくアピールした。特に後半の苦学する青少年を励ます数行は、そのリズムと共に私をも鼓舞してやまなかったのである。

         
   しっかりやるんだよ
   これからの本当の勉強はねえ   
   テニスをしながら商売の先生から  
   義理で教はることでないんだ   
    きみのやうにさ     
   吹雪やわづかの仕事のひまで  
   泣きながら  
    からだに刻んで行く勉強が 
    まもなくぐんぐん強い芽を噴いて    
   どこまでのびるかわからない
   それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ 
   ではさやうなら      
   ……雲からも風からも
       透明な力が      
       そのこどもに      
        うつれ…… 

 

2006 ・ 秋

 

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