「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小坂和輝(小児科医&医学・法務博士)のblog

中央区議会選挙に立候補致しましたが、私の使命はあくまでも小児科医療です。選挙期間中も通常診療を終えた上で選挙に臨みます。

景観法 理解のために (1)

2010-07-09 11:00:44 | 街づくり

 景観法理解のために、国会審議を抜粋します。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm


第159回国土交通委員会 第19号
平成16年5月11日(火曜日)

 内閣提出、景観法案、景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案の各案。
 参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授西村幸夫君、金沢市長山出保君及び平安女学院大学生活環境学部生活環境学科教授中林浩君、以上三名。

○西村参考人 西村でございます。
 まず、基本的な考え方としまして、大きな地域整備の流れというのが量の充足から質の向上へと非常に大きく変わってきていて、この景観法案はそれの非常に大きなメルクマールになるのではないかと思います。
 また、それは一方、平等しかし画一的な整備のあり方から、地域ごとの多様性や個性を尊重し重視するという整備のあり方へと変わっているということも一つの基本的な考え方としてあると思います。そのことは、地方分権の中で、国による規制から、地方の主体性を尊重していくような制度のあり方が求められているということになると思います。
 そしてまた、今回の景観法案では、景観重要建造物に指定されたものに関して相続税の適正評価などが検討されておられるわけなんですけれども、こういうことは、今までの、ストックの保持がなかなかそれに見合うインセンティブを持ち得なかった、結果的に貧しい景観をつくり出してしまったということに対して新たなインセンティブを与える方向として非常に重要ではないかと思います。
 また、最近、さまざまなところで景観裁判が行われているわけですけれども、その判例がいろいろ分かれているわけですね。その分かれている一つは、やはり景観に対して基本法制がないということはそれだけ世論が熟していないのではないかというふうに考える裁判官の方もいらっしゃいまして、非常に大きく裁判の結果が分かれている現実があると思います。これはどちら側にとっても不幸なことでありますから、一つ大きな流れをつくっていただいて、全体としてこうした景観裁判がもう少し集結するような方向を目指すということは非常に重要なことではないかというふうに思います。
 今回の景観法案に関する特色を私なりにまとめますと、非常に大きいのは、地方公共団体の景観条例、これはもう五百を超えていると思うんですけれども、これに法的根拠を与えるという意味で、地方分権を後押しする形の法律になっているということだと思います。
 また、景観計画がすべての基本になっておりますので、ある意味、非常にしっかりとした景観計画を立てないといけないということが地方に求められるわけで、これは非常に大きな、計画立案能力や、そのための人的資源をふやしていくというようなことにつながっていくのではないかと思います。
 また、景観地区という地区制度が提案されておりまして、ここで形態意匠の規制というのが初めて導入されることになるわけですけれども、新しく、先ほど申し上げましたように、量の充足や画一的な規制ではなくて、質を高める、建物の形や色までコントロールしようというわけですから、そういうことができるようになるということは、非常に一歩進んだ方向だというふうに思います。
 また、それに伴って、こうした質的なものをチェックするためには、数値基準があって、それを満たせばいいということになかなかならないものですから、その判定の仕方が難しいわけです。それに対処するために今回は認定制度という制度が提案されておりまして、これは、今までの、とかく建築の確認制度にすべてを連動させなければすべてのコントロールがきかなかった開発許可のシステムに、新しい、質の評価を与えるようなシステムを導入することになるという意味では非常に重要な一歩だというふうに思います。
 また、景観重要建造物の指定制度が盛り込まれているわけですけれども、今までこうした景観に重要な、もしくは文化財となる建物は、文化行政といいますか文化財行政の中で取り組まれてきていたわけですけれども、これを建設行政、都市計画行政の中で位置づけるということはなかなか国法レベルではなかったですね。ですから、その意味でも非常に重要な一歩ではないかというふうに思います。
