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児童虐待の根絶へ、医師法と児童虐待防止法、医師ー警察ー児童相談所等自治体の連携

2016-06-05 09:39:28 | 小児医療
 小児科医として、解決せねばならないと考える最重要課題のひとつ、虐待死。

 このなくすことに役立たないかと、自分自身が法律を学ぶ一つの動機にもなっています。

 下記、新聞を読んでもまた、虐待死への取り組みは、その不十分さが、目につきます。というより目に余ります。


〇児童虐待防止法で義務づけられている自治体による検証が行われたのは、わずか4・5%だった。

〇研究班の溝口史剛医師は「現在は病院と児相で情報を共有するしくみがなく、積極的に動かない。情報提供のルールや検証対象を明確にすべきだ」と訴える。

〇相沢仁・大分大教授は「自治体が検証をしようとしても、病院や学校から情報がもらえないケースもある。」と指摘する。

〇相沢仁・大分大教授は「今の児相の職員体制では検証に手が回らない可能性もある。」と指摘する。


 
 現状において、少なくとも、医師法があり、異状死の場合、警察への通報義務があります。
 一方、児童虐待防止法で、警察⇒自治体の流れの中で、もれのなき検証が行われるべきところです。


*****医師法*****
第二十一条  医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

*****児童虐待防止法*****
(国及び地方公共団体の責務等)

第四条  国及び地方公共団体は、児童虐待の予防及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援(児童虐待を受けた後十八歳となった者に対する自立の支援を含む。第三項及び次条第二項において同じ。)並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援、医療の提供体制の整備その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。

2  国及び地方公共団体は、児童相談所等関係機関の職員及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。

3  国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所等関係機関の職員、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。

4  国及び地方公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童の人権、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待に係る通告義務等について必要な広報その他の啓発活動に努めなければならない。

5  国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた児童のケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。

6  児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。

7  何人も、児童の健全な成長のために、良好な家庭的環境及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。





*******朝日新聞20160605**********************
虐待死疑い、自治体検証4.5% 子の情報、病院と共有不十分

 医療機関が2010~14年度に「虐待死の疑いがある」と判断した子どものうち、児童虐待防止法で義務づけられている自治体による検証が行われたのは、わずか4・5%だった。検証は死に至った経緯などを関係機関で共有して再発防止につなげる狙いだが、連携体制の不備がうかがえる。

 厚生労働省の研究班が子どもの救急を受け付けている全国の962医療機関にアンケートし、回答があった371医療機関で虐待による死亡が疑われた154人を分析。目撃情報やけがの状況などから医師が「確実に虐待」と判断したのは42件、「虐待の可能性が高い」が39件で、ほかは「疑いが残る」だった。

 検証は、児童相談所(児相)を運営する自治体が第三者による検証委員会を設置して行う。亡くなった経緯や家族の状況などを調査。再発防止策を提言することになっている。だが、死亡事例154件のうち自治体が検証したのは7件(4・5%)のみ。6件は医療機関から児相への通告を受けたもので、1件は通告なしに行われた。

 医療機関から児相に通告があったのは62件で、全体の4割止まり。一方、捜査機関には138件の通報があった。不審死があれば、医師は24時間以内に警察へ通報するよう医師法で義務づけられているが、児相へ通告する規定がないことが原因だ。研究班の溝口史剛医師は「現在は病院と児相で情報を共有するしくみがなく、積極的に動かない。情報提供のルールや検証対象を明確にすべきだ」と訴える。

 厚労省の有識者委員会は3月に「死亡したすべての子どもの検証を行うよう検討すべきだ」という提言をまとめた。ただ自治体側の調査をした相沢仁・大分大教授は「自治体が検証をしようとしても、病院や学校から情報がもらえないケースもある。今の児相の職員体制では検証に手が回らない可能性もある」と指摘する。

 (伊藤舞虹)
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