山 鳩 通 信

日常の発見をめざして

再読

2017-06-20 03:56:38 | 読書

   何十年ぶりかで、夏目漱石の 『門』 を取り上げた。
  私と妻は、『門』 の主人公宗助、お米に似ている。もちろんお互いの時代背景は全く違うし、人とあまり付き合わないで来た事情も異なる。それでも 『門』 は大変面白かった。これほど身に沁みてこの書を読めたことはない。読書でまだまだ感動できる自分を知って大いなる歓びを味わった。
   この長編を、最初から終わりまでかみしめるように読んだ。そのストーリーよりは、行間を埋め尽くす豊かな日常の発見、その詩情が、私を久しぶりに夢中にさせる読書をもたらした。これこそ作者の、時代を超越した文学性というものであろうか。そして夏目漱石という人は、なんと心の優しい人だったのだろう。その文章は改めて私をナイーブにし、なにかを書かなければという決意をさせた。
   『門』 を一読したら、なにか、透明で快い一陣の涼風のようなものが、私の中を吹き抜けた。

 

(1997 ・ 秋)

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 志賀直哉の雪 | トップ | 「大草原の小さな家」 シリー... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事