 また、既成市街地だけではなくて、景観農振のように農地まで対象になるということで、広く農地や山のフリンジの部分まで土地利用のコントロールができるということは、今まで、都市計画区域の中と外でさまざま所轄官庁が違うというようなこともあって、なかなかうまい全体的な景観や環境のコントロールができなかったものを一歩前進させる仕組みというふうに評価できるんじゃないかと思います。
 ただ、景観法だけで、もしくはその関連法だけですべての景観が今一挙によくなるわけではなくて、やはりこれはさまざまな一連の施策の中の一つとして考えられる必要があるのではないか。その意味でいうとやはり課題というものは残されておりまして、それもさまざまな形で今後議論される必要があるのではないかと思います。
 それは一つには、まず、認定制度と関連するわけですけれども、実際に裁量の幅のある質のコントロールというのを現在の行政の仕組みの中でうまくできるだろうか、それだけの判断ができるマンパワーや情報開示の仕組みがあるだろうか。そういうことと一緒に考えないと、なかなか質のコントロールというのはうまくいかないのではないかという問題があると思います。
 それからもう一つは、そこに恐らくは、行政担当者だけではなくて、市民やNPO団体などのさまざまな方が意思決定に参加したり、もしくは公開された情報を利用する、そういう仕組みが必要になってくると思うんですね。ですから、その仕組みをどういう形でうまくつくっていくか。これは各景観行政団体に課せられた課題だと思いますけれども、その展望がないとなかなかうまく機能しないのかもしれない。ですから、その意味では、こうした展望が必要になってくるのではないかと思います。
 また、市民やNPO団体がここで何らかの判断を下そうとすると、ある開発行為が起きたときに、一体、景観がどういうふうに変わるのかということに関して、アセスメントのようなものがないと判断ができないわけですね。その意味では、さまざまな場合によって一体どうなるのかという議論ができる判断の材料を示すように、アセスメントが何らかの形で必要になってくるのではないか。それをどういう形で入れていくかということが課題としてあるのではないかと思います。
 また、今回の法案は、先ほども申し上げましたように、地方自治体に法的根拠を与えるという後押しするような法案だということですから、逆に言うと、熱心な自治体は大変頑張られるかもしれないけれども、熱心じゃないところは何もしないでも済むかもしれない。そうすると、自治体間の差がつきかねないということがあるわけです。その問題をどうするか。その問題は、恐らく、法律だけではなくて、さまざまな事業制度も一緒に考えていかないといけないと思うんですけれども、そういう議論が同時に必要になってくるのではないかと思います。
 また、この法案は建設行為が行われたときに発動されるわけですから、何も事が起こらないとなかなか物が動かないわけですね。一部、農地の改善に関しては景観農振の中でもう少し能動的なコントロールが可能ですけれども、大半の場合はそうではない。都市計画のコントロールはすべてそういう形になっているわけですけれども、しかし、それですと、今ある望ましくない景観をどうやって変えていくかということに関して、どこまでいけるかというなかなか難しい問題を抱えていると思うんですね
 その意味では、これは法案だけではないのかもしれませんが、さまざまな事業制度と並行して、そうした今の当たり前な風景、とりたてて非常にいいというものじゃないところをよくしていくための工夫というのも同時に必要になってくるんではないかというふうに思います。ですから、それは恐らくは、景観計画という、ここで掲げられている計画をどうつくっていくかということにかかわってくるわけでありまして、そのことが非常に重要な問題になってくるんじゃないかというふうに思います。
 一番最後に、都市計画の制度の中には、規制を緩和していくような仕組みの制度も並行してあるわけなんですけれども、こうした制度の場合は、そうした制度が使われる段階でかなりの部分の建物のボリュームやスカイラインが決まってしまうので、後で景観上いろいろ議論が出てきても、もう既に都市計画の決定をした段階で大半のものは決まってしまっているという問題があるわけです。
 ですから、その意味でいうと、現行の都市計画の制度とこの景観の仕組みとをどういうふうに整合させるかということをきちんと議論しておかないと、景観地区だけはうまくいくけれども、そうじゃないところは別の事業制度で、別の仕組みで別の容積の建物ができてしまって、後から景観で議論しようとしても、そもそも容積が認められているものを削ることができないというような問題が起きてくるんではないかと思うんですね。
 その意味でいうと、全体的な都市計画の仕組みとどういうふうに絡めるのかという議論が必要でしょうし、ここだけではなくて、大きく都市計画の仕組みを、今後、景観の観点からどういうふうに変えていくかという議論を並行して進めないと、なかなか、全市域また全都市の整備、景観上の改善というふうにいくには、少し、あと一歩議論が必要かなという気がしております。
 以上です。(拍手)

○山出参考人 金沢市長でございます。
 金沢市では、昭和四十三年以来、いろいろな条例をつくりまして、苦労しながら景観行政を進めさせていただきました。
 このたび、国におきまして景観法が制定されることになりました。景観行政の推進の上で心強いと思っています。私権を制限することができる公共の福祉にかかわるものとして景観を位置づけたわけでありまして、ここに景観法の意義があるというふうに思っています。
 特に、金沢市の条例に基づく制度なるものは、強制力のない届け出そして勧告を主とした制度でございますが、景観法では、罰則の伴う変更命令とかあるいは是正措置命令が可能になってございまして、景観行政を推進する上で大きな力になるものと評価したいと思っています。
 そこで、景観行政の主体でございますが、良好な景観は地域の自然と歴史にかかわるものでございまして、地域の自然と歴史は一つとして同じものはございません。したがって、景観施策の主体は、地域、とりわけ市町村であるべきだということが私のかねてからの主張でございました。法案では、景観行政団体といたしまして都道府県と市町村を同列に扱っていることを私は評価したい、このように思っています。
 そこで、歴史的な町並み保全と建築基準法との関係でございますが、歴史的町並みの保全は大変難しい課題でございます。近年、防火性能の各種検証実験等によりまして歴史的町並み保全の条件は少しずつ整いつつございますが、町家の二階部分が道路斜線にかかるなど、建てかえて町並みを永続させるためには、依然として厳しい規定がございます。
 今回の建築基準法の改正では、景観地区におきまして、交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないと特定行政庁が認めましたときには斜線制限は適用されないということになってございますが、その判断基準として「敷地内に有効な空地が確保されていること」、こういう文言が法案に含まれております。
 景観地区のような厳しい規制をかけるところは、地区の範囲を絞り込まざるを得ません。町家が連檐した歴史的町並みの区域で有効な空地が確保されているというのは、現実にはあり得ない厳しい条件でございます。空地の確保を絶対条件にいたしますと、この規定が適用できる地区は極めて限定されるというふうに考えております。
 法案の成立後に政令あるいは運用指針が作成されることと思いますが、地域、特に市町村の自主性が最大限に尊重される、柔軟な運用が可能となるような政令、運用指針にしていただけるように要望しておきたいと思います。
 次に、景観政策と景観法の今後のあり方についてでございますが、いい町並み景観の保全、形成のためには、建物単体の規制を個別に行うのではなくて、景観が持つ調和と統一を全体として保つ整序の論理による必要があるというふうに思います。
 この法案では、都市計画法の地域地区として景観地区を位置づけて、各種の制限を都市計画として定めることにしてございますが、景観の統一的な整序の論理をこのような体系で十分に生かせるのだろうか、今後の運用を注視したいし、本来の姿としては、景観法の中に景観の統一的な整序の論理とそれを担保する手段を書き込んで、一貫した法律とすべきではなかろうか、このように思っております。
 特に、景観基準の重要な要素の一つでございます高さの制限についてでございますが、これにつきましては、景観法とは別の都市計画法や建築基準法など他の法律にゆだねておりまして、非常にわかりにくい規制形態をとっておるというふうに思っております。
 各自治体が国に先駆けて制定してまいりました景観条例に基づく景観行政を後押しするために、色彩とか意匠とか高さ等の規制を各自治体の条例にゆだねる景観条例への授権規定、これを景観法に設けるということ、このこととともに、地方自治法十四条三項の範囲内で罰則を設けることによりまして、地域の実情に応じたまちづくりを実効性あるものにすることができるように検討をいただきたい、このように考えています。
 あわせまして、建築基準法第六条の建築確認の対象となります建築確認関係規定の中に、景観法及びこれによる条例も読み込めるように法改正を求めまして、景観条例の実効性を担保していきたい。
 ともあれ、以上のような法体系によりまして、地方の条例による自主的な取り組みとのつなぎがより直接的になるのではないかと思っております。今後の課題として提起しておきたいと思います。
 次に、屋外広告物の規制でございますが、多年にわたって景観行政を行ってまいります中で、いろいろな難しさがあることもわかってまいりました。
 例えば屋外広告物についてでございますが、まず、営業活動との兼ね合いがあります。景観について理解を示してくれる企業もございますが、全国展開している大手企業は、概して、町の特性に対する理解が低うございます。企業の社会的責任として、景観に対する配慮を求めたいと思います。
 一方、屋外広告業の企業にはアウトサイダー的な企業もございまして、行政の指導を聞いてもらえない状況もございます。今回の屋外広告物法の改正で屋外広告業に登録制が導入されるということで、屋外広告物規制の実効性が高まるというふうに期待はいたしております。
 また、色彩は個人の価値判断に係るものでございます。本市では景観審議会を設置して審議してもらっておるわけでありますが、それだけで十分とは思っておりませんイルミネーションなど夜間景観の問題、沿道の看板整序の問題もございますし、国が、指針を示したりモデル事例の検討をするなど、景観行政を先導する取り組みをお願いしたい、このように思います。
 そして、景観教育の重要性について申し上げます。
 よい景観の保全、形成は個人の価値判断に係るものでございまして、究極的には、市民や企業の美意識、景観意識を高めることでしか、よりいい景観を創造することはできません。そんな意味で景観教育は重要でございまして、景観読本の一冊もつくるべきではなかろうか、このように思っています。国の啓発活動にも期待したいわけであります。
 最後に、法案への評価と国の役割への期待を申し上げます。
 国が、景観という国民の重要な財産の保全と形成に一歩を踏み出したことに敬意を表しますとともに、景観法案について強く支持したいと思います。今後、さらにこの景観法の仕組みが強化されることを期待しています。
 法案成立後には、地方、特に市町村のこれまでの取り組みが最大限尊重される運用がなされるように政令や運用指針が作成されることを強く要望しておきたいと思います。
 一方、国におかれましては、景観法をつくって、市町村に任せて終わりということでは美しい国土はできません。景観の重要性に対する国民の理解を得るために、不断に景観意識を高める啓発活動を行ってほしいし、市町村の先進的取り組みに対しまして、景観シミュレーションの技術提供等、技術的、財政的支援をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。(拍手)

